医薬品に分類され、処方箋がないと購入できないメラトニンは、米国では食品サプリメントとして扱われている。近年の調査の結果では、夜寝付きを良くさせるため子どもにメラトニンを与える親が増えているというが、不眠症への対処法として健康な子どもに使用した場合のエビデンスはまだ十分ではない。
11月28日付
『Yahooニュース』:「子どもにメラトニンを与えても大丈夫なのか」
メラトニンは長い間に渡り、睡眠補助のサプリメントとして利用されてきた。近年の様々な調査の結果、夜寝かせるため子どもに与える親が増えているというが、不眠症への対処法としてのサプリメントを、健康な子どもに使用した場合のエビデンスはまだ十分ではない。
国立補完統合医療センター(NCCIH)によると、メラトニンとは睡眠と覚醒のサイクルを調節するため、体が自然に作り出すホルモンのこと。暗さに反応してメラトニンは生成されるが、サプリメントとしても補充できる。
コロラド大学の研究によると、学童期と十代前半の子どもの約5人に1人が睡眠にメラトニンを使用していう。11月、小児科学の専門誌「JAMA Pediatrics」に掲載された調査では、過去30日間で、5歳から9歳の18.5%、10歳から13歳の19.4%がメラトニンを与えられていた。更に小さな1歳から4歳の子どもでも6%が睡眠前にメラトニンを使用していたという。
今年3月の米睡眠医学アカデミー(AASM)が睡眠習慣やメラトニン利用を調査した結果では、回答した2千人のうち約半数の親が、メラトニンサプリメントを与えていると回答。46%が13歳未満の子どもに睡眠のいずれかの段階で与えており、30%が13歳以上の子どもに睡眠導入時に与えていた。
更に詳細に調べたところ、13歳以上の子どものいる父親では、母親に比べメラトニンを与える傾向が13%高く、親の年齢が25歳から34歳の場合でも、その傾向が高かったという。
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このようにサプリメントとしての利用が増えている一方で、子どもに与えることの是非は分かっていない。昨年発表された調査によると、睡眠障害があった子どものほぼ半数がメラトニンを与えられていた。
米小児科学会(AAP)は、メラトニンはあくまでサプリメントであり、米食品医薬品局の規制対象ではないと主張する。31種類の人気のメラトニンサプリメントを調べた調査では、メラトニンの含有量に大きなばらつきがあり、子どもが利用することの多いタブレットタイプで、ラベルに記載されているよりも半分未満から4倍というケースもみられたという。また、商品の中には、店頭で買えるものでも、処方が必要な成分が含まれているケースも見られた。
睡眠障害の専門家は、小児における神経発達症以外のサプリメントの使用過多が目立っていることから、まずは睡眠衛生の改善をすべきだと指摘。スクリーンタイムや、早いペースの生活は睡眠のトラブルにつながるため、睡眠前の読書や書物など静かな活動で、体が睡眠の準備に入るのが望ましいとする。
同日付英『BBC』:「米国で睡眠にメラトニンを使う子どもが増えている」:
米国の子どもで、メラトニンの使用が過度に増えており、14歳未満のおよそ5人に1人が睡眠補助として使っているという。米国でメラトニンは、食品サプリメントとして扱われている。他の国々では医薬品に分類され、処方箋がないと購入できなくなっている。
最新の調査によると、5歳から8歳では、約18%が睡眠補助剤としてメラトニンを利用。昨年アメリカ睡眠医学アカデミー(AASM)は、若者のメラトニン利用に関し、親が子どもに与える場合は医師へ相談するよう勧告している。
今月「JAMA Pediatrics」で発表された論文によると、993人の1歳から14歳で、近年メラトニンの使用が増加しているとの報告があった。調査対象者が少ないことから、必ずしも、米国全体の実態を反映しているとは限らないが、過去数十年増加を続けている。
今年はじめにアメリカ睡眠医学アカデミー(AASM)がオンライン調査を行った際には、約46%が13歳未満に睡眠補助のためメラトニンを与えていた。父親が母親よりも、更に若い親ほどメラトニンを与える傾向が強いという。
米国の毒物センターによると、小児のメラトニン摂取は2012年から2021年で530%増加している。多くのケースは誤飲で84%以上、1%で集中治療室に至ったケースもみられる。
メラトニンを接種することにより、日中の眠気、めまい、吐き気などの軽い副作用が起きる場合はあるが、子どもや青少年への長期的な影響は解明されていない。
AASMは、医薬品と同様に使用を控えるよう推奨、小児科に相談の上、睡眠習慣の改善により睡眠問題を解決するよう提案している。
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