既報どおり、豪州は5月下旬、クワッド会議(注1後記)サミットをシドニーのオペラハウスで開催する意向であった。しかし、米大統領が、米債務上限問題で議会側との交渉継続のため、主要7ヵ国首脳会議(G-7サミット)のみへの出席に止めることとした。そこで豪州首相は止む無く、シドニー開催を断念し、代わって日本で同会議を主催する意向としている。
5月17日付米
『AP通信』、豪州
『ジ・オーストラリアン・ヘラルド』オンラインニュース等は、5月24日にシドニーで開催予定だったクワッド会議が、米大統領不参加との決定を受けて、急遽G-7サミットの機会を捉えて同会議を開催することになる見込みだと報じている。
アンソニー・アルバニージー首相(60歳、2022年就任)は5月17日、翌週シドニーで主催するとしていたクワッド会議サミットの開催を見送ると発表した。
この直前、ジョー・バイデン大統領が懸案となっている米債務上限問題で議会側との交渉継続が必須となり、G-7サミットのみの出席に止め、南太平洋で初となる太平洋諸国フォーラム(PIF、注2後記)首脳らとの国際会議も、クワッド会議も欠席せざるを得なくなったと表明していた。
同首相は記者会見で、“バイデン大統領が抱える債務上限問題は国内問題ではあるが、もし6月1日までに合意できなければ、米経済のみならず世界経済にも深刻な影響を及ぼしかねず、従って、同大統領のクワッド会議欠席は止むを得ないことで十分理解する”とコメントした。
同首相は更に、“バイデン大統領から本日(5月17日)朝、自身に対して、今回の欠席を残念だとの話があった”とした上で、岸田文雄首相(65歳、2021年就任)もナレンドラ・モディ首相(72歳、2014年就任)も広島で5月20・21日に開催されるG-7サミットに出席するので、その機会を捉えて現地でクワッド会議を開催することを考えたい“とも付言している。
なお、岸田首相も訪豪を中止したが、モディ首相は予定どおり5月22日から訪豪予定で、アルバニージー首相は、“モディ首相は5月23日、豪州在住のインド系移民に対する講演会を予定していて、収容人数2万人のスタジアムは既に満席となる見込みである”と述べている。
(注1)クワッド会議:日・米・豪・印4ヵ国でつくる連携や協力の枠組み。メンバー国は、民主主義等の価値観を共有していて、それぞれ連携を強めることで、インド太平洋地域で影響力を高める中国の行動を抑えたい狙いを持つ。特に米国は、中国に対抗する上で価値観を共有する同盟国や友好国との連携を重視していて、クワッド会議を首脳レベルに引き上げて、2021年3月にオンラインの首脳会議を主催。同年9月には対面での首脳会議を初めて開き、今後は毎年開催することで合意。2022年5月には日本が主催。
(注2)PIF:米・英国・フランス等の旧宗主国主導の南太平洋委員会(1947年設立の地域協力機構)に対抗して、島嶼国の主体性を堅持し、結束を図ることを目的として1971年創設。加盟国は、パプアニューギニア・フィジー・ソロモン諸島・ツバル・サモア等16ヵ国に援助供与国の豪州・NZを加えた18ヵ国。
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