6月23日は沖縄戦の犠牲者らを悼む「慰霊の日」である。沖縄全戦没者追悼式において、沖縄県の翁長知事は、5月に逮捕された元米海兵隊員の強姦殺人事件に触れて、沖縄から米軍基地の撤退を要求した。一方、同式典に出席した安倍首相は、日米地位協定(SOFA、注後記)の見直し要求の声に対して、成果を上げていきたいと答えた。しかし、在沖縄米軍が基地外での飲酒を禁じる綱紀粛正策を発表して僅か1週間後に、米兵による飲酒事故が発生したり、また、安倍首相も、SOFA改定交渉を具体的にいつ、どのように行おうとするのか、何らコミットしてきていないことから、誠に遺憾ながら、オキナワの慟哭はそう簡単には慰められそうにない。
6月23日付米
『ボイス・オブ・アメリカ』(
『AP通信』記事引用):「沖縄の強姦殺人事件後間もないため、在日米軍基地で7月4日の独立記念日を祝う花火はなし」
「・在日米海軍は6月23日、元米海兵隊員による強姦殺人事件を受けて、7月4日の独立記念日を祝う花火等を中止すると発表。
・東京近郊の厚木基地、横須賀基地、また、西日本の佐世保基地で予定されたコンサートやその他セレモニーも中止。...
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6月23日付米
『ボイス・オブ・アメリカ』(
『AP通信』記事引用):「沖縄の強姦殺人事件後間もないため、在日米軍基地で7月4日の独立記念日を祝う花火はなし」
「・在日米海軍は6月23日、元米海兵隊員による強姦殺人事件を受けて、7月4日の独立記念日を祝う花火等を中止すると発表。
・東京近郊の厚木基地、横須賀基地、また、西日本の佐世保基地で予定されたコンサートやその他セレモニーも中止。
・在日米軍に対する非難の声は非常に強いが、そもそも普天間基地を人口過疎な場所へ移転する話も、1995年に発生した3人の米兵による少女強姦事件がきっかけ。
・沖縄県側は、在日米軍5万人の半分が、日本の国土の僅かしかない沖縄に集中していることから、深刻な犯罪や騒音問題が発生しているとクレーム。
・しかし米軍側は、米兵が犯した犯罪発生率数は日本全国の平均値より低いとコメント。」
一方、6月22日付ロシア
『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「米兵による強姦被害者、日本政府から犯罪者扱いと激白」
「・沖縄県では6月19日、最大規模の集会(編注;主催者発表で6万5千人)が開かれ、元米兵による強姦殺人事件を契機とした反基地、反米をアピール。
・本紙は、2002年に横須賀基地の米兵による強姦被害に遭った豪州人女性のキャサリン・ジェーン・フィッシャー氏(CJF)にインタビューした内容を詳述;
-米兵による強姦に遭った際、CJFはすぐに日本の警察に助けを求めたが、逆に犯罪者扱いされ、救急車を呼ぶよう求めた要請も無視。
-犯人を逮捕し、裁判にかけるよう掛け合ったが、犯人が既に帰国してしまったこともあり、SOFA条項によって日本側はどうにもできないとの対応。
-CJFは、その当時から日本政府がSOFAの改定交渉等、きちんと対応していれば、今回の元米兵による強姦殺人事件は発生しておらず、被害者の20歳の女性は死なずに済んだろうとコメント。
・現在、沖縄基地には2万6千人の米兵が駐留しているが、1972年(編注;沖縄の日本復帰年)以来、米兵が関わる犯罪はほぼ6千件にも上る。」
安倍首相はともかく、在日米軍トップも日本の諺を良くご存知なのであろうか。“喉元過ぎ
れば熱さを忘れる”とか“人の噂も75日”という諺を。安倍首相の場合、耳に心地よいリ
ップサービスも今夏の参議院議員選挙までであろうし、一方、在日米軍トップも、独立記
念日のお祝い行事について、今年はさすがに自粛するにしても、来年の独立記念日の行事
復活は問題ないだろうし、もしかすると、11月の新大統領誕生を祝って、今年のクリスマ
スは従来通り派手に祝えるかも知れないと思っているのではあるまいか。
(注)SOFA:1960年締結の、日米安全保障条約に基づいて、在日米軍に施設や用地を提供する方法や、日本国内での米軍人の権利などについて定めた協定。米軍基地内での管理権や基地の外での警察権を認め、米兵らの犯罪について日米両国の裁判権が競合する場合の第1次裁判権は、公務執行中の場合は米軍が、その他は日本側が持つことなどを規定。
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