イギリス諜報機関、今年は若者向けに謎解きクリスマスカードを公開(2021/12/14)
イギリスの諜報機関GCHQ(政府通信本部)は12日、子供たちに楽しいクリスマスシーズンを楽しんでもらうだけでなく、問題解決に興味を持ってもらうために、難易度別の7つのなぞなぞ問題を公開した。
英
『テレグラフ』 は、GCHQは英国の若者に、クリスマスカードに含まれる難解な問題を解読して、「自分の中の諜報員を発見してください」と呼びかけている、と報じている。
謎解き問題を含んだクリスマスカードは、世界中の諜報機関やパートナーに送られるのが恒例となっている。しかし今年は、STEM(科学、技術、工学、数学の総称)分野に関心のある若者を対象に、学年に合わせた難易度別の謎解きクイズが用意された。...
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『テレグラフ』 は、GCHQは英国の若者に、クリスマスカードに含まれる難解な問題を解読して、「自分の中の諜報員を発見してください」と呼びかけている、と報じている。
謎解き問題を含んだクリスマスカードは、世界中の諜報機関やパートナーに送られるのが恒例となっている。しかし今年は、STEM(科学、技術、工学、数学の総称)分野に関心のある若者を対象に、学年に合わせた難易度別の謎解きクイズが用意された。諜報機関は、全国の中高生や大学生がクリスマスのチャレンジに参加することで、より多くの若者がSTEM分野に興味を持ち、将来的に諜報機関で働くことを検討してくれることを期待しているという。
GCHQのジェレミー・フレミング長官は、「エニグマ暗号から人工知能まで、GCHQの歴史は、国の最も複雑な課題に取り組む才能ある人々であふれています。私たちが国の安全を守るためには、問題解決能力とチームワークが絶対に欠かせません。だからこそ、今年のクリスマス・パズルは若い人たちを対象にしているのです。人と違った考え方をすることは才能だということを若い人たちに伝えたいのです。GCHQで行っているように、不可能と思われる問題を解決するには、様々な考え方が適切に交わることが必要なのです」と述べている。
また、GCHQは近年、Stemettesという組織と提携して、特に若い女性の間でSTEM科目の履修を促進するための活動も行っている。
英『ザ・タイムズ』 によると、第二次世界大戦中、ナチス・ドイツが軍事メッセージを暗号化するために使用した暗号機「エニグマ」を解読したことで有名なこの機関は、より高い給料を提供できるハイテク企業と競合しながら、最も優秀な若者を採用しなければならないと伝えている。
同機関は2018年にも、優秀な若者を採用するための活動を行っている。将来サイバー攻撃から国を守るために採用される可能性のあるコンピューターハッキングを得意とする10代の若者を対象に、一連の訓練プログラムの設立に協力した。プログラム参加者として選ばれた若者たちは、犯罪者になるか、あるいは国の安全保障にとって重要な資産になるかの岐路に立っている若者たちで、警察によって選ばれたという。
今年のクリスマスカードのなぞなぞは、11歳から18歳までの年齢層を対象としており、7問の答えを組み合わせると、秘密のメッセージを解読することできるようになっている。GCHQは、答えを見つけるためには「既成概念にとらわれず、互いに協力する」ことを呼び掛けている。
なお、2016年に出された大人向けのクリスマスカードは、課題が非常に難しく、GCHQの暗号担当者8人が2カ月かけて作成したものであった。挑戦した60万人のうち、あと少しで制覇できたのはわずか3人だった。3人は、その努力の報いとして諜報機関から文鎮を受け取りとったという。
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カナダ教育委員会、ノーベル平和賞受賞者を反イスラム感情を起こす可能性があるとして検閲対象に(2021/11/22)
カナダ最大であるトロント教育委員会は、2018年のノーベル平和賞受賞者であり、イラクでISに拉致され性奴隷の被害者となったナディア・ムラードさんを、「イスラム教への反感を助長する」可能性がある存在だと判断し、ムラードさんが招待された読書&意見交換会に13歳から18歳までの10代の女の子が参加できない措置を取った。
カナダ
『グローブアンドメイル』 紙によると、トロント教育委員会は、4年ほど前からトロント在住の母親であり起業家でもあるターニャ・リー氏と提携して、10代の女の子を対象とした読書&意見交換会のイベントを運営している。トロントのダウンタウンにある図書館の地下で15人の10代の少女たちが集まって始まった会は、現在60人以上の10代の少女たちが毎月オンラインで集まる規模まで成長した。
トロント教育委員会はこれまで積極的にリーさんの活動を支援してきた。...
