ペンス米副大統領は14日、訪問先のシンガポールでミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問と会談し、ミャンマー軍によるイスラム系少数民族ロヒンギャに対する弾圧は許しがたい行為であると強い口調で非難した。
東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議などと並行して行われた会談で、ペンス副大統領は、ロヒンギャへの弾圧は「暴力と迫害」行為であり、許しがたいと非難し、併せて加害者に対する責任追及について進展を期待していると、米政権の立場を伝えた。
ペンス副大統領はまた、米政府はミャンマーにおいて、自由で民主的な報道を期待しているとして、ロイター通信の2人の記者が昨年12月に逮捕され、有罪判決を受けたことについても批判した。...
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東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議などと並行して行われた会談で、ペンス副大統領は、ロヒンギャへの弾圧は「暴力と迫害」行為であり、許しがたいと非難し、併せて加害者に対する責任追及について進展を期待していると、米政権の立場を伝えた。
ペンス副大統領はまた、米政府はミャンマーにおいて、自由で民主的な報道を期待しているとして、ロイター通信の2人の記者が昨年12月に逮捕され、有罪判決を受けたことについても批判した。2人は逮捕時、ミャンマー南西部のラカイン州で、ロヒンギャの住民10人が殺害された事件を調査していた。スー・チー氏は、記者たちの逮捕は表現の自由とは無関係であり、国家機密法に違反したことが逮捕の理由との見解を示している。
スー・チー氏はペンス氏に対し、人々は異なる見解を持っているとして、「お互いに理解を深めるよう、意見交換することが重要だ。他国より我々の方が、ミャンマーについてよく理解していると言えるし、米国も自国について同様のことを言うだろう。」と応じた。
ミャンマー軍による殺人、レイプ、放火などの残虐行為によって、大量のロヒンギャが難民として隣国バングラデシュに逃れた。ロヒンギャに対する弾圧を、米国は民族浄化であるとして、また国連は「ジェノサイド(組織的大量虐殺)」と呼び非難している。
スー・チー氏は、仏教徒が多数派を占めるミャンマーで弾圧されているロヒンギャに対し、これまで積極的な発言をしてこなかったが、これによって民主主義への戦いの象徴や、人権擁護者としての名声が大きく損なわれた。今週、国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルが同氏に授与した賞を撤回し、マレーシアのマハティール首相も、同氏には非常に落胆しているとして、その対応を批判した。
バングラデシュ政府は、ロヒンギャの帰還に向けた準備を完了させ、15日から帰還させる見通しだ。但し、国連や米国は、帰還させても人権侵害の状況に再び巻き込まれ、安全が確保されない恐れがあるとの懸念を示している。ASEAN首脳会議は、帰還作業でミャンマーを支援する用意があることを表明した。
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