経済協力開発機構(OECD)は21日、2019年の世界の経済成長率は、貿易摩擦や金利上昇などにより、3.5%に鈍化するとの見通しを発表した。従来予測の3.7%から下方修正したが、急激な減速の兆候はないとも述べている。
『ロイター通信』や
『AFP通信』などが伝えたところによると、OECDは、2018年の世界の経済成長率の見通しについては3.7%の予測を据え置き、19年と20年はともに3.5%と予測した。従来の予測では、19年については3.7%としていた。
特に非OECD諸国で成長の減速が見込まれ、米連邦準備制度理事会が段階的に利上げを実施することにより、多くの新興市場国から資本が流出する可能性が高くなるとしており、ブラジル、ロシア、トルコ、南アフリカなどの成長率見通しが引き下げられた。...
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『ロイター通信』や
『AFP通信』などが伝えたところによると、OECDは、2018年の世界の経済成長率の見通しについては3.7%の予測を据え置き、19年と20年はともに3.5%と予測した。従来の予測では、19年については3.7%としていた。
特に非OECD諸国で成長の減速が見込まれ、米連邦準備制度理事会が段階的に利上げを実施することにより、多くの新興市場国から資本が流出する可能性が高くなるとしており、ブラジル、ロシア、トルコ、南アフリカなどの成長率見通しが引き下げられた。
OECDは、金利の上昇はまた、金融市場で投資家に対するリスクが再評価され、再びボラティリティが高まる可能性があると警告している。貿易摩擦については、これにより経済の先行き不透明感が高まれば、世界全体のGDPが、2021年までに最大0.8%押し下げられる可能性があると試算した。
地域別には、先ず米国の経済成長率は、他の多くの主要国より高くなる見通しであり、OECDは、2018年は2.9%、19年は2.7%と前回9月の予測を据え置いた。減税効果が薄れ、関税引き上げの企業への影響などによって、20年は2.1%に低下するとしている。
この他の地域については、概ね前回の予測が下方修正された。アジアでは、中国についてOECDは、2018年と19年の予測をそれぞれ0.1ポイント引き下げた。18年は6.6%で、米関税の引き上げの影響を緩和させようとする同国の対応を見込み、19年には6.3%、20年には30年ぶりの低水準となる6.0%に低下していくと予測した。日本についても、18年は0.9%、19年は1.0%と下方修正したが、前回はともに1.2%としていた。20年は消費税の影響により、0.7%に減速すると予測している。
欧州では、ユーロ圏の予測もまた、前回よりやや下方修正された。金融政策の緩和がみられるが、2018年の1.9%から19年の1.8%、20年の1.6%に低下していくとしている。英国については、18年は1.3%、19年は1.4%と、19年については緊縮財政の緩和により、9月時点の1.2%から引き上げたが、20年には1.1%に低下するとして、欧州連合(EU)離脱により経済が大きく減速した場合、政府が対応を準備するよう促した。
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