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カナダ
『グローブアンドメイル』 紙によると、トロント教育委員会は、4年ほど前からトロント在住の母親であり起業家でもあるターニャ・リー氏と提携して、10代の女の子を対象とした読書&意見交換会のイベントを運営している。トロントのダウンタウンにある図書館の地下で15人の10代の少女たちが集まって始まった会は、現在60人以上の10代の少女たちが毎月オンラインで集まる規模まで成長した。
トロント教育委員会はこれまで積極的にリーさんの活動を支援してきた。参加する生徒に本を配布したり、クラスで議論したり、クラブのメンバーが学校を休んで参加することを許可したりしてきた。しかし、先月、リーさんはヘレン・フィッシャー教育委員会会長から、リーさんが選んだ2冊の本を支持しないという連絡を受け、支援を打ち切られた。2冊のうち1冊が2018年のノーベル平和賞受賞者のナディア・ムラードさんの本「THE LAST GIRL - イスラム国に囚われ、闘い続ける女性の物語」だった。教育委員会は、イスラム教への反感を起こす可能性があると判断して、生徒たちを参加させない旨を伝えたという。
『グローブアンドメイル』 紙は、力ある立場の機関が、無知であり、特に教育の仕事をしていることは問題だ、と批判している。ムラードさんは19歳のとき、イスラム国のテロリストがイラク北部の村に侵入し、彼女を含む何千人もの若いヤジディ教徒の女性たちを奴隷にして大量虐殺を行った。逃亡することに成功しドイツに逃れたムラードさんは、国連安全保障理事会で証言し、人身売買に関する国連大使となり、ノーベル平和賞を受賞した。
『グローブアンドメイル』 紙は、自らのマニフェストで「公平性、人権、反人種主義、反抑圧に対する大胆なコミットメント」を謳っているトロント教育委員会の幹部たちは、アフリカ系行事をお祝いすること、ジェンダーニュートラルトイレ、一人一台端末の推進でマニフェストを達成するものではないことをもう一度考え直すべきだと指摘している。
しかし、こうした検閲行為はカナダ国内で広がっている。仏放送局『RFI』 と『ウエストフランス』 紙によると、ラジオ・カナダ・インターナショナルの記者が今年9月、オンタリオ州南部の約30の学校図書館から2年前に、約5千冊のコミック本、児童・青少年向けの小説、ノンフィクションの本がカナダ先住民に対する不適切な表現が含まれていたとして処分されていたことを発見した。
例えば、「タンタン」や「ラッキールーク」など、欧米で昔から子供達に人気のある漫画本や、文学賞の候補になった現代小説であっても、例えば先住民のように着こなす方法を説明しているとして、その文化の所有権を持つのは不適切であるがゆえに処分の対象となった。他にも、半裸の人物が登場したり、「アメリカンインディアン」という表現が出て来たりした場合、不適切だとして処分された。「人種差別、差別、固定観念の灰を埋めよう」と、数十冊の本が燃やされ、その灰が地面に埋められたこともあったという。
30校ほどの学校が集まって造られた委員会は、こうした処分を行うにあたって「知識の保護者」と称するアドバイザーを採用していた。しかし、いくつかの先住民族コミュニティの出身であるとして採用されたアドバイザーは、先住民族コミュニティでは誰からも知られておらず、系図学者も18世紀以降の先住民の祖先を見つけることができなかった。さらには、そのアドバイザーは、左派与党の「先住民委員会」の共同議長を務めていたことが発覚し、波紋が広がっていた。保守党のリーダーであるエリン・オトゥール氏は、先住民との「和解は、カナダを壊すことではない」とツイートしていた。
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