2022年2月にウクライナ戦争が勃発してから、ロシア人のアンドレイ(30代の男性、仮名)が金融コンサルタントとして働いていた米国系会社のモスクワ事務所は閉鎖された。そのため、ウズベキスタンの首都タシケントか、ドバイに移るかの選択に迫られた。数週間のうちにドバイに移ることを決定した。その年の6月までには、妻と1才の娘の引っ越し準備を行った。
なお、ソ連崩壊後、ドバイはロシア人にとっては人気のある旅行先となっていた。...
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2022年2月にウクライナ戦争が勃発してから、ロシア人のアンドレイ(30代の男性、仮名)が金融コンサルタントとして働いていた米国系会社のモスクワ事務所は閉鎖された。そのため、ウズベキスタンの首都タシケントか、ドバイに移るかの選択に迫られた。数週間のうちにドバイに移ることを決定した。その年の6月までには、妻と1才の娘の引っ越し準備を行った。
なお、ソ連崩壊後、ドバイはロシア人にとっては人気のある旅行先となっていた。ウクライナ戦争以降、UAEはさらに、他のアラビア半島の国々に見習い、欧米諸国の推奨するロシアに対する制裁措置には参加しなかった。そのことが、多くのロシア人をドバイに引き寄せることになった。
アンドレイによれば、昨年欧州に旅行したが、ウクライナの国旗が至る所に掲げられていて、ロシア人として肩身の狭い思いをしたという。それに比べて、ドバイではロシア人、ウクライナ人の差別はなく、仕事の機会にも恵まれているという。ドバイの不動産斡旋会社ベターホームによると、2022年にはロシア人が、ドバイの不動産物件の海外からの買い主としてトップの案件数を記録したという。
また、不動産斡旋会社ハウス・ハウスによると、多くのロシア人は資産運用のためにドバイの物件を購入しているが、自分の住宅として購入するケースも多いという。この会社での2022年のロシア人の物件購入数は、前年2021年に比べて125%の伸びを示したという。ハウス・ハウスの社長によると、ロシア人顧客の急増状況に対応するため、ロシア語のわかる社員をこれまでの2人から7人に増やしたという。
なお、不動産物件数不足の影響を受けて、2022年には賃貸料が平均20%上昇したという。
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