英学術誌「ハート」に掲載されたのは、フィンランドのヘルシンキ大学の研究チームによる研究結果で、社会からはなれていたり、孤立していたりする人は、コミュニティーと強いつながりを持っている人と比べて心臓発作もしくは脳卒中を引き起こす可能性が高いことを発見したという。論文によると、孤独感ではなく社会的孤立が人々の死の危険性を高めているように見えると述べており、この見解は同様の結論に至った他の研究結果も支持している。
今回研究チームは40歳から69歳の男女47万9054人を対象に、7年間にわたる調査が行われた。対象者らは、身体的要素の他に自身の民族的背景や教育レベル、所得、うつ病歴など様々な情報を提供し、さらにそれぞれの孤独度と社会的孤立感も調査された。この場合の孤独度は被験者の主観的判断に基づき、社会的孤立感は被験者が一人でいる、もしくは他者と一緒にいる時間の長さで評価したという。
それによると、孤独度を調査すると、初めて心臓発作になる割合は43%、脳卒中は39%リスクが高かった。一方、社会的孤立感では、初めて心臓発作になる割合が49%、脳卒中は36%リスクが高かった。しかし、この数字は、喫煙や過食などの生活習慣の要素が組み込まれているため、それらの要素を取り除いた結果、残ったのは社会的孤立感と病気の関係性が高かったのだという。特に社会的に孤立した人は、一度病気になってからの回復能力に深刻な影響を与えている可能性があるという。
研究を行ったヘルシンキ大学のクリスチャン・ハクリネン教授は「家族や友人など既存の関係を維持することが重要である。」と述べた。
閉じる