中国、ネット上の十代の母に顔をしかめる(2018/04/10)
【6日付、
『ニューヨークタイムズ』より】 中国国営放送(CCTV)が未成年者の妊娠を促すと批判したことを受け、今週、中国で最も人気のある動画プラットフォームの2つがアプリストアから消えた。先週CCTVは、何百万人ものフォロワーや視聴者を集めていた十代の女性の動画を番組で特集した。母親になる喜びと試練の記録や臨月のお腹も放送された。数日後、中国のメディア監督当局はアプリ開発会社に厳しい通告を発表した。
中国政府は、政治的に危険と思われるもののみならず、不健全またはポルノとみなされるものにもネット規制の手を広げている。中国政府のこの対応に対し、動画アプリ開発会社は即座に反省の意を表明した。
「プラットフォームに登場すべきではないコンテンツが掲載され、社会に非常に悪影響を及ぼした。我々に不備があったことははっきりしているため、わが社を批判したCCTVや他のメディアに非常に感謝している。」と快手(Kuaishou)のCEOであるス・フア氏は声明で述べた。...
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中国政府は、政治的に危険と思われるもののみならず、不健全またはポルノとみなされるものにもネット規制の手を広げている。中国政府のこの対応に対し、動画アプリ開発会社は即座に反省の意を表明した。
「プラットフォームに登場すべきではないコンテンツが掲載され、社会に非常に悪影響を及ぼした。我々に不備があったことははっきりしているため、わが社を批判したCCTVや他のメディアに非常に感謝している。」と快手(Kuaishou)のCEOであるス・フア氏は声明で述べた。
もう一つのアプリを運営する火山小視頻 (Huoshan)は「CCTVの指導のおかげで、我々は強い責任感を抱いている。」と声明で述べた。両社の開発者らは、動画審査システムを強化することを約束している。
アプリが再びダウンロードできるようになるか、またその場合いつから可能となるかは現在不明だ。快手と火山小視頻親会社の広報担当は、さらなるコメントを避けた。
オンライン動画は、中国のテクノロジー企業の激戦区になっている。快手は毎日1億人がアプリを利用しているという。火山小視頻の親会社である北京のバイトダンス・テクノロジー(Bytedance Technology)は、その主力ニュースアプリJinri Toutiaoの利用者が1日あたり1億2,000万人いるとしている。セコイア・キャピタルといったシリコンバレーのベンチャー企業の投資を受けて、バイトダンスは世界で最も価値の高い新興企業の一つとなり、最近の評価額は300億ドルだ。
快手は中国都市圏外に多くのフォロワーを持つ。インスタグラム、スナップチャット、ペリスコープと共通の機能を持つ快手を利用し、中国の普通の(下品で奔放な)生活をユーザー間で垣間見ることができる。車掌、穴釣り漁師、造船所の女性溶接工、あばら家に住む将来のギタリストなど様々な人がネット上のスターになった。
こうしたアプリが人民を民主化する可能性に中国の検閲官が気づかないはずがない。メディア規制当局は、ネット上の話題を厳しく取り締まり、有名人の噂を掲載するブログ、その他ゴシップなどに目を光らせている。最近では「下品な情報」を広めていると規制当局に非難され、Toutiao(バイトダンスのニュースアプリ)のいくつかのセクションの更新が、24時間停止した。ツイッターのような書き込みができるフォーラムであるシナ・ウェイボは同様の逸脱を犯したとして非難され、いくつかの機能を数週間停止することを余儀なくされた。
思春期に母親になることは、中国では特別な警戒を呼び起こす話題である。2015年に廃止された「一人っ子」政策が引き起こした人口統計的緊急事態を経済学者が警告しているにもかかわらず、未婚の母親は(結婚できる法定年齢に達した子どもも)汚名を着せられ、法的偏見に直面する。さらに、性教育も社会の変化に追いつけず、望ましくない妊娠につながる可能性を高めている。
先週放送されたCCTVの番組は、顔にモザイクがかかった若い男女がベッドに一緒に座っている映像で始まり、後ろではポップスが流れていた。「この映像を見てどう思いますか。誰かがかわいい子どもを自慢しているのでしょうか。違います。この二人には子供がいるのです。母親は16歳にもなっていません。」というナレーションが流れた。
次に頬にいちごの画像をつけた若い女性の写真に切り替わり、次のナレーションが聞こえてくる。「このかわいらしい少女は、両親が弟の世話をするのを手伝っているのでしょうか。あなたはまた間違っています。この子も16歳の母親です。」
中国では男性は22歳、女性は20歳にならないと結婚できない。これらのアプリに登場する若い母親は、番組によると、主に農村部に住み、学校を退学している。「彼女たちの人生はつまらなく、注目を浴びたがっている。」とナレーションは続く。
一部のこのような女性たちは、動画アプリを使ってネット上最年少の母親になろうと競っている。ある女性は「14歳で、すでに私には小っちゃなかわいい子がいる」というユーザー名で投稿している。
