世界経済フォーラム(WEF、注1後記)年次総会が1月17~21日の間、オンライン形式で開催されている。そこで基調演説を行った習近平国家主席(シー・チンピン、68歳)は、(自国のことを棚に上げて)世界各国は今こそ“冷戦思考”を捨て去り、かつ、敵対、覇権主義及び弱い者いじめを止める必要があるとアピールした。
1月17日付米
『タイム』誌(1923年発刊の世界初のニュース誌):「習近平国家主席、WEF年次総会において“冷戦思考”を止めて協力体制構築を強調」
習近平国家主席は1月17日、オンライン形式で開催されているWEF年次総会において、
米国を暗に批判する形で、新型コロナウィルス(COVID-19)感染問題等に打ち勝つため、“冷戦思考”を止めて世界は一致協力すべきだと強調した。
同国家主席は、その一環で中国は世界の国々向けにCOVID-19ワクチン10億回分を追加で配布するとも言及した。...
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1月17日付米
『タイム』誌(1923年発刊の世界初のニュース誌):「習近平国家主席、WEF年次総会において“冷戦思考”を止めて協力体制構築を強調」
習近平国家主席は1月17日、オンライン形式で開催されているWEF年次総会において、
米国を暗に批判する形で、新型コロナウィルス(COVID-19)感染問題等に打ち勝つため、“冷戦思考”を止めて世界は一致協力すべきだと強調した。
同国家主席は、その一環で中国は世界の国々向けにCOVID-19ワクチン10億回分を追加で配布するとも言及した。
更に、気候変動対策、経済発展等にも努力していくとも付言した。
同国家主席は、COVID-19感染問題が勃発した2020年初め以降海外渡航をしていないが、これまで中国は、世界120ヵ国以上に20億回分余りのCOVID-19ワクチンを提供したとした上で、今後、アフリカ向けに6億回分、また、東南アジア向けに追加の1億5千万回分の無償提供を含めて、世界に10億回分を提供するという。
これに対して、国連主体のCOVAXファシリティ(注2後記)がこれまでに途上国に配布できたCOVID-19ワクチンは10億回分に留まっている。
習国家主席の冒頭の発言は、台湾、知的財産、国際貿易、人権及び南シナ海領有権問題で、米国との緊張関係が高まっている状況を踏まえてなされたものである。
そこで同国家主席は、“世界は今こそ冷戦思考を放棄して平和共存の道を選ぶべきだ”とした上で、“覇権主義や弱い者いじめ等からは何も生まれない”とした。
更に、“他国を犠牲にして自国のみの繁栄を追及することは止め、平和的発展及び相互利益の享受こそが人類が取るべき正道だ”とも強調した。
一方、インドのナレンドラ・モディ首相(71歳)は、今後25年間の経済成長を“環境を重視し、かつ長期持続可能で信頼性のあるものにする”とした上で、太陽光発電への大規模投資を踏まえて2070年までにネットゼロ・エミッション(温室効果ガス排出を正味ゼロとすること)を達成すると表明した。
しかし、国連のアントニオ・グテーレス事務総長(72歳、元ポルトガル首相)は、中国及びインドが最大の石炭消費国であるとの懸念を表明した。
同事務総長は、“温室効果ガス排出量は絶対減少させなければならないのに、依然増え続けている”とし、例えば米国のクリーンエネルギー技術を中国に提供する等の“連携”が必須だと強調した。
なお、ドイツ、コロンビア、日本の首脳も、1月21日までのWEF総会開催期間中に基調演説を行う予定である。
1月18日付インド『アジア・ニュース・インターナショナル』(1971年設立の通信社):「習国家主席、敵対や“覇権主義及び弱い者いじめ”に反対し、“冷戦思考”も放棄すべきだと発言」
習国家主席は、今週オンライン形式で開催されているWEF年次総会で、“今、国際社会では憎しみと偏見に満ち溢れている”とした上で、“冷戦思考を捨て去り、平和的共存や相互利益の追求に注力する必要がある”と発言した。
また、“敵対するだけでは何ら問題解決に繋がらないことは歴史が証明している”とし、“異なる国もその市民もお互いに違いがあることを尊重し、その上で共通の認識の下で互恵・ウィンウィンの関係を実現することが肝要である”と強調した。
更に、“対立ではなく対話を、除外ではなく包括(一体)を、そして一国主義・保護貿易・覇権主義・権力政治に断固対抗していく道を選択すべきである”とも付言した。
(注1)WEF:経済、政治、学究、その他の社会におけるリーダーたちが連携することにより、世界、地域、産業の課題を形成し、世界情勢の改善に取り組むことを目的とした国際機関。1971年に経済学者クラウス・シュワブにより設立。スイスのコロニーに本部を置き、同国の非営利財団の形態を有している。スイスのダボスで開催される年次総会「ダボス会議」が特によく知られており、約2,500名の選ばれた知識人やジャーナリスト、多国籍企業経営者や国際的な政治指導者などのトップリーダーが一堂に会し、健康や環境等を含めた世界が直面する重大な問題について議論する。
(注2)COVAXファシリティ:COVID-19ワクチンへの公平なアクセスを目的としたグローバルな取り組み。ワクチンと予防接種のための世界同盟(GAVIアライアンス)、世界保健機関(WHO)、感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)などが主導して2020年4月立ち上げ。
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