近頃ではあらゆる分野の様々な商品がインターネットで購入できるようになった。購入する際に商品の購入者が書き込んだ感想(いわゆるレビュー)が参考にされることも少なくないだろう。そんな中、世界的大手通販サイト「アマゾン」が偽のレビューを投稿したとして1000人以上を訴えることが明らかとなった。各メディアは以下のよ
うに報じている。
10月18日付
『BBCニュース』はアマゾンがアメリカのワシントン州、シアトルで1000人以上を相手に虚偽のレビューを投稿したとして訴訟を起こしたと報じている。被告は、アマゾンで商品を販売している業者(出品者)の売り上げを促進するために、金銭を受け取って虚偽のレビューを書いていたというのである。
訴訟の相手方は1114人に上るが、いずれも「身元不明」とされているという。これらの被告はFIVERRというサイトで1回5ドルの報酬を受け取り、出品者の商品を「素晴らしい」とする評価をアマゾンのサイトに投稿していた。...
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10月18日付
『BBCニュース』はアマゾンがアメリカのワシントン州、シアトルで1000人以上を相手に虚偽のレビューを投稿したとして訴訟を起こしたと報じている。被告は、アマゾンで商品を販売している業者(出品者)の売り上げを促進するために、金銭を受け取って虚偽のレビューを書いていたというのである。
訴訟の相手方は1114人に上るが、いずれも「身元不明」とされているという。これらの被告はFIVERRというサイトで1回5ドルの報酬を受け取り、出品者の商品を「素晴らしい」とする評価をアマゾンのサイトに投稿していた。「たとえ投稿された虚偽のレビューが全体のうち少数であったとしても、虚偽のレビューが投稿されているという事実自体が消費者や他のアマゾンでの出品者のアマゾンに対する信頼を揺るがし、アマゾンというブランドの名を汚すものである」とアマゾン社は訴状に記載しているという。
アマゾン社は今回の訴訟提起にあたり、実際にFIVERRで偽のレビューを書いてくれる人を募る、いわゆる「おとり」の手法を用いて調査をしてきたという。その中で、レビュー投稿者はレビューをを書く際、捜査の手を免れるために複数のアカウントを用いていたという。
アマゾン社は今回の訴訟は決してFIVERR自体を標的にしているのではなく、虚偽の情報から消費者を保護し、虚偽のレビューを投稿することで報酬を受け取ることができるというシステム自体を根絶するのが目的だという。
10月18日付
『テレグラフ』(イギリス)によれば、今回と同様のケースは他のサイトでも見受けられるという。また、今回の訴訟の被告を辿っていく過程で、イギリスに飛び火する可能性もあるという。
「トリップ・アドバイザー」(アメリカに本拠地を置く旅行に関する口コミ、価格を比較するウェブサイト)もここ半年間で虚偽のレビューを投稿している30の関連会社との取引を打ち切ったが、虚偽のレビューを投稿する会社は後を絶たない。今やレストラン、ホテル、小売業者など様々な業種で投稿されるレビューの重要性に対する認識が高まっており、脚色されたレビューが日々投稿されているという。そのため「トリップ・アドバイザー」では、該当業者への法的措置や、業者名の公開を検討中だという。日用品から旅行まで、インターネットで買い物をする人にとっては由々しき事態であろう。
「テレグラフ」でもアマゾン社はFIVERR自体を訴えることを目的としているのではなく、そこで虚偽のレビューを投稿することを商売とする個人を訴える意向だということが報じられている。
イギリスにある法律事務所「オルスワング」のアシュレイ・ハースト氏は「今回の訴訟はインターネットのレビュー投稿に関するものでは、空前の規模のものになる。イギリス政府の競争市場局も近年インターネット上での虚偽のレビューの取引状況について調査に乗り出しており、数年のうちに規制や綱領が示されることになるだろう」と語ったという。
10月18日付
『WTVR.COM』(アメリカ・CBS)は前出のFIVERRというサイトを「一つの仕事を5ドルで請け負う人を探せる便利屋のようなサイト」と説明している。さらにアマゾン社は今年の4月にも虚偽のレビューを売買しているとして複数の運営サイトを訴え、それらのうちほとんどのサイトがたたまれているものの、次なるステップとして個人のレビュー投稿者を訴えることにしたと報じている。また、今回の訴訟提起はアマゾン社自体の約款とワシントン州消費者保護法に違反することに基づいていることも報じている。
FIVERRは今回の訴訟に協力するか否かについて明言を避けつつ、「虚偽のレビューの売買はインターネット業界をあげて取り組んでいかなければならない課題であり、わが社でもレビューの投稿は実際に商品を購入した場合にのみ限っている」とコメントしたという。
インターネットでの商品の購入は、入手できる情報もインターネットに頼らざるを得ないのが実情である。信頼に足る情報が得られてこそ、取引が促進され市場が活性化する。そのためにもレビューの公正さを確保する仕組みが不可欠であり、今回の訴訟はこの問題に一石を投じるものになるであろう。
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