ドイツの首都ベルリンに拠点を置く国際NGOトランスペアレンシー・インターナショナル(TI)は29日、各国の腐敗度を数値化してランキングする「腐敗認識指数」に関する2018年版報告書を発表した。これによると、米国は2011年以降初めて、清潔国の上位20位以内から陥落し、日本は前年の20位から2つ順位を上げて18位となった。
『AFP通信』『ロイター通信』の他、各国メディアが自国の順位などに触れ、TIのランキングを速報した。TIは世界180の国・地域を対象に、世界銀行、世界経済フォーラムなど12の国際機関のデータに基づいて各国の公共部門の腐敗度を数値化し、100点が最も清潔で、0点を腐敗度が最高であるとしてランキングし、毎年発表している。
TIの2018年版報告書では、米国はトランプ政権下でチェック&バランスの制度が脅威に直面しているとされている。...
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『AFP通信』『ロイター通信』の他、各国メディアが自国の順位などに触れ、TIのランキングを速報した。TIは世界180の国・地域を対象に、世界銀行、世界経済フォーラムなど12の国際機関のデータに基づいて各国の公共部門の腐敗度を数値化し、100点が最も清潔で、0点を腐敗度が最高であるとしてランキングし、毎年発表している。
TIの2018年版報告書では、米国はトランプ政権下でチェック&バランスの制度が脅威に直面しているとされている。前年から4点減の71点と腐敗度が増したと評価され、順位は前年から6つ後退して22位となり、2011年以降初めて上位20カ国圏外に沈んだ。
TIは、「米国は権力の最高レベルでの倫理的規範の崩壊に加え、チェック&バランス制度の危機を経験している中で、得点が低くなった。」と指数低下について説明した。トランプ政権の2年目には、ロシア疑惑や性的暴行疑惑のあった最高裁判事の任命など、多くの問題が噴出した。「偽ニュース」とのメディアへの攻撃や、意見の違う閣僚の罷免など、大統領には外部のチェック機能が効かないとの批判や、利益相反などの倫理的な問題の影がつきまとう。しかしTIは、問題はトランプ政権発足前から表れていたと指摘した。
ランキング上位には、これまでと同様に北欧諸国やニュージーランドなどの国々が並んでいる。デンマークが88点と、昨年首位だったニュージーランドをわずか1ポイント差でかわしてトップに立った。下位グループでは、ソマリアが10点で昨年に続き最下位となり、シリア、南スーダン、イエメン、北朝鮮などが10点代前半のスコアで続いた。
日本は73点で18位と、前年の20位から2つ順位を上げている。アジア勢ではシンガポールが最高の3位、韓国は45位、中国は87位だった。この他、英国とドイツが並んで11位、フランスが21位、ロシアは138位だった。
TIは健全な民主主義と清潔さには相関関係があるとして、世界中の多くの民主国家で独裁主義的或はポピュリスト的傾向のある指導者が誕生し、民主主義が危機に陥っていると警鐘を鳴らし、チェック&バランスの強化や報道の自由、市民の権利の保護などを訴えた。
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