CCTVによれば、快手に投稿された10代の母親のアカウントを閲覧すると、その後、他にも興味を持ちそうな同様の動画が画面に現れるようになっている。
番組でインタビューされた専門家は、このような技術は若い視聴者を「悪影響」のスパイラルに引きずり込む可能性があると警告する。「若い女性は、自分の世界ではこのような異常または違法行為が正常だと思うだろう。」と言う。
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習近平国家主席、半永久的権力掌握を笠に着てメディア・コントロールを更に強化【米・英・中国メディア】(2018/03/23)
既報どおり、習近平(シー・チンピン)氏は、昨年10月の共産党大会で総書記として2期目の指導体制が承認され、今年3月の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で国家主席の任期が無期限とされた。そこで、半永久的に権力を掌握することになった習氏は、これまで以上にメディア・コントロールを強化し、反政府運動等に繋がりかねない一切の芽を摘む強権支配を仕掛けようとしている。更に、国営メディアを
『ボイス・オブ・チャイナ』に一本化して、中国国家理念を喧伝するプロパガンダ大媒体を組織する意向である。
3月21日付
『ロイター通信米国版』:「中国、新たな監視組織を設けて更にメディア・コントロールを強化」
『ロイター通信』は3月21日、習近平指導部の下、ニュース・インターネット・映画等のメディア管理を強化するための新たな監視体制が敷かれると報道したが、国営『新華社通信』もこれを追認した。
最高指導機関である党中央委員会の3月19日付資料によると、これまでメディアを監督してきた国家新聞出版広電総局が今月初めに解体され、代わって、プロパガンダ・政治的信念・文化的娯楽の観点から、より直接的に管理・監督する新組織を立ち上げるとする。...
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3月21日付
『ロイター通信米国版』:「中国、新たな監視組織を設けて更にメディア・コントロールを強化」
『ロイター通信』は3月21日、習近平指導部の下、ニュース・インターネット・映画等のメディア管理を強化するための新たな監視体制が敷かれると報道したが、国営『新華社通信』もこれを追認した。
最高指導機関である党中央委員会の3月19日付資料によると、これまでメディアを監督してきた国家新聞出版広電総局が今月初めに解体され、代わって、プロパガンダ・政治的信念・文化的娯楽の観点から、より直接的に管理・監督する新組織を立ち上げるとする。
この一環で、既存の『中国中央テレビ(CCTV)』、『中国環球テレビ・ネットワーク(CGTN)』、『国家ラジオ放送局』及び『国家国際ラジオ放送局』が統合され、新たに『ボイス・オブ・チャイナ』に一本化される。
なお、上記の他、金融から食料安全政策までのあらゆる分野で、それらを管理・監督してきた組織が、近年にないほど大規模に改編される。
同日付英『ザ・ガーディアン』紙:「中国国営メディアが統合されプロパガンダ(組織宣伝)大媒体が出現」
『新華社通信』の3月21日付の通告によると、従来の中国国営テレビ・ラジオ放送局が一本化され、世界最大規模のプロパガンダ媒体が新たに組織されるという。
同通信によると、新組織の下で、共産党の理念・ガイドライン・政策をより広く、速やかに大衆に直接届けることを目的とするとしている。
習国家主席はかつて、国営メディアは共産党の政策に忠実であらねばならないと発言していたが、それに沿って、正に厳しい管理・監督体制が敷かれることになるとみられる。
なお、習指導部は、メディア以外のあらゆる分野の省庁について、共産党の管理・監督が更に密にできるよう、大幅な改編を行う予定である。
一方、3月22日付中国『人民日報』:「国際社会が中国を更に理解するため、新組織の『ボイス・オブ・チャイナ』がその役目を担う」
党中央委員会はこの程、CCTV、CGTNや国営ラジオ放送局等を統合して、『ボイス・オブ・チャイナ』を立ち上げる計画を発表した。
習国家主席は2016年12月31日、新たにCGTNが組織された際、国際社会も中国も開かれた世界になってきている以上、国際社会が中国を、また、中国が国際社会を理解するための媒体として期待されると演説している。
今回の新組織『ボイス・オブ・チャイナ』の立ち上げは、正にその理念を更に強化する一環であり、国際社会と中国の相互理解が増々深く理解される媒体となろう。
特に、米国を筆頭とした西側諸国は、事ある毎に“中国の脅威”等と悪戯に中国の成長を曲解する発信を重ねており、これら誤解を解く意味でも、『ボイス・オブ・チャイナ』を通じての、中国現状の正確な情報が国際社会に伝えられる必要がある。
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