12月14日付「イスラム過激派組織イスラミックステート(IS)と有志連合の戦いの行方は?」の中で、“ISが仕掛けたと言われる、パリ等での一連の無差別テロ事件を契機に、米国主導の有志連合軍に英国、フランスはもとより、ロシアも協調して空爆を仕掛け、IS主要メンバーである財務トップらを殺害することに成功した。しかし、一方でISは、石油の密売や銀行の略奪などで15億ドル(約1,800億円)もの多額の資金を得ており、ISと有志連合との戦いは依然果てしないとみられる”と報じた。そして、大統領選候補者の一人のトランプ氏を含めた、野党・共和党側から一斉に弱腰外交と非難されたオバマ大統領が、いよいよIS掃討作戦に積極的に動き出したと米・英国メディアが伝えている。
12月16日付米
『NBCニュース』は、「カーター国防相、IS壊滅のためイラク訪問」との見出しで、「米国防総省のアッシュ・カーター長官は12月16日、IS壊滅作戦を急ぐため、事前通知なく急きょイラクを訪問した。同長官は、現地派兵3,500人を率いる米司令官やイラクのトップと会い、戦闘ヘリコプターの起用等、IS主要メンバーを拿捕、あるいは殺害して、ISを壊滅させるための新たな戦略を討議する予定である。」とし、「なお、カーター長官のイラク訪問は、オバマ大統領が12月14日、国防総省を訪問して、IS壊滅作戦を急ぐよう檄を飛ばしたことから、急きょ決まったものと思われる。」と報じた。
同日付米
『Yahooニュース』(
『ロイター通信』記事引用)は、「米国防長官、対IS戦強化のためバグダッド訪問」との見出しで、「米国防総省は今月、イラクとシリアに強力部隊を派遣し、イラク部隊が手間取っている、バグダッドの西のラマディを奪還する作戦に投入すると発表していた。カーター長官のイラク訪問はこれらを含めた対IS壊滅作戦の詳細を協議するためという。また、シリアのラッカ等大都市の多くがISに制圧されていることもあり、従来オバマ大統領は米軍による地上戦に消極的であったが、IS掃討作戦に積極的に関わる必要が出てきている。」と伝えた。
一方、12月15日付米
『CNNニュース』は、「ドイツ、シリア・テロリストグループ支援の説教師を逮捕」との見出しで、「ドイツ司法省は12月15日、ドイツ内のシリア・テロリストグループ(JMA)を資金的に支援し、また、ジハーディスト(聖戦戦士)と呼ばれる戦闘員を募った罪で、ドイツ人説教師のスベン・ロー(35歳)を逮捕したと発表した。JMAは2013年設立以来、ISと緊密に連携してきた。同容疑者はドイツ西端のヴッパータール(デュッセルドルフ北東近郊)で拘束された。また、ドイツ特捜部隊は先月、ベルリン(ドイツ東端)のイスラム文化センターを襲撃した容疑で2人を逮捕している。ドイツ政府は今月初め、IS掃討作戦にもっと積極的に関わると表明している。」と報じた。
また、12月16日付英
『メール・オンライン(デイリィ・メール電子版)』は、「IS、制圧下の住民に国際放送視聴禁止」との見出しで、「ISが制圧しているシリアのラッカで配布されている通告によると、ISは住民に対して、反IS活動家が仕掛けているIS非難の映像を流す国際放送の視聴を禁止したという。また、新たにテレビを購入したり修理することも認めず、必要に応じてIS戦闘員に違反した住民の家屋に入らせ、衛星放送設備などを破壊させている。ISは特に西側文明の象徴を敵視しており、今年初めには米スポーツ用品大手のナイキ製商品の着用を禁止し、また、個人のインターネット使用も認めていない。従って、ラッカの住民は、IS管理下にあるインターネット・カフェでしか、インターネット使用が許されていない。」と伝えた。
シリアのラッカ含めて、IS制圧下で不便を強いられるだけでなく、無謀な搾取をされている住民は数百万人と言われる。また、IS方針に従わないとして拘束され、拷問、更には斬首されてしまう人も数百人に上るともいう。ある意味、ISの人質になっている多くの住民を救い出すのに、あとどのくらい有志連合の空爆や地上戦が必要なのであろうか。
なお、オバマ大統領が12月14日にメディアに明らかにしたところでは、イラクにおいてはISに占拠された市街地のうち、約4割を奪還したとし、また、石油取引や武器・兵士の手配をしていたIS幹部、そして、日本人ジャーナリストの後藤健二さんらを殺害したとされる、ジハーディ・ジョンと呼ばれた英国人ISメンバーを殺害したという。
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