世界中で(はしか)の感染件数が増加しているという。今年に入って3カ月で既に昨年の感染件数の3倍となっている。ワクチン接種率の低いアフリカでは7倍だが、西欧諸国など麻疹がほぼ撲滅されたとされる地域でも感染が広がっており、時代が後退したかの様である。背景には、ネット上や米ニューヨーク市の一部などでワクチン反対の動きがあり、感染に拍車をかけているという。
4月16日付米国
『CNN』は「はしかが25年振り流行、世界で10万人感染」との見出しで以下のように報道している。
疾病管理予防センターによると、はしか患者が急増、1週間で90人の感染が確認された。 今年に入っていからは555人で、まだ半年過ぎてもいないのに、25年前に次ぐ感染者数である。流行は米国に限ったことでなく、世界保健機構(WHO)によると、1~3月世界で11万人が感染、これは昨年の3倍だという。...
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4月16日付米国
『CNN』は「はしかが25年振り流行、世界で10万人感染」との見出しで以下のように報道している。
疾病管理予防センターによると、はしか患者が急増、1週間で90人の感染が確認された。 今年に入っていからは555人で、まだ半年過ぎてもいないのに、25年前に次ぐ感染者数である。流行は米国に限ったことでなく、世界保健機構(WHO)によると、1~3月世界で11万人が感染、これは昨年の3倍だという。10人に1人しか報告されていないとみられ、実際の数はデータ以上だと予測される。
ウクライナでは過去1年世界最多の7.2万人の感染数。マダガスカルで6.9万人、インドで6万人。
はしかに感染した子どもの千人に1人の割合で、脳炎や脳の肥大を発症し、けいれんや聴覚障害、知的障害を起こす場合もあり、内1~2人は死に至ることもある。
今年米国内で、はしかによるの死亡例は報告されていないが、欧州疾病予防管理センターによると、昨年EU諸国で35人が死亡している。1963年はしかワクチンが初めて導入される前には、毎年数百人が死亡、4.8万人が入院していた。その後ワクチンのおかげで感染者は激減し、1994年には963人、2000年には撲滅宣言が出されていた。感染が広がっている地域もあるが、継続的感染が確認されないため、米国は、はしかは撲滅しものと認識を変えていないが、1年以上感染状態が続いた場合には、撲滅したとは言えない状態となる。
今年の長期流行に関し専門家は、ワクチン反対運動が影響していると指摘している。
4月15日付英国『ガーディアン』は「2019年世界のはしか感染3倍:WHO」との見出しで以下のように報道している。
今年1~3月で、昨年同時期に比べ、世界のはしか感染者が3倍となっている。ソーシャルメディアなどでワクチン反対運動が起きている事が懸念されている。はしかは2度のワクチン接種で、大流行をほぼ押さえることができるが、WHOは世界的なワクチン接種率の低下に警鐘を鳴らしている。
10件に約1件しか感染が報告されていないため、実際の感染数は把握されている以上だと考えられている。
米国などワクチン接種率の高い国、でも感染上昇がおきている。
ニューヨーク市長ビル・デブラシオは、先週ブルックリンの一部に、公衆衛生非常事態宣言を発動、現代科学を信じず、予防接種は良くないとの噂で不安が広がっている超正統派ユダヤ人居住地域で、300件の感染が確認された。非常事態宣言では、子どもにワクチン接種をさせない世帯には罰金を科しており、宣言を不当なものとした訴訟も起きているという。
また、比較的ワクチン接種率の高いイスラエル、タイ、チュニジアでもワクチン反対派の間で感染が拡大している。摂取率低下には、供給の問題、紛争問題もあるが、ワクチンに関する誤解の広がりの懸念も大きい。
インターネット上で、ワクチンの陰謀説や医薬品業界への反対がヨーロッパで広がり、イタリア、フランス等ポピュリストの政治家が台頭している国では、親が子にワクチン接種させない権利を主張。ユニセフによると、98か国で、昨年はしかの感染増加が確認された。ウクライナ、フィリピン、ブラジルは増加数が最も大きい。
また、ワクチン接種率の低いアフリカでも感染拡大が懸念されており、年初3カ月で昨年同時期の7倍となっている。
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