東京オリンピック開会式まで100日と迫った。しかし、新型コロナウィルス(COVID-19)感染の第4波が現実化しつつある中、聖火リレーの盛り上がりもなく、大会再延期を望む声が再び上がり始めている。米メディアも、現時点でのワクチン接種率が未だに全人口の1%未満である状況に言及して、果たして大勢のアスリートや大会関係者を呼び入れて大丈夫かと懸念する報道を行っている。
4月14日付
『CNNニュース』:「東京大会開会式まで100日と迫るも、依然ワクチン接種率は全人口の1%未満」
この程、東京大会の運営補助に当たるボランティアが、大会組織委員会関係者にCOVID-19感染防止策を尋ねたところ、主催者側が彼らに提供する消毒液小瓶1本とマスク2枚で対応して欲しいとの回答だったという。
日本の感染者数は4月10日現在で50万人超えとなり、更に、感染第4波が襲いつつあるとの懸念が高まっている状況下、複数の県では追加の行動抑制措置が導入されようとしている。...
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4月14日付
『CNNニュース』:「東京大会開会式まで100日と迫るも、依然ワクチン接種率は全人口の1%未満」
この程、東京大会の運営補助に当たるボランティアが、大会組織委員会関係者にCOVID-19感染防止策を尋ねたところ、主催者側が彼らに提供する消毒液小瓶1本とマスク2枚で対応して欲しいとの回答だったという。
日本の感染者数は4月10日現在で50万人超えとなり、更に、感染第4波が襲いつつあるとの懸念が高まっている状況下、複数の県では追加の行動抑制措置が導入されようとしている。
埼玉医科大学(1972年設立の私立大学)感染症医の岡秀昭准教授(45歳)は、7月23日の開会式までに現下の第4波を抑え込むのは困難とみられるとコメントした。
菅義偉首相(72歳)は4月12日、6月末までに1億回分のワクチンを確保すると再度強調したが、今現在、日本におけるワクチン接種者は110万人と、全人口比1%未満である。
更に、2度接種を受けた比率は僅か0.4%である。
これに関し、岡准教授は、“政府は、高齢者対象のワクチン接種は6月までに終わると説明しているが、優先接種の対象であった医療従事者もまだワクチン未接種の人がいることから、6月末までの目標達成は困難と思われる”と付言している。
日本におけるワクチン確保が遅延している理由について、専門家は、過去に深刻なワクチン副作用の問題が複数回発生していたことから、国民の間にワクチンへの猜疑心があり、また、政府、製薬会社とも自国産ワクチン開発に積極的でなかったためとみている。
アジアの他の国、例えば中国では1億7,100万人、インドでも1億800万人がワクチン接種を受けている実績に比べて、極端に低いことが分かる。
岡准教授は、大会参加の海外選手に対するワクチン供給を優先すべきだと主張しているが、政府は、選手優先との憶測記事が出るや、日本国内で猛反発が起きたことから、この考えを否定している。
更に、中国側が、海外選手全員分のワクチンを提供すると提案してきたことに対して、日本側は、中国製ワクチンの安全確認ができていないことを理由にこの提案を断っている。
大会組織委員会は、海外からの観戦者受け入れを断念したものの、世界200ヵ国余りから1万1千人が来日することから、大会を契機に感染再拡大のリスクがあると懸念する声が上がっている。
そして、ワクチン接種を受けていない海外選手も含めて一挙に来日することから、その受け入れ業務補佐に当たる大会ボランティアにとっても、取り得る感染防止対策には限度がある。
一方、上智大学(1913年設立の私立大学)内のドイツ日本研究所(1988年設立)バーバラ・ホルトス代表は、大会組織委員会橋本聖子会長(56歳)が大会ボランティアへのオンライン説明会で、全員マスク着用でボランティア業務に当たることになっているのに、“オリンピックの成功の鍵は皆さんの笑顔だ”と語ったことに驚きを隠せなかったとコメントした。
同代表は、ドイツ人ボランティアとして大会補佐業務に当たるが、“オリンピック開催意義を確かにするため、ボランティアの笑顔が必要だと説明されたが、冗談を言っているの?”としか言いようがないと言及した。
また、別のボランティアは、日本の感染症専門医トップから、大会ボランティアへのワクチン接種が大会開催前に行われることはないと説明されたという。
そして、“高齢者でない限り、大会開催前までにボランティア対象にワクチン接種を行う時間的余裕はないと言われ、とても憤りを感じた”と吐露している。
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