パリやサン・ドニでの無差別攻撃後に、ロシア民間機の墜落事故がイスラミックステート(IS)によるものとロシアが認めた。 カリフが宣言した領土外で攻撃に及んだ事で、「イスラミックステート(IS)は次の段階へいった」(
『ルモンド紙』)とフランス各メディアが評するが、その潜在能力を把握し直すためにフランスでは改めて調査が始まった。
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『レゼコー』は「イスラミックステート(IS)の資金調達法」と見出しをつけて、20億ドル近い資産があると豪語するイスラミックステートの資金源の実態を解明する。「原油転売、古代の文化財の密売、市民の財産の押収が主な資金源だが、それだけではない」と、その資金力への再評価が必要である事を示す。
第二の経済紙
『トリビューン』によると、フランスのドリアン防衛相は以前にも下院の公聴会で「イスラミックステート(IS)の軍備と資金は驚くほど」と語り、仏上院の軍事委員会でも同じ発言をしている。...
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『レゼコー』は「イスラミックステート(IS)の資金調達法」と見出しをつけて、20億ドル近い資産があると豪語するイスラミックステートの資金源の実態を解明する。「原油転売、古代の文化財の密売、市民の財産の押収が主な資金源だが、それだけではない」と、その資金力への再評価が必要である事を示す。
第二の経済紙
『トリビューン』によると、フランスのドリアン防衛相は以前にも下院の公聴会で「イスラミックステート(IS)の軍備と資金は驚くほど」と語り、仏上院の軍事委員会でも同じ発言をしている。この時に対空砲などの地対空の兵器は殆どないと報告し、この直後にフランスはイラクで初めての空爆を開始した。1年経過しても勢力を伸ばしており、イスラミックステート(IS)の過小評価がその一因とも言える報道である。
イスラミックステート(IS)は現在8つの油田を支配下におくが、「レゼコー」は「石油による収益が過大評価される」と指摘する。「石油の転売にしても、市場価格より安く取引されるため確実に収益をあげるのは難しい」と米国の民主主義防衛財団の専門家の見解を引用する。また別の専門家が算定した一日当たりの収益3~400万ドルを、国連は一日当たり160万ドルと下方修正した。シリア石油相は、政府は一日1万7千バレル精製する一方でイスラミックステート(IS)は8万バレルと見積るが、英国の研究所は5万バレルと見る。意見が割れるが「多くの専門家が大幅に過大評価と考える」と報じる。
また「レゼコー」は「一部湾岸諸国からの寄付が最大の資金源」である可能性に触れる。イラク当局はそう見積る。「実際に、現在のテロ組織の形をとる以前に、同じスンニ派のサウジアラビアやカタールからかなりの資金提供を受けた」事を伝え、「G20の加盟国も含む約40ヶ国からイスラミックステート(IS)は資金提供を受けている」とG20でプーチン大統領が断言した事を報じる。「この資金提供は原油の違法販売を含む様々な取引を通して行われている事を表す」とする。戦わずに防ぐ防衛方法の一つに資金源を断つ事があるが、周辺の湾岸諸国との連携も鍵の一つである。
「レゼコー」や「トリビューン」はこの他に、戦闘地域を逃れた住民や捕虜や犯罪人の財産の押収、古代文化財や骨董品の密売、占領地の銀行からの略奪、人身売買や身代金など多様な資金源を挙げる。証明が難しい密売による収入の信憑性については、「米軍が2015年の軍事活動の時に押収した文書に、前述のシリア州で転売された骨董品が20%の課税対象となっていた事が示されていた」と報じる。
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