仁川広域市は10日、仁川国際空港を拡張し、朝鮮半島の玄関口にする計画を明らかにした。しかし、同市が仁川国際空港を南北交流の拠点として強化するための調査を行ったことが、韓国国内で政治的論争に発展しつつある。
『韓国放送公社』によると、調査は、欧米と北朝鮮の交流拠点としての役割を果たすために、中長期的に仁川国際空港の必要なインフラを整備することに焦点を当てている。仁川市は、北朝鮮が改革を行い、世界に門戸を開き、国際協力が可能になったときに、欧米と北朝鮮の交流拠点としての役割を果たすことを目指している。
調査は、仁川空港と、滑走路が2,000メートル以上ある北朝鮮の3つの空港を結ぶことを提案。...
全部読む
『韓国放送公社』によると、調査は、欧米と北朝鮮の交流拠点としての役割を果たすために、中長期的に仁川国際空港の必要なインフラを整備することに焦点を当てている。仁川市は、北朝鮮が改革を行い、世界に門戸を開き、国際協力が可能になったときに、欧米と北朝鮮の交流拠点としての役割を果たすことを目指している。
調査は、仁川空港と、滑走路が2,000メートル以上ある北朝鮮の3つの空港を結ぶことを提案。また、海州経済特区と開城工業団地を結ぶ道路の建設も提案している。この計画を実現するためには、6兆3千億ウォン(約6100億円)の予算が必要だという。
『コリアタイムズ』は、この調査は保守派の議員から計画の実現性や政治的動機について批判を受けていると報じている。
野党「国民の力(PPP)」党の韓基鎬(ハン・ギホ)議員に提出された仁川広域市の資料によると、仁川広域市は昨年5月、韓国交通大学を中心とするコンソーシアムに1億3500万ウォン(約1300万円)で調査を委託した。調査は、仁川国際空港を北朝鮮との中継基地として育てるための方法として、北朝鮮の既存の8つの空港を改良し、新たな空港を建設することが提案された。さらに、平壌国際空港、元山カルマ空港、白頭山近くの三池淵空港の3つの空港は、観光地の近くにあるため、ハブ空港として整備する必要があるとも主張している。また、北朝鮮とロシアの国境に近い港湾都市である羅先(ラソン)にも新たな空港を建設する必要があるとしている。
この計画の実行には、約4兆4千億ウォン(約4300億円)の費用を見込んでおり、韓国と仁川の地方自治体が国家予算または官民連携で資金を調達するとしている。空港計画のほかにも、西海岸に沿って南北を結ぶ1.8兆ウォン(約1745億円)の道路計画、780億ウォン(約76億円)の物流ターミナルなど、さまざまなプロジェクトが提案されており、総支出額は6兆3200億ウォン(約6100億円)に達する。
仁川市の朴南春(パク・ナムチュン)市長はフェイスブックに、この調査は「南北関係が大きく改善した場合に、国内最大の空港を持つ仁川の役割を探る」ことを目的としていると投稿した。与党「民主党」の元議員でもある朴市長は、「南北関係の展開によっては、北の航空インフラを整備する必要性が出てくるかもしれない。今回の研究は行政のノウハウを構築し、仁川の潜在的な役割を事前に模索するものだ」と述べている。また、市政府も同様のプレスリリースを発表した。
保守派の「国民の力(PPP)」党の議員たちはこの研究を非難している。PPPの仁川支部は声明で、「北朝鮮が戦争のような挑発行為を繰り返す中、市政府は、北朝鮮の過去の挑発行為で最大の被害者であるにもかかわらず、戦時に重要な戦略的役割を果たす空港を建設、開発しようとしている」と糾弾した。仁川広域市に属する延坪島は、2010年11月23日に北朝鮮による致命的な攻撃を受け、民間人2人と海兵隊員2人が死亡した。
また、PPPの申源シク(シン・ウォンシク)議員は「南北間のすべての共同経済プロジェクトは、北が非核化の状態に達し、制裁が解除されない限り、国連の制裁に違反する」と述べた。「与党は、韓国の経済と国民の生活には目をつぶって、北朝鮮政権が直面している課題と安全に対処することに執着しているように見える」と述べている。
この論争が政治的な争いに発展する兆しを見せている中、国家行政機関である「統一部」は、仁川市政府の調査から距離を置こうとしている。統一部の李種珠(イ・ジョンジュ)報道官は10日、「仁川市は独自に調査を行い、その目的と関連するプロセスを説明するだろう」と述べた。
閉じる