3月15日付米
『AP通信』:「中国牽制のため、トランプ政権下で米海軍のFONOP頻発」
中国は、南シナ海の90%前後を自国の主権下にあるとし、また、台湾は中国の領土だと主張して、一方的に様々な行動に出てきている。
そこで米政府は、中国がこれらの地域で軍事力を以て制圧し、米国の影響力を減退させようとしていると懸念し、米軍艦を同地域に派遣して中国牽制に出ている。
特に、中国に対して貿易・最先端技術・新型コロナウィルス(COVID-19)感染問題等でどぎつい対応を繰り広げたトランプ政権下では、南シナ海の中国人工島周辺でのFONOPを2019年、2020年とそれぞれ10度ずつ、また、台湾海峡横断航行も2020年に13度と、過去14年間で最多回数実行されている。...
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3月15日付米
『AP通信』:「中国牽制のため、トランプ政権下で米海軍のFONOP頻発」
中国は、南シナ海の90%前後を自国の主権下にあるとし、また、台湾は中国の領土だと主張して、一方的に様々な行動に出てきている。
そこで米政府は、中国がこれらの地域で軍事力を以て制圧し、米国の影響力を減退させようとしていると懸念し、米軍艦を同地域に派遣して中国牽制に出ている。
特に、中国に対して貿易・最先端技術・新型コロナウィルス(COVID-19)感染問題等でどぎつい対応を繰り広げたトランプ政権下では、南シナ海の中国人工島周辺でのFONOPを2019年、2020年とそれぞれ10度ずつ、また、台湾海峡横断航行も2020年に13度と、過去14年間で最多回数実行されている。
このFONOP航行は、国際法に基づくものと主張できるだけでなく、具体的な武力衝突なしに目に見える形で対中国牽制が可能となるため有効と考えられる。
バイデン新政権下でも、南シナ海におけるFONOP継続は実行される可能性があり、2月17日にはミサイル駆逐艦“ラッセル”(1995年就役)がスプラトリー諸島(南沙諸島)周辺海域においてFONOPを実施している。
その際、米海軍第7艦隊は、“違法かつ一方的な海洋活動は、南シナ海周辺国にとって、同海域における自由航行・飛行、自由貿易、自由経済等への深刻な脅威となる”として、FONOP実施の理由を公式表明している。
一方、台湾海峡横断も同様の作戦が継続されるとみられるものの、米国はかつて“一つの中国原則”を公認している手前、中国の主張を露骨に批判することがためらわれる。
そこで、オバマ政権下では、中東からアジアへの重点政策転換を経て最後の2年間(2015~2016年)ではそれぞれ十数回横断航行していたが、トランプ政権下になっての最初の2年間(2017~2018年)では僅か数回しか実施されなかった。
ただ、冒頭で触れたとおり、形振り構わなくなったトランプ政権は、2019年に9度、2020年に直近最多となる13度も実行している。
なお、バイデン政権下での台湾海峡横断は、3月10日にミサイル駆逐艦“ジョン・フィン”(2017年就役)が横断航行したことで2度目の実施となっている。
一方、同日付ロシア『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「米軍、2020年に南シナ海で最多となるFONOP作戦及び監視飛行を実施」
北京大学(1898年設立)傘下のシンクタンク、南シナ海問題率先調査(SCSPI、2019年設立)が直近で発表した調査報告によると、米国は2020年、南シナ海においてこれまで最多となるFONOP作戦及び監視飛行を実施したという。
また、同海域での軍事演習も、前年より回数は減っているものの、単に軍事力を見せつけることに留まらず、将来の戦闘に備えての実戦訓練の様相を呈しているとする。
SCSPIによると、衛星写真や公開されているデータから分析したものなので、一部不正確な部分はあるとしながらも、次のように事態を詳述している。
<監視飛行>
・少なくとものべ1,000回に及ぶ偵察飛行を中国沿岸部等で実施。
・烏山空軍基地(オサン、ソウル南部)、嘉手納空軍基地(沖縄)、アンダーセン空軍基地(グアム)及びクラーク空軍基地(フィリピン・ルソン島)所属の様々な偵察機による監視飛行。
・民間の軍需産業保有の航空機を偵察機に起用しても情報収集。
・パラセル諸島(西沙諸島)海域で5度、スプラトリー諸島海域で4度FONOP作戦実行。
・2016年3度、2017年4度、2018年5度、2019年8度と、従来実績より最多。
・米国は、海洋法に関する国連条約(UNCLOS、注2後記)を依然批准していないにも拘らず、同条約に則っての作戦だと主張。
・更に米国務省は2020年7月になって初めて、中国が南シナ海において主張する九段線(同海域の約90%をカバー)を全面否定。
・一方、台湾海峡横断航行も過去最多となる13度実施(従来の実績は、2007~2009年:6度ずつ、2010年:4度、2011年9度、2012年10度、2013年11度、2014年5度、2015年11度、2016年12度、2017年5度、2018年3度、2019年9度)。
・台湾は中国の領土の一部であることを米国も公式に認めているにも拘らず、中国による侵略に対応するためとして、台湾宛に武器供与を継続。
<戦闘に備えての実戦訓練>
・COVID-19感染問題下で、多くの米軍艦がそれぞれの港での停泊を余儀なくされ、演習自体の回数は減っているものの、戦闘に備えての実戦訓練の様相。
・特に、原子力空母“ロナルド・レーガン”(2003年就役)が率いる空母打撃群による南シナ海における実戦訓練と思しき演習が4ヵ月超にわたり実施。
・また、台湾海峡周辺においても、監視及び目標攻撃レーダーシステム(JSTARS)搭載の対地版早期警戒管制機E-8Cによって20度近くも偵察飛行。
