日米・動き出した“経済安全保障”(5月24日)
競争力の強化を急ぐバイデン政権が今、重視しているのが、経済安全保障といわれる分野である。
経済と安全保障が密接に絡む先端技術などに関して、中国に対抗する新たな体制の構築を急いでいる。そこで重視しているのが、同盟国、とりわけ日本との連携で、先月の日米首脳会談でも、この分野での関係強化を打ち出した。
こうした中、米国側に働きかけを強める日本側の動きが早くも本格化している。
大使館が今、力を入れているのが、議会への直接の働きかけである。...
全部読む
競争力の強化を急ぐバイデン政権が今、重視しているのが、経済安全保障といわれる分野である。
経済と安全保障が密接に絡む先端技術などに関して、中国に対抗する新たな体制の構築を急いでいる。そこで重視しているのが、同盟国、とりわけ日本との連携で、先月の日米首脳会談でも、この分野での関係強化を打ち出した。
こうした中、米国側に働きかけを強める日本側の動きが早くも本格化している。
大使館が今、力を入れているのが、議会への直接の働きかけである。
狙いは審議が大詰めを迎えている対中国の新たな法案で、先端技術の開発などに日本円で十数兆円を投じる内容で、その予算を日系企業も使えるようにできないか、協議を重ねている。
日米が経済安全保障で特に重視しているのが、次世代の通信ネットワークの普及と研究開発である。
NECは現地の施設に新たな研究開発の拠点を建設する計画を進めている。
閉じる
駐日大使・バイデン大統領・エマニュエル氏指名の意向(5月12日)
米国のバイデン大統領は駐日大使にオバマ政権で大統領首席補佐官を務めたエマニュエル氏を指名する意向を固めたと英国の有力紙が伝えた。
エマニュエル氏が就任すれば、影響力を増す中国を念頭に日本との同盟関係の強化を担うことになる。
海外のメディアは11日、複数の関係者の話としてバイデン大統領が駐日大使にオバマ政権で大統領首席補佐官を務めたラームエマニュエル氏を指名する意向を固めたと伝えた。
エマニュエル氏は61歳で、民主党下院議員を経て、オバマ政権1期目の2009年から2010年にかけて大統領首席補佐官を務めた。...
全部読む
米国のバイデン大統領は駐日大使にオバマ政権で大統領首席補佐官を務めたエマニュエル氏を指名する意向を固めたと英国の有力紙が伝えた。
エマニュエル氏が就任すれば、影響力を増す中国を念頭に日本との同盟関係の強化を担うことになる。
海外のメディアは11日、複数の関係者の話としてバイデン大統領が駐日大使にオバマ政権で大統領首席補佐官を務めたラームエマニュエル氏を指名する意向を固めたと伝えた。
エマニュエル氏は61歳で、民主党下院議員を経て、オバマ政権1期目の2009年から2010年にかけて大統領首席補佐官を務めた。
辞任後はおととしまで出身地シカゴの市長を務めたが、黒人の少年が白人の警察官に射殺された事件への対応を巡って批判も受けた。
エマニュエル氏はバイデン大統領とも近いとされ、運輸長官や中国大使の候補としても名前が挙がっていた。
エマニュエル氏が今後、大統領による指名を経て議会に承認されれば、影響力を増す中国を念頭に日米同盟の強化を担うことになる。
閉じる
日米首脳会談・経済面も対中国(4月19日)
日米首脳会談では経済面でも中国を意識したものとなった。会談では様々な研究や技術開発での連携を打ち出した。
5Gや次世代の通信規格に研究開発として日米で45億ドルを投資、半導体などサプライチェーン構築での協力や、AIやバイオテクノロジー、宇宙や量子科学、重要技術の育成保護、サイバーセキュリティー等である。
いずれも中国との競争が念頭にあるものとみられる。専門家は企業は米中のデカップリングを前提にビジネスも組み立てなければならないのではと指摘している。
日米同盟新時代(4月17日)
4月16日に行われた日米首脳会談で米国・バイデン大統領は台頭する中国を念頭に日米同盟を確固たるものにし、日本を中心に連携して対峙していく姿勢を強く打ち出した。「アメリカファースト」を掲げたトランプ大統領とバイデン大統領の大きな違いは同盟国と一緒に理念を実現しようという姿勢である。
米国は最大のライバルである中国に打ち勝つため、中国をハイテクサプライチェーンから引きはがすことによって、中国の野望の芽をつみ、日本の経済力・技術力を軸として対中競争力を強化していきたい考えである。...
