【Globali】
アイルランド、多国籍企業のおかげで2020年に経済成長した欧州唯一の国に(2021/03/09)
アイルランドは昨年、経済成長を記録した欧州唯一の国となった。しかしこれは、アイルランドに拠点を置くビッグテックや大手製薬会社が、アイルランドの2020年の経済成長を3.4%増に押上げたものであり、多国籍企業の業績を含まなければ、5.4%の縮小となる。
仏の経済ニュースサイト
『キャピタル』によると、アイルランドは新型コロナウイルスのパンデミックの中でも2020年の国内総生産(GDP)が3.4%増を記録した。これは、主に医薬品やテクノロジー分野の多国籍企業の活躍により、輸出が6%以上増加したことが反映しているためだという。多くの多国籍企業が、魅力的な税制の恩恵を受けることができるアイルランドを世界本社や欧州本社の拠点として選んでいる。
しかし『キャピタル』は、多国籍企業の活動が国の成長率に大きく影響を与えるため、アイルランドの真の経済成長率を読み取ることを困難にしていると指摘している。...
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仏の経済ニュースサイト
『キャピタル』によると、アイルランドは新型コロナウイルスのパンデミックの中でも2020年の国内総生産(GDP)が3.4%増を記録した。これは、主に医薬品やテクノロジー分野の多国籍企業の活躍により、輸出が6%以上増加したことが反映しているためだという。多くの多国籍企業が、魅力的な税制の恩恵を受けることができるアイルランドを世界本社や欧州本社の拠点として選んでいる。
しかし『キャピタル』は、多国籍企業の活動が国の成長率に大きく影響を与えるため、アイルランドの真の経済成長率を読み取ることを困難にしていると指摘している。アップル、グーグル、ファイザー、さらにはノバルティスなどの多国籍企業「効果」を除けば、昨年のアイルランドのGDPは5.4%減少しており、新型コロナウイルスのパンデミックが同国の企業や家計に影響を及ぼしたことが分かる。消費者支出は9%と、国際金融危機が起きた2009年の2倍の落ち込みを記録している。ドナフー財務相は、これらの数字は「パンデミックの両極端な経済的影響を示している。国内経済は低迷している一方で、多国籍企業の製薬やテック企業は免疫やコロナ関連の薬や製品、そして在宅勤務の拡大で業績が支えられてきた。」と述べている。また、2021年の第1四半期の国内経済は、コロナ規制が続いているため、昨年春の第1回目のロックダウンほどではないものの、さらに縮小すると予想されている。
仏金融紙『レゼコー』によると、コロナ規制がアイルランドの国内経済を圧迫してきたと指摘している。流通業、運輸業、ホテル・レストラン業は16.7%、建設業は12.7%減少している。また、芸術・娯楽部門は54%の落ち込みと、最も深刻な影響を受けている。地元企業の輸出も、食品、飲料などが減少している。
なお、多国籍企業によるアイルランド経済の成長率への影響の大きさは、以前から指摘されていたものである。2015年にはアイルランドのGDPを26%も押し上げたことがあった。2020年には、これらの企業は18.2%の成長を遂げており、アイルランド経済における多国籍企業の占有率は、2019年の43.4%から2020年には付加価値の50%に上昇している。
多国籍企業を除くと、アイルランドの昨年のGDPは5.4%減と、他のEU諸国(平均6.8%減)と似たような結果となっており、アイルランド企業や家計へのコロナの影響をより正確に反映している。
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