この研究は12日、医学雑誌
『ランセット』に掲載され、アルコールを多く摂取する人は、脳卒中、心不全、および致命的な動脈瘤を罹患するリスクが大きくなることも報告されている。
研究は、19カ国の30~100歳までの心血管疾患既往歴のない飲酒者599,912人を対象とした。調査中40,310人の死亡が確認され、対象者が申告したアルコール摂取量との相関が調べられた。その結果、週に100グラム以上のアルコールを摂取した場合、すべての死因において増加がみられた。...
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この研究は12日、医学雑誌
『ランセット』に掲載され、アルコールを多く摂取する人は、脳卒中、心不全、および致命的な動脈瘤を罹患するリスクが大きくなることも報告されている。
研究は、19カ国の30~100歳までの心血管疾患既往歴のない飲酒者599,912人を対象とした。調査中40,310人の死亡が確認され、対象者が申告したアルコール摂取量との相関が調べられた。その結果、週に100グラム以上のアルコールを摂取した場合、すべての死因において増加がみられた。
週に100~200グラムの純アルコールを摂取した人は、100グラム未満の飲酒者と比べ、平均寿命が約6カ月短かった。
週に200~350グラムのアルコール、つまりワインやビール10~18杯を継続的に摂取する40歳の男性は、平均寿命が1~2年短くなった。
毎週350グラム以上のアルコールを摂取する人は、寿命が4~5年短くなる可能性がある。
筆頭著者でケンブリッジ大学のアンジェラ・ウッド博士は、次のように述べている。「この研究の主なメッセージは、すでにアルコールを飲む人は量を減らすことで寿命が伸び、いくつかの心血管疾患のリスクを軽減できるということである。」
共著者のデューク大学のダン・ブレイザー氏は「この研究により、以前は安全と考えられていた飲酒量が、実際には寿命低下やいくつかの望ましくない疾病に影響していることがわかった」と述べた。
100グラムを超えて摂取したアルコール1単位は寿命を平均15分縮める。これはたばこを1本吸うのと同じくらいのリスクだとケンブリッジ大学のデイビッド・シュピーゲルハルター教授は言う。
適度の飲酒は善玉コレステロールを増やし、動脈硬化のリスクを低減する。またこの研究では、飲酒が心臓発作のリスクを下げる作用があることが明らかになったが、他のリスクと天秤にかけると「結局」飲酒による健康上の利点はないと専門家は言う。
著者らは、多くの国で週あたりのアルコール摂取量が約100グラムまたは12.5単位に引き下げられるべきであると勧告した。
イギリスのガイドラインは、2016年に男女とも週14単位または112グラム未満に変更された。112グラムとは、アルコール度数4%のビール約6パイント(1パイント≒500ミリリットル)または175ミリリットルのグラスに注いだアルコール度数13%のワイン6杯に相当する。
イタリア、ポルトガル、スペインの上限はこの約1.5倍の量となっている。
米国男性の推奨上限値は、1週間あたり約25単位(196グラム)である。女性は、体重がより軽く血中アルコール濃度がより速く上昇することから、上限が男性の半量の98グラムに設定されている。カナダとスウェーデンは米国と同様のガイドラインを有する。
イギリス心臓病支援基金(BHF)上級栄養士であるヴィクトリア・テイラー氏は、この研究は英国における政府のガイドラインを裏付けるものだと語った。しかし次のようにも付け加える。「数字を基準にしていればよいという意味ではない。英国人の多くは飲酒量が上限を上回っている。ガイドラインは目標ではなく上限として理解されるべきで、飲酒量がこの基準を十分に下回るようにしなければならない。」
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