米中首脳会談・米国・対中関税引き上げ一時見送り発表(12月2日)
米国のホワイトハウスは、アルゼンチン・ブエノスアイレスで米国・トランプ大統領と中国・習近平国家主席による首脳会談の結果、来年1月に中国からの2000億ドルの輸入品の関税を今の10%から25%に引き上げる一段と厳しい制裁措置を一時見送ることを発表。
米中の貿易摩擦が一層激しくなる事態はいったん避けられる見通しになった。
G20、インドをめぐり日米、中露が鞘当て(12月2日)
11月30日~12月1日にアルゼンチンで開催されているG20の会議で、日米印、中露印の三者会合が相次いで開催された。
日米は「一帯一路」政策を掲げ、周辺諸国への影響力を強める中国に対する牽制のために、「自由で開かれたインド太平洋」を唱え、インドとの協力関係を強めようとしている。中印ではもともと国境紛争もあり、また中国が一帯一路で唱えている「カシミール経済回廊」は印パの国境紛争地帯であることもあり、インドの中国に対する警戒心は大きかったことから、2017年にはあわや国境紛争が起こりそうな事態に陥ったこともあった。...
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11月30日~12月1日にアルゼンチンで開催されているG20の会議で、日米印、中露印の三者会合が相次いで開催された。
日米は「一帯一路」政策を掲げ、周辺諸国への影響力を強める中国に対する牽制のために、「自由で開かれたインド太平洋」を唱え、インドとの協力関係を強めようとしている。中印ではもともと国境紛争もあり、また中国が一帯一路で唱えている「カシミール経済回廊」は印パの国境紛争地帯であることもあり、インドの中国に対する警戒心は大きかったことから、2017年にはあわや国境紛争が起こりそうな事態に陥ったこともあった。このため日米はインドの対中牽制の役割を一段と強めようとしたもの。
一方中露印の会談では、習近平主席は、過去十数年に3か国の相互信頼は進み、新型の国際関係のなかで、ウィンーウィンの関係を築き、G20やBRICS国家として、また上海経済協力機構など、いくつかの重要なマルチのメカニズムで中露印の協力関係を強化していった。中露印は貿易や投資の自由化を推進し、世界経済の開放を促進し、保護主義や単独主義に反対し、マルチの貿易体制を守り、新興経済と発展途上国の利益を擁護する、と述べた。
プーチン大統領は、露中印は相互に友好国家として、平等で相互に尊重することを基礎として、公平で公正な国際体系を建設し、世界を安定し、経済と金融領域での協力を強化し、ユーラシア経済連合と「一帯一路」の連接を推進することも提唱した。
インドのモディ首相は、単独主義がはびこり、国際情勢の不確実性が増す中にあって、先進国は、発展途上国が援助の返済を行わないことを理由に、国連の2030年のSDGs(持続可能な開発目標)のゴールはまだまだ遠い、といっている。印中露は、国際社会と地域の安定を擁護し、経済を反映させ、発展の経験を共有し、共に新しい挑戦を行っていく。
三か国は中露印の協力関係を強化させていくことに同意した。
中露、日米という周辺の超大国のなかで、インドのしたたかな外交が続いていきそうである。
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中国今度はEVビッグデータを狙う(12月1日)
(中国がメーカーからEVビッグデータ吸い上げ)
今、ビッグデータを制するものが次世代ビジネスを制するとも言われている、中国において自動車産業は「中国製造2025」の重点分野にもなっているが、自動運転では米国勢がビッグデータを解析するAIなどの技術で中国の先を走っている状況である。この状況に焦りを感じた中国が新しい動きをみせ始めた。
中国は自動運転時代到来を見据え、国をあげたビックデータ収集に本腰を入れ始めた。...
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(中国がメーカーからEVビッグデータ吸い上げ)
今、ビッグデータを制するものが次世代ビジネスを制するとも言われている、中国において自動車産業は「中国製造2025」の重点分野にもなっているが、自動運転では米国勢がビッグデータを解析するAIなどの技術で中国の先を走っている状況である。この状況に焦りを感じた中国が新しい動きをみせ始めた。
中国は自動運転時代到来を見据え、国をあげたビックデータ収集に本腰を入れ始めた。自動車メーカーからEVなど新エネ車の位置情報や電池使用、モーター、ハンドル、ブレーキなどを統合的に制御する電子制御ユニットなどのビッグデータを常時送信させるなどして提供させているという。強力な国家の統制によって集めたビッグデータは自動運転技術の開発などに使われるとみられる。その上今後、走行や車両に関わるさらなるデータをメーカー側に求めてくる可能性もある。
中国当局にデータ提供を行った外資自動車メーカー幹部は「中国政府の規定に従うしかない」とあきらめムードだが今後、中国が個人情報保護の観点から国際的な批判を受ける可能性もあり、米中貿易戦争の新たな火種となることも考えられる。日本・EUなどにとっても大きな懸念材料となる。中国の強引なやり口は今後も収まる気配なさそうだ。
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対中関税引き上げ見送る可能性低い(11月27日)
米国・トランプ大統領は貿易摩擦が激しくなる中、今週予定されている米中の首脳会談を前に有力紙のインタビューに応じ、対中関税を来年1月からの引き上げを見送るよう中国側が求めているが、受け入れる可能性はかなり低いという考えを明らかにした。
中国環境改善進む(11月27日)
26日国務院は「気候変動に対する中国の政策と行動 2018年度報告」を紹介した。紹介された数字によると、2017年のGDP単位あたりの国内の二酸化炭素の排出量は、2005年比46%減少し、2020年の目標40-45%の目標を3年前倒しで実現した(「気候変動枠組み条約」に提出された2030年の目標は同2005年比60-65%減)。
非化石エネルギーの一次エネルギー消費量に占める割合は13.8%に達した。...
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26日国務院は「気候変動に対する中国の政策と行動 2018年度報告」を紹介した。紹介された数字によると、2017年のGDP単位あたりの国内の二酸化炭素の排出量は、2005年比46%減少し、2020年の目標40-45%の目標を3年前倒しで実現した(「気候変動枠組み条約」に提出された2030年の目標は同2005年比60-65%減)。
非化石エネルギーの一次エネルギー消費量に占める割合は13.8%に達した。また森林による二酸化炭素の蓄積量も21億立方メートルに達し、これも2020年の目標を前倒しで超過達成した。これにより、二酸化炭素の排出量を2030年にピークとする(その後絶対量も減少させていく)という「気候変動枠組み条約」の約束条項を達成するための基礎が築かれた。
また2011年に全国で7か所の二酸化炭素排出権の交易市場が実験的に設立されたが、2013年6月の本格運用以来、7つの市場で累計2.7億トンが取引され、取引額は60億元に達している。
中国は2007年から二酸化炭素排出量の総量で世界第一位の排出国となっているが、2016年11月に新しい「気候変動枠組み条約」であるパリ協定を批准している。また本年3月にはそれまでの環境保護部(「部」は日本の「省」に相当)から生態環境部となり、環境問題への取り組みを一層強化している。
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