経済安全保障・したたかな米国にどう立ち向かうのか(10月26日)
中国・ファーウェイとの取引について、米国は日本に「(経済安保の観点から)ファーウェイ社との取引をするな」と要求している。そのため、日本は米国の命令に従い、現在、日本の汎用品1兆円相当の売り上げが止まったままになっている。
米中デカップリング説に基づけば、今後の日本は経済安全保障の観点からも米国と連携していくのが最善の策のように見える。
米中デカップリングが始まっているのであれば、米中間の貿易取引は激減しているはずだが、驚くべきことに2020年の貿易総額は5592億ドルと、前年比で3億ドルも米中の貿易取引額は増えていた。...
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中国・ファーウェイとの取引について、米国は日本に「(経済安保の観点から)ファーウェイ社との取引をするな」と要求している。そのため、日本は米国の命令に従い、現在、日本の汎用品1兆円相当の売り上げが止まったままになっている。
米中デカップリング説に基づけば、今後の日本は経済安全保障の観点からも米国と連携していくのが最善の策のように見える。
米中デカップリングが始まっているのであれば、米中間の貿易取引は激減しているはずだが、驚くべきことに2020年の貿易総額は5592億ドルと、前年比で3億ドルも米中の貿易取引額は増えていた。
思い当たる事はいくつかある。例えば米国商務省は自国のインテル社がファーウェイと取引することを認めた一方で、これと同じことをソニーや東芝には認めなかった。
日本は米国と組んで中国と対抗しているつもりになっているが、水面下で米中はしっかりと利害調整をしている可能性がある。
危惧されるのはこれから日本が注力していこうとしている半導体である。米中欧の大国が半導体を自国に囲い込もうとそれぞれ競っている中で、米国は日本と連携していくかのようなシグナルを出している。
一例で言えば、TSMCの誘致を日本も米国もそれぞれ行った結果、日本には先端の工場、米国には最先端の工場が行くことになった。半導体業界は動きが激しく、誘致するのであれば最先端の工場を呼ばなければ意味はないが、その最先端工場を米国は日本を押しのけて自国に持っていってしまった。この流れのままいくと、巨額マネーで優秀な人材を引き付けるノウハウを持っている米国が日本の頭越しに半導体の最先端技術と人材を持って行ってしまう可能性も高いと感じる。
日本の優秀な半導体装置および素材企業もパッケージで米国に持っていかれてしまう可能性もないとはいえず、その場合は日本の産業空洞化する。
新政権は米国を過剰依存し過ぎずに、現実をよくみながら、国益最優先で戦略を立てていくべきである。
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日本の食品輸入規制・米国が撤廃(9月22日)
米国政府は東京電力福島第一原子力発電所の事故のあとから続けていた福島県をはじめとする日本の食品の輸入規制を撤廃したと発表した。
米国は福島第一原発の事故のあと日本の食品の輸入規制を開始し、21日の時点では福島県や岩手県、宮城県など合わせて14の県の延べ100品目が対象となっていた。
米国は日本時間のきょう付けで輸入規制を撤廃したと発表し、日本から福島県産の米や栃木県や茨城県産などの原木しいたけの輸出ができるようになる。
農林水産物の輸入規制を巡ってはEU(ヨーロッパ連合)も来月から輸入規制の一部を緩和すると発表している。
一方、中国や韓国、台湾など14の国と地域では輸入規制を続けている。
新駐日大使に元シカゴ市長・ラームエマニュエル氏を起用か(8月21日)
2019年、ハガティ前大使が上院議員立候補のため辞任してから約2年にわたり駐日大使の空席が続くという異例の事態となっている。
こうした中、バイデン大統領は元シカゴ市長・ラームエマニュエルを新駐日大使に指名すると発表した。議会上院で承認されれば、エマニュエル氏が駐日大使として正式に日米同盟の強化を担うこととなる。
実はこれまでも同氏の名前は駐日大使候補としてあがっていたが、2011年から2019年まで務めたシカゴ市長時代に、警官による黒人少年射殺事件の隠蔽に手を貸したとの強い批判が民主党左派から出ていたために、ペンディングとなっていた。...
