安倍首相は、オバマ大統領を広島に招いて平和宣言を託し、また、長年の懸案だった環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を日米リードで調印に漕ぎ着けたりと、ある意味で日米蜜月関係を築いていた。しかし、オバマ政策を真逆でいく保護貿易主義者のトランプ氏が次期大統領になることから、TPP戦略はもとより、対中国、対ロシア等、米国頼みとしない外交政策を推進していく必要があり、その手腕が試されている。
12月1日付米
『ブルームバーグ』オンラインニュース:「日中ロ、米国(トランプ)なしの経済連携模索」
「●TPP加盟12ヵ国が、7年の歳月をかけて漸く合意に漕ぎ着けたTPP協定は、ドナルド・トランプ次期大統領の“離脱宣言”で風前の灯火。
●元々TPP加盟国からはずれていた中国は、米国主導のTPPの成立が危ういとみるや、米国から世界経済連携リード役を奪うべく、かねて標榜の“東アジア地域包括的経済連携(RCEP)”を母体として、拡大経済圏創生に注力。...
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12月1日付米
『ブルームバーグ』オンラインニュース:「日中ロ、米国(トランプ)なしの経済連携模索」
「●TPP加盟12ヵ国が、7年の歳月をかけて漸く合意に漕ぎ着けたTPP協定は、ドナルド・トランプ次期大統領の“離脱宣言”で風前の灯火。
●元々TPP加盟国からはずれていた中国は、米国主導のTPPの成立が危ういとみるや、米国から世界経済連携リード役を奪うべく、かねて標榜の“東アジア地域包括的経済連携(RCEP)”を母体として、拡大経済圏創生に注力。
●RCEPが、日中豪印韓NZ+東南アジア諸国連合(ASEAN)の16ヵ国であることから、中国は、これに含まれないTPPメンバー(米国以外、チリ・ペルー・カナダ・メキシコ)の誘い込みはもとより、2014年より独自に提唱の“一帯一路”経済政策にも絡めて、一大経済圏構築に向けて主役を演じていくべく画策。
●また、TPPはもとよりRCEPにも加わっていないロシアも、ユーラシア経済連合(EEU、ロシアの他、ベラルーシ・カザフスタン・アルメニア・キルギス・タジキスタン)と中国の“一帯一路”経済政策と連携させて、非欧州圏での存在感アピールに奔走。
●一方、どの国よりもTPP成立に積極的な日本は、安倍首相を中心にまず国会での批准を目指し、次に米国参加を暫くペンディングとしてまずTPPを成立させ、その上でトランプ次期大統領率いる米国も参画させたい意向。
●更に安倍首相は、TPPが立ち行かなくなるとした場合の保険として、日中韓貿易協定協議はもとより、RCEP創立協議への参画、また、11月下旬にアルゼンチンを訪問した際は、“メルコスール(南米共同市場、アルゼンチン・ブラジル・ウルグアイ・パラグアイ・ベネズエラ)”との連携も模索と、東奔西走。」
一方、11月30日付中国
『チャイナ・デイリィ』:「TPPの本質が現出」
「●TPPの本質は、経済連携というより、中国排除の地政学的不平等協定と評価。
●開かれた市場どころか、米国の支配的ポジションを加盟国に受け入れさせる協定。
●ところが、トランプ次期大統領のTPP離脱宣言で、一番困ったのは安倍首相。
●米国なしのTPPは意味がないとして、米国支配のTPPであることを認め、引き続き日米同盟のために奔走しており、およそ国際的自由貿易圏創生とは全く異なる対応。
●真の国際的自由貿易圏を創生しようとするなら、まず富裕国が発展途上国のインフラ整備、例えば港湾・道路・新工業団地建設等を支援することから始めるべき。
●すなわち、正に中国が推進しようとしている政策こそが世界が望む姿。」
また、同日付米
『ロイター通信米国版』:「日本の経財相、ロシアと“ウイン-ウイン”の関係構築」
「●世耕弘成経財相は11月30日、長期間未解決の領土問題を前進させるための経済協力の提案は、ロシア側を利するのみとの懸念の声を一蹴。
●ロシア経済分野協力担当相でもある同氏は、ロシア側への経済協力は日本の企業も関わる一大開発プロジェクトであることから、日ロ双方にとって“ウイン-ウイン(相互利益)”の成果をもたらすものと言明。」
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