米ニューヨーク州のマンハッタン地区に就任した新検事のアルビン・ブラッグ氏は、就任後わずか数日で新たな起訴、保釈、司法取引、量刑に関する方針を発表した。同検事は、市の安全性を高め刑事司法制度をより公正にすると述べているが、新しい方針は警察組合幹部からの批判に直面している。
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『フォックスニュース』によると、2022年に新しくマンハッタン地区の検察として就任したブラッグ検事は、従来の法執行手順を覆し、犯罪者を刑務所に送らず、起訴を追求する際に、「服役に代わる手段」を強調する方針を明らかにした。服役を免れないのは、殺人、人の死が関わる犯罪、あるいは重罪に限定される。武装強盗のような重大犯罪は軽犯罪に格下げされることになり、釈放される可能性が出てきている。
ブラッグ氏は、「刑期ではなく、説明責任」に焦点を当てることで、「安全性と公平性という目標」を求めているとし、自身の改革が「より安全なものになる」と主張している。...
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『フォックスニュース』によると、2022年に新しくマンハッタン地区の検察として就任したブラッグ検事は、従来の法執行手順を覆し、犯罪者を刑務所に送らず、起訴を追求する際に、「服役に代わる手段」を強調する方針を明らかにした。服役を免れないのは、殺人、人の死が関わる犯罪、あるいは重罪に限定される。武装強盗のような重大犯罪は軽犯罪に格下げされることになり、釈放される可能性が出てきている。
ブラッグ氏は、「刑期ではなく、説明責任」に焦点を当てることで、「安全性と公平性という目標」を求めているとし、自身の改革が「より安全なものになる」と主張している。また、被告人の人種も考慮されることを望んでいる。
ブラッグ検事は、一部の不法侵入罪、逮捕に抵抗した罪、不正乗車、売春などをほぼ起訴しないことにしている。武装強盗のほか、店や一般の家の収納庫からの窃盗、あるいは麻薬取引などの罪も軽くするという。
米『CNN』によると、軽犯罪の場合、「出頭命令」を出すことが法律で義務づけられているが、その場合、犯罪者の救済を目的とした服役以外の解決方法や地域密着型の更生プログラムを提供するとしている。検察はまた、犯罪を起訴することを拒否することができるようになる。ブラッグ検事は、「公判前勾留を非常に深刻な事件に限定したい」と考えている。
この政策改革案は、警察組合であるPolice Benevolent Associationの怒りを買っている。同組織のパトリック・リンチ会長は、この種の政策が警察官や 犯罪者に送るメッセージについて懸念していると述べている。リンチ会長は『CNN』の取材に対し、「警察官は、地方検事が起訴しないような法律の執行に駆り出されることを望んでいない」と述べている。「そして、犯罪を犯し、逮捕に抵抗し、警察官を妨害しても、何の影響も受けないと信じている人々が、すでにあまりにも多くいる。」と危機感を表明した。
1月1日に就任したニューヨーク市のエリック・アダムス市長は、出演したテレビ番組で、犯罪を阻止することは重要だと考えているが、ブラッグ氏の検察官としての経験は尊重すると述べている。
マンハッタンの地元誌『シティージャーナル』は、こうした政策転換によってニューヨーク市警は、すべての逮捕が乱闘になり、その中で罪に問われる可能性があるのは警察官だけになることが予想できると報じている。シカゴやミネアポリスのような都市で、すでに同様の方針を取った結果、犯罪が急増し、致命的なストリートレースや車の暴走行為などが起こっているという。また、ブラッグ検事は不法侵入を起訴しない方針を示しているが、同様の政策を取っているカリフォルニア州のサンフランシスコでは、緑地や道路にホームレスのテント村が誕生しているという。
同誌はまた、50キロのヘロインで捕まった麻薬密売人は、麻薬取引ではなく、軽犯罪の麻薬所持で起訴されることになるため、このような政策が、銃を持ち、薬物を売買する重罪人をマンハッタンの街に増やすことになるのは、犯罪の天才でなくても分かることだと伝えている。そして、ブラッグが公判前勾留やその後の実刑判決に推薦するのは、殺人犯、実際に重傷を負わせた射殺犯(混雑した通りで50発発砲しても、誰にも当たらなければ収監されない)、家庭内暴力や汚職事件などの特定犯罪の加害者だけとなる。窃盗犯、強盗犯、麻薬密売人、武装した重罪犯、ギャング、その他マンハッタンにいるあらゆる危険な犯罪者は刑を科せられることはないことになるとして、ブラッグ検事の政策は、災害をもたらすレシピでしかないと批判している。
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