キヤノンの中国の子会社であるCanon Information Technologyは、オフィスにAI対応の「笑顔認識」技術を備えたカメラを設置した。同社は、このカメラの使用によって、笑顔の従業員だけに入室や、会議の予約を許可したりするなど、すべての従業員が笑顔で業務に取り組むことを推奨している。
米ニュースサイト
『ザ・ヴァージ』によると、Canon Information Technologyは、昨年、職場の管理ツールの一部として「笑顔認識」カメラを発表したが、当時この技術はあまり注目されなかった。同ニュースサイトは、このような監視カメラが関心を引かなかったことは、欧米をはじめとする現代の職場でいかに監視ツールが一般的になりつつあるかを示していると指摘している。
特に中国企業はAIやアルゴリズムを利用して、従業員を隅々まで監視する体制が広がっている。...
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米ニュースサイト
『ザ・ヴァージ』によると、Canon Information Technologyは、昨年、職場の管理ツールの一部として「笑顔認識」カメラを発表したが、当時この技術はあまり注目されなかった。同ニュースサイトは、このような監視カメラが関心を引かなかったことは、欧米をはじめとする現代の職場でいかに監視ツールが一般的になりつつあるかを示していると指摘している。
特に中国企業はAIやアルゴリズムを利用して、従業員を隅々まで監視する体制が広がっている。企業は、従業員がコンピュータでどのプログラムを使用しているかを監視して生産性を測定したり、CCTVカメラを使用して昼休みの時間を測定したり、さらにはモバイルアプリを使用してオフィス外での動きを追跡したりしている。
キングス・カレッジ・ロンドンの専任講師ニック・スルニークは、フィナンシャル・タイムズ紙で「労働者はアルゴリズムや人工知能に取って代わられているわけではない。むしろ、これらのテクノロジーによって、管理体制が強化されている。テクノロジーは、18世紀の産業革命で起こったように、機械と一緒に働く人間のほうのスピードを上げている」と述べている。
印誌『インディア・トゥデイ』によると、中国では、ある従業員が、ツイッターに相当する中国のプラットフォーム「ウェイボー」に「企業は今や、私たちの時間だけでなく、感情までも操作している」と書き込んだことが報道された。
一方、Canon Information Technologyは、笑顔認証技術を擁護し、社内での肯定的な雰囲気を促進するために設計されたと述べている。キヤノンの広報担当者は、日経アジアの取材に対し、「当社は、このシステムの笑顔認証設定をオンにすることで、従業員に前向きな雰囲気を作ってもらいたいと考えています」と語っている。「ほとんどの人は恥ずかしがって笑顔を見せませんが、オフィスでの笑顔に慣れると、システムがなくても、笑顔を維持してくれるようになり、前向きで活気のある雰囲気を作り出してくれました。」と述べている。
米ニュースサイト『ビジネス・インサイダー』によると、昨年10月の発表では、この笑顔認証カメラを飲食店、病院、銀行などの企業に向けて販売するとしており、「ポスト疫病の時代に、すべての人に喜びと健康をお届けしたい」としている。笑顔認証機能はオフにすることもできるが、キヤノンは「みんなが笑顔でリラックスして健康になることで、職場の雰囲気が良くなり、効率が上がる」と使用を推奨している。
こうした監視体制の強化は、中国だけでなく欧米企業でも広がっている。『ビジネス・インサイダー』は2019年4月に、アマゾンが倉庫労働者の休暇中の活動を追跡するシステムを導入したと報じ、2020年には、同社が「人間関係マップ」を使ってホールフーズの従業員が組合を結成する可能性を追跡していることを明らかにした。
ロイター通信も昨年、雇用主が従業員のキーボードやマウスの操作、GPSによる位置情報、電子メールやウェブ閲覧の状況を監視できるソフトウェア製品をいくつか紹介していた。ある開発者によると、パンデミックが発生し、多くの従業員がリモートワークを開始した最初の数ヶ月間で、監視ソフトウェアの試用希望が3倍に増えたという。
『ビジネス・インサイダー』は、世界各地でオフィス勤務が再開され始めている今、雇用主が従業員の日々の過ごし方に影響を与える手段がまた一つ増えた、と伝えている。
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観測用ロボットは火星の土質分析、大気分析、写真撮影および火星のマッピングを行うことを目的に使用されるという。
中国の国営テレビCCTVは「こんにちは、火星」と呼ぶ特別番組で、着陸用オービター「天問-1」は火星上の予定着陸か所に着陸し、搭載された観測ロボットを地球からのリモート操作により無事に火星面上に設置することに成功したと報じた。 着陸地点は「ユートピア・プラティア」と呼ばれている火星北半球の広大な平原という。...
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観測用ロボットは火星の土質分析、大気分析、写真撮影および火星のマッピングを行うことを目的に使用されるという。
中国の国営テレビCCTVは「こんにちは、火星」と呼ぶ特別番組で、着陸用オービター「天問-1」は火星上の予定着陸か所に着陸し、搭載された観測ロボットを地球からのリモート操作により無事に火星面上に設置することに成功したと報じた。 着陸地点は「ユートピア・プラティア」と呼ばれている火星北半球の広大な平原という。
火星に観測用ロボットを設置することは中国にとっても容易なことではなかった。過去にヨーロッパや旧ソ連によって試みられたがいずれも失敗に終わっている。中国は2011年にロシアと共同で火星へ観測衛星を打ちあげたが失敗に終わっている。 その後は中国独自で火星への観測機の開発を進めてきた。
中国は昨年2020年7月に火星の観測目的で観測衛星の天問-1を打ち上げた。
観測衛星の天問-1は次の3つの要素から構成されている。
1番目は火星を廻るオービター、2番目は火星着陸船、3番目は搭載された観測用リモート操作ロボット、ズーロンである。
今年の2月、中国は観測衛星の天問-1を火星の軌道上に乗せ、火星の撮影を行ってきた。5月15日土曜日の朝、着陸船を火星表面に着陸させ、その後、観測用ロボットを火星表面に離脱させた。これらの3つのオペレーションを続けて行ったのは中国が初めてである。
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