・更に、別の実戦訓練の一環で、戦略爆撃機B-52ストラスフォートレス(成層圏の要塞の意)及び超音速戦略爆撃機B-1Bを台湾北部からフィリピン南部の広範囲にわたって飛行訓練実施。
(注1)クワッド会議:非公式な戦略的同盟を組んでいる日・米・豪・印の四ヵ国における会談で、二ヵ国同盟によって維持。対話は2007年当時、安倍晋三首相(当時53歳)によって提唱され、その後ディック・チェイニー副大統領(同67歳)の支援を得て、ジョン・ハワード首相(同68歳)とマンモハン・シン首相(同75歳)が参加して開催。この対話によって、インド南西端で毎年開催されるマラバール演習(四ヵ国合同演習)が実施されている。
(注2)UNCLOS:海洋法に関する包括的・一般的な秩序の確立を目指して1982年4月に第3次国連海洋法会議にて採択され、同年12月に署名開放、1994年11月に発効した条約。国際海洋法において、最も普遍的・包括的な条約であり、基本条約であるため、別名「海の憲法」とも呼ばれる。なお、世界の大洋に面しているにも拘らず、依然非締結であるのは、米国、トルコ、ペルー、ベネズエラ。
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昨年後半から世界的な半導体不足が続いている。iPhone 12やプレイステーション5、あるいは世界の自動車産業などに生産の遅れが出ている。4,400億ドル近くの半導体市場は、世界の主要な産業大国間の技術戦争が行われている場でもあり、欧州諸国が医療だけでなく半導体の製造でもアジアに依存している実態が浮き彫りになっている。
仏金融紙
『レゼコー』によると、新型コロナウイルスのパンデミックの発生で、世界各地で在宅勤務用または家で楽しむためのコンピュータ機器の需要が爆発的に増加し、2020年には3億台以上のPCが販売されたという。
しかし、数ヵ月前から電子機器にとって必需品である半導体が不足し、世界中の工場が麻痺している。米国ではアップル、フォードやエヌビディア、フランスではルノーやPSA、日本ではソニーや日産、中国ではファーウエイ、ドイツではフォルクスワーゲンなどが減産に追い込まれ、莫大な損失を被っている。
半導体を製造する工場は、注文であふれている状態の中、5Gスマホの登場でさらに供給がひっ迫している。トランプ前大統領がファーウエイの米国からの材料調達を禁止する決定を下したことも市場を圧迫している原因の一つとなっている。その後ファーウエイは大量の在庫を持つことを選択し、競合他社もそれに追随した。
昨年11月、アップルは生産率を維持するために、通常はiPad向けの部品をiphone12Proに再割り当てしなければならなかった。2021年に入り、自動車業界も半導体不足により打撃を受けている。フォード、PSA、ゼネラルモーターズ、トヨタ、ヒュンダイ、日産、ルノー、フォルクスワーゲンなど、大規模多国籍企業のほとんどは、半導体が不足しているため、生産を減速または、停止させている。
IHSマーキットのアナリストは、この危機の影響で第1四半期に100万台近くの乗用車が生産されず、これには中国での25万台も含まれると予想している。なお、ブルームバーグによると2021年の売上高の損失は600億ドルと推定されている。
一部の国では、産業全体が商品の生産や輸出を阻害されているため、景気回復が危ぶまれているという。さらに、欧米諸国が、半導体生産をリードしているアジア企業に依存していることも明らかになった。ワクチンと同様に、パンデミックは、国境外にある少数の小規模企業の間で市場が形成されるリスクを浮き彫りにしている。
仏ラジオ放送局『RFI』は、影響を受けた主な国で対応が急がれていると報じている。米国政府は、必需品のサプライチェーンの包括的な見直しを行い、米国内でのこれらの商品の物理的生産の改善やパートナーとの協力を検討していく方針を発表している。
ドイツのアルトマイヤー経済相は、この不足に対する解決策を見つけることは、パンデミック後の景気回復を危険にさらさないようにするために「政治産業的に非常に重要」であると述べている。特に自動車産業が大きな柱の一つであるドイツにとって、絶対的な緊急課題となっている。ドイツメディアの報道によると、経済相は、供給問題の解決のために世界最大の半導体メーカーであるTaiwan Semiconductor Manufacturing Co Ltd(TSMC)の協力を得られるよう台湾政府に手紙を出したという。これを受けて、台湾は11日に半導体の増産を試みることを約束した。
フランスの自動車産業と電子産業も10日に、フランス経済相との初のビデオ会議で会合を開き、在庫や代替ソリューションの利用についてなど、危機への対応策を話し合った。第4次投資計画の枠組みの中で、業界全体の構造化を加速していくための戦略も起草しているという。ルメール経済・財務相は、フランスが「電子部品に関して、中国やその他のアジアからの供給に70、80、85%依存し続けることを望んでいない。今回の危機のおかげで、外国に依存しすぎるのは危険だとはっきりとわかった 」と述べている。
『レゼコー』によると、ドイツやフランスなど欧州14ヵ国は昨年12月、この対米・対アジア主権問題を解決するために力を合わせる意思を表明している。STマイクロエレクトロニクス、NXP、インフィニオンの3社は、この分野における欧州の旗艦企業であるが、イノベーションの競争においてはかなりの遅れをとっている。しかし、二次電池と同様に、欧州内の工場で部品を生産できるようにしたいと考えている。
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