スウェーデンの高校生環境活動家グレタ・トゥンベリさんが、再び大西洋をヨットで横断することになった。グレタさんは、開催地が南米のチリから欧州のスペインに変更された12月の第25回国連気候変動枠組み条約締結国会議(COP25)に参加するため、13日に米東海岸を出発した。
『AP通信』『AFP通信』など多くのメディアが報じた。COP25は当初南米チリで開催される予定だったが、地下鉄料金値上げに端を発した抗議デモが激化し、同国政府は開催の断念を発表。代替開催を申し出たスペインの首都マドリードで行われることになった。
グレタさんは温室効果ガス排出の多い飛行機の利用を避けており、スペインへの移動手段が見つからずに困っていたが、SNSで支援を呼びかけ、これに応じたオーストラリア人カップルの双胴のヨットで大西洋を再び横断することにした。...
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『AP通信』『AFP通信』など多くのメディアが報じた。COP25は当初南米チリで開催される予定だったが、地下鉄料金値上げに端を発した抗議デモが激化し、同国政府は開催の断念を発表。代替開催を申し出たスペインの首都マドリードで行われることになった。
グレタさんは温室効果ガス排出の多い飛行機の利用を避けており、スペインへの移動手段が見つからずに困っていたが、SNSで支援を呼びかけ、これに応じたオーストラリア人カップルの双胴のヨットで大西洋を再び横断することにした。同カップルとその生後11カ月の息子、経験豊かな船員、グレタさんの父親が同乗する。
ヨットは全長約15メートルで、太陽光パネルと水力発電機を搭載し、温室効果ガスは殆ど排出しない。8月に英国から米ニューヨークに渡った際のヨットと違い、トイレも備えられている。米東部バージニア州ハンプトンを13日に出港し、目的地はポルトガルで、到着まで2~3週間かかる見通しだ。11月は気温が低く、海も荒れがちで雪が降るときもあり、大西洋横断には向かない時期だが、16歳のグレタさんは気にしていないようだ。
グレタさんは3カ月近くにわたる北米の旅を終えた。9月にニューヨークで国連気候行動サミットに参加して熱弁を振るい、カリフォルニア州からコロラド州、ノースカロライナ州へと移動して気候ストライキなどの抗議活動に参加した。北米では、カナダのジャスパー国立公園で氷河の融解が相当程度進行していること、米先住民のスタンディングロック居留地でのパイプライン建設による環境破壊への抗議活動が最も印象的だったという。
グレタさんは昨年、スウェーデンで気候変動への対策を訴え、毎週学校を休んで議会前でストライキを行ったが、それが気候問題への関心を高めるとともに、影響を受けた世界約100都市での学生の同様の行動につながり、若い環境活動家らの象徴的存在となった。
名声を獲得した一方、グレタさんはロシアのプーチン大統領や米国の保守的な評論家らの批判の標的となった。しかし、彼女は批判を一蹴し、「行動を起こすには自分は若過ぎるが、本来責任を負うべき大人や権力の座にいる人々が行動していない」と指摘している。
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