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2019年、ハガティ前大使が上院議員立候補のため辞任してから約2年にわたり駐日大使の空席が続くという異例の事態となっている。
こうした中、バイデン大統領は元シカゴ市長・ラームエマニュエルを新駐日大使に指名すると発表した。議会上院で承認されれば、エマニュエル氏が駐日大使として正式に日米同盟の強化を担うこととなる。
実はこれまでも同氏の名前は駐日大使候補としてあがっていたが、2011年から2019年まで務めたシカゴ市長時代に、警官による黒人少年射殺事件の隠蔽に手を貸したとの強い批判が民主党左派から出ていたために、ペンディングとなっていた。
エマニュエル氏はイスラエルと米国の二重国籍を持つ正統派ユダヤ教徒で、ノースウェスタン大学出身の61歳。民主党下院議員を経て、1992年から1998年までクリントン政権を支えた。
オバマ政権でも首席補佐官を務め、政権が最重要課題とした医療保険改革で議会対策を取り仕切った実績を持つ。また2020年の大統領選ではバイデン陣営の資金集めに貢献した。
父親のベンジャミンエマニエルはユダヤ系移民の医者で、シオニストであり対アラブの武装組織「イルグン」のメンバーでもあったが、その息子のラームエマニュエル氏も戦闘的な一面を持ち「ランボー」という異名を持っている。1991年の湾岸戦争ではイスラエル軍に民間人として志願し、ロジスティックスを担当していたという。
バイデン政権が最大の競合国と位置付けている中国に対抗していく上でも同盟国日本との関係は重要であるが、ラームエマニュエルの人事はこの目的に適うものと言うことができる。
エマニュエル氏と日本との接点はあまりないようにも見えるが、実は小泉・竹中政権下において「郵政民営化」や「金融ビックバン」を生み出した、元ネタともいわれる「年次改革要望書」を草案した人物でもある。竹中平蔵は菅政権のアドバイザーでもあるため、菅内閣との親和性は高いとみられる。
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米国ゼロエミッション車政策の現状(8月7日)
5日、米国・バイデン大統領が2030年に新車販売の半分を「ゼロエミッション車」にするという目標を定めた大統領令に署名した。
この目標には強制力はないが、米国に自動車の市場を持つ日本車産業も当然のことながらこの大統領令に影響を受けることになる。
今回、日本車が得意とするHV(ハイブリッド車:エンジンとモーター組み合わせ、複合動力を有効に活用)が「ゼロエミッション車」から除外されることになった。...
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5日、米国・バイデン大統領が2030年に新車販売の半分を「ゼロエミッション車」にするという目標を定めた大統領令に署名した。
この目標には強制力はないが、米国に自動車の市場を持つ日本車産業も当然のことながらこの大統領令に影響を受けることになる。
今回、日本車が得意とするHV(ハイブリッド車:エンジンとモーター組み合わせ、複合動力を有効に活用)が「ゼロエミッション車」から除外されることになった。日本の自動車メーカーにとって痛手となるが、幸いなことにPHV(プラグインハイブリッド車)はゼロエミッション車として認められた。
PHVはエンジンを併用している点で、HVと違いはないが、家庭の電源から充電できる点が異なる。いわばHVとEV(電気自動車)の中間に位置するのがPHVである。
実はEUや英国ではPHVの販売禁止が打ち出されていて、日本の自動車業界には不穏な空気が流れていた。そんな中、バイデン大統領があたかも日本車に救いの手を差し伸べた格好となっている。トヨタ幹部は「PHVが含まれるなら我々としてもいくらでもやりようがある」と大歓迎している。
バイデン大統領がPHVを「ゼロエミッション車」に入れた背景には、国土が広く長距離移動が多い米国において、走行距離の短いEVだけでは地方からの支持が得られないという現実的な理由があった。
裏を返せば、この問題が解決されれば、すぐにでもPHVは「ゼロエミッション車」から除外される可能性もあるということである。
日本車メーカーはこうしたことも念頭に入れつつ、PHVにもEVにも使用可能な電池の研究開発投資に力を入れ、どんな状況になっても対応できるようにしておく必要があると感じられる。
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バイデン大統領の訪日見送り(6月29日)
ホワイトハウスは来月23日に開幕する東京オリンピックパラリンピックに合わせたバイデン大統領の訪日を見送る考えを明らかにした。
米国・サキ報道官は東京オリンピックに政府の代表者を派遣すると表明した。
バイデン大統領が高齢であるため新型コロナの感染リスクを考慮し判断した。
日米両政府は開会式にジル夫人が出席する方向で調整していて日米の連携をアピールしたい考えである。
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