グーグルが開発した人工知能(AI)「アルファ碁」と韓国のトップ棋士イ・セドル氏の対局が5回トーナメント戦で韓国で行われており、2-0でセドル氏が敗れた。通常は数時間に及ぶ碁の対局は3時間半で終了。セドル氏は負けると思っておらずショックを受けた述べ、韓国のコメンテーターは同氏が終盤に向かうと疲れているようだったと指摘。囲碁人口は東アジアを中心に4千万人。人工知能はチェス、オセロ、スクラブル等のゲームで人を負かしており、昨年アルフォ碁も欧州の棋士を負かした。次の対局は土曜ソウルのホテルで行われる。
3月10日付米
『ABC』は「グーグルのAI、アルファ碁がプロ棋士イ・セドル氏に2戦目も勝利」との見出しで以下のように報道している。
・イ氏は「言葉を失った、アルファ碁の手に弱点はみられず、完璧なゲーム展開で私の完敗だ。一勝は勝ち取りたい。」と述べ、韓国、日本、中国の1300人の棋士が思いつかないような手を使ったとした。
・AIの開発者は碁をAIの「エベレスト山」だとし、対戦相手への創造性と洞察力が求められる碁の複雑さを表現。...
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3月10日付米
『ABC』は「グーグルのAI、アルファ碁がプロ棋士イ・セドル氏に2戦目も勝利」との見出しで以下のように報道している。
・イ氏は「言葉を失った、アルファ碁の手に弱点はみられず、完璧なゲーム展開で私の完敗だ。一勝は勝ち取りたい。」と述べ、韓国、日本、中国の1300人の棋士が思いつかないような手を使ったとした。
・AIの開発者は碁をAIの「エベレスト山」だとし、対戦相手への創造性と洞察力が求められる碁の複雑さを表現。
・アルファ碁は、より人間らしくデータを高速処理出来る「深いニュートラルなネットワーク」2組で構成され、人間が直観的に必要ないと判断する数百万通りの潜在的な策(手)を切り捨てる事が出来る。また対戦経験から学習しより成長できるアルゴリズムが使われている。
・対戦は韓国の主なTVや日本、中国のケーブルチャンネルでも生放送された。
3月9日付米
『ウォールストリートジャーナル』は「セドル氏はグーグルを破るにふさわしいか」との見出しで以下のように報道している。
・碁は単純に見えて複雑、数学者によると序盤の40手で組み合わせのパターンは10の80乗と膨大。(チェスでは全局面でも約10の50乗)
・リ氏は95年プロとなってから18の世界タイトルを制したプロ棋士で、グーグル社員に「碁界のロジャー・フェデラー(男子プロテニス選手で最多優勝・最多賞金・歴代最長世界首位の記録をもつ)」と呼ばれているが直近