米国立衛生研究所の毒物研究部門(NPT)の発表した報告書によると、携帯電話から発せられる高いレベルの電磁波で、オスのラットの心臓周辺の組織に腫瘍ができた。一方で同様に実験されたメスのラットには変化がなかったという。
携帯電話の電波が動物にどのような影響を与えるかについては長年議論となっている。今回、その問題を明らかにするために米国食品医薬薬品局(FDA)はNTPに研究調査を依頼した。2年間に及ぶ研究では、オスとメス両方のラットとマウスをグループ分けして特別室に入れ、900メガヘルツ(2G周波帯)と1900メガヘルツ(3G周波帯)の電波に1日9時間ほど電磁波を浴びせた。...
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米国立衛生研究所の毒物研究部門(NPT)の発表した報告書によると、携帯電話から発せられる高いレベルの電磁波で、オスのラットの心臓周辺の組織に腫瘍ができた。一方で同様に実験されたメスのラットには変化がなかったという。
携帯電話の電波が動物にどのような影響を与えるかについては長年議論となっている。今回、その問題を明らかにするために米国食品医薬薬品局(FDA)はNTPに研究調査を依頼した。2年間に及ぶ研究では、オスとメス両方のラットとマウスをグループ分けして特別室に入れ、900メガヘルツ(2G周波帯)と1900メガヘルツ(3G周波帯)の電波に1日9時間ほど電磁波を浴びせた。強度は、体重1キログラムあたり1ワットから10ワットの範囲だったが、電子製品の一般的な上限が1キログラムあたり0.08ワットであることからも、ラットにとってかなり強度の電磁波だった。
結果として900メガヘルツを浴びた約6%のオスのラットが、心臓周辺の神経を取り囲む結合組織に悪性神経鞘腫を発症した。その他、リンパ、皮膚、前立腺、肺、脳などにおいても、性別問わず一部のラットに腫瘍が見つかったが、これらの所見が電磁波と結びついているか否かについては不明瞭だと結論づけられた。
この結果は不明瞭な点が多いため、最終結論には至っていない。しかし、これまでデータが不足していたことを考えれば、今回の新しい発見が今後の携帯電話業界に影響してくる可能性はある。ニューヨーク州立大学の公衆衛生医デイビッド・カーペンター氏は「無線電磁波があらゆる種類のがんのリスクを高めることを示す最初の明確な証拠だ。」と述べ、データの重要性を訴えた。
NPTは今後、スマートフォンに使われている4G周波帯でも同様の実験を行ウ予定である。
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