米航空宇宙機器大手ボーイングは6日、次期大型旅客機777Xの一部の試験を中断したと発表した。同社は2度の墜落事故を起こした737MAX型機をめぐる危機からの巻き返しを図っており、次期旅客機開発での問題の発生は新たな打撃となった。
『ロイター通信』や
『AFP通信』などが報じたボーイング777X型機は、大型旅客機777の後継機で、航続距離が長く、一度に400~425人までの乗客を運ぶことが可能だ。欧州航空宇宙機器大手エアバス社のA350型機に対抗するもので、既にアラブ首長国連邦(UAE)のエミレーツ航空など航空会社8社が発注している。
今回中断された同型機の試験は、航空機の承認過程の一部となる「最終荷重」試験で、米連邦航空局(FAA)の検査官の立ち合いの下で行われ、通常運航の負荷を大幅に超える荷重とストレスを機体に加える。...
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『ロイター通信』や
『AFP通信』などが報じたボーイング777X型機は、大型旅客機777の後継機で、航続距離が長く、一度に400~425人までの乗客を運ぶことが可能だ。欧州航空宇宙機器大手エアバス社のA350型機に対抗するもので、既にアラブ首長国連邦(UAE)のエミレーツ航空など航空会社8社が発注している。
今回中断された同型機の試験は、航空機の承認過程の一部となる「最終荷重」試験で、米連邦航空局(FAA)の検査官の立ち合いの下で行われ、通常運航の負荷を大幅に超える荷重とストレスを機体に加える。報道によれば、試験機は地上での試験専用のものであり、飛行することを意図して作られていなかった。試験中に貨物用の扉が外側に吹き飛んだとのことだが、業界関係者は最終荷重試験でそうした問題が発生するのは稀だと指摘した。
FAAは機体の構造試験の間に発生する問題について調査を行う。構造的強度を検証するため、こうした試験の間には、機体は想定される限界点まで極度のストレスの下に置かれるが、航空当局が最終的な承認を出すための重要な過程となる。FAAはボーイングとの緊密な関係を批判されてきたが、同社の独立性を高めるため、検査を厳格化しているという。
ボーイングの広報担当者ポール・バーグマン氏は、報道機関への声明で、「777X静荷重試験機への最終荷重試験の間に、チームは試験の中断が求められる問題に直面した。」としており、「試験の条件は、商用サービスにおいて予想されるいかなる荷重も超えるものだった。発生した事象については精査中であり、チームは根本原因を突き止めようとしている。」と説明した。また、7日には、全体の試験計画は継続されると述べた。
777X型機は当初、今夏に最初の試験飛行を実施する予定だったが、米ゼネラル・エレクトリック(GE)製のエンジンに問題が発生し、2020年初めに延期していた。今回の試験中断により、その時期を再延期するかについて、バーグマン氏は明言を避けた。
ボーイングは737MAX型機について、規制当局が求める改修作業を完成しようとしている。同型機は合計346人が死亡した2度の墜落事故の後、3月から全世界で運航を停止しており、そうした中での777X型機の試験の中断は、同社にとって新たな痛手となった。
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