全部読む
4月16日に行われた日米首脳会談で米国・バイデン大統領は台頭する中国を念頭に日米同盟を確固たるものにし、日本を中心に連携して対峙していく姿勢を強く打ち出した。「アメリカファースト」を掲げたトランプ大統領とバイデン大統領の大きな違いは同盟国と一緒に理念を実現しようという姿勢である。
米国は最大のライバルである中国に打ち勝つため、中国をハイテクサプライチェーンから引きはがすことによって、中国の野望の芽をつみ、日本の経済力・技術力を軸として対中競争力を強化していきたい考えである。今後世界的に中国離れが進み、ハイテク技術も資金も米国に還流してくることが予想される中で、日本としても米国との連携をチャンスと捉え、積極的に活用していきたい思惑がある。
米国は、半導体産業の復権に向けて動き始めているだけでなく、情報通信分野にも力を入れており、次世代通信規格「6G」の研究開発に日米で合わせて45億ドル(約4900億円)を投じる予定である。さらに特定のメーカーに頼らず複数のメーカーの機器を組み合わせて自由主義圏ネットワークを構築していく「オープンRAN」も日米連携によって推進させていこうとしている。こうした動きの中から日本の成長産業が生まれてくる期待もある。
中国に距離的に近い日本は米国よりも中国の脅威にさらされる可能性が高く、今後、中国からの圧力に対抗する力が必要となるが、相変わらず安全保障においては米国に頼り切りになる状態が続く。
そもそも北東アジアエリアでは戦闘機から艦艇、潜水艦に至るまで、数だけを見ると中国軍が米軍を圧倒している。戦闘機では中国機が1250機なのに対し米軍機は250機と5倍もの開きがある。爆撃機に至っては中国機が175機で米軍機はゼロである。
さらに気がかりなのは中国が米軍の強力な空母さえ威嚇することができる「極超音速ミサイル」を台湾に近い沿岸部に既に配備したとの情報である。この差を日米はインドや豪州、英国、台湾など他国と連携することによって埋めようとしているが、このままいけば2025年には中国軍の増強が更に進み、軍事的には1強多弱の状態になってしまう可能性もある。
日本がハイテクや経済を米国と強気で進めていくことは妥当と思われるが、一方で北東アジアの安全保障では力のバランスが中国に傾いているということを念頭に入れつつ、中距離ミサイルの配備などの対策を早急に考えていく必要があると思われる。
閉じる
あす日米首脳会談・バイデン政権の思惑は(4月16日)
菅総理大臣は米国・ワシントンに間もなく到着し、あす、ホワイトハウスで日米首脳会談が行われる。
ホワイトハウスは新型コロナウイルスの感染拡大前、政治の中心地として各国政府の関係者も頻繁に訪れていたが、感染拡大後は立ち入りが厳しく制限されてきた。
バイデン政権発足後、各国からの対面での首脳会談の働きかけに対し、感染対策を理由に受け入れ時期を慎重に検討してきた。
その初めての会談の相手が菅総理大臣になるが、そこにはバイデン政権が日本をこれまで以上に重視していることと同時に、日本の果たす役割に強く期待していることが表れていると言える。...
全部読む
菅総理大臣は米国・ワシントンに間もなく到着し、あす、ホワイトハウスで日米首脳会談が行われる。
ホワイトハウスは新型コロナウイルスの感染拡大前、政治の中心地として各国政府の関係者も頻繁に訪れていたが、感染拡大後は立ち入りが厳しく制限されてきた。
バイデン政権発足後、各国からの対面での首脳会談の働きかけに対し、感染対策を理由に受け入れ時期を慎重に検討してきた。
その初めての会談の相手が菅総理大臣になるが、そこにはバイデン政権が日本をこれまで以上に重視していることと同時に、日本の果たす役割に強く期待していることが表れていると言える。
米国政府高官は先ほどシンクタンクの催しで、「日米同盟が米国の外交政策の要だと確認する重要な会談だ」と強調した。
今回の会談の議題として、中国が東シナ海や南シナ海で一方的に現状を変えようと試みていることや、台湾や香港を巡る問題などを挙げた。これらはバイデン大統領が中国に対抗する上で極めて重視していることである。
バイデン大統領は「中国の一方的な振る舞いに対抗するには、米国一国だけでなく同盟国や友好国の力を結集する必要がある」と強調していて、今回の会談には、それを国内外にはっきりと示す狙いもあるとみられる。
ただ、日本は安全保障面で米国と緊密に連携する一方、中国とも経済面を中心に結びつきが強く、米国とは歴史的な背景も異なる。
このため、人権問題などを巡って日米間では温度差も指摘されている。
その中で、菅総理大臣がどのようなメッセージを発するのか、さらに米国が懸念を強める台湾を巡る情勢について、どういった議論が交わされるのか、ワシントンでも関心が高まっている。
閉じる
「日米関係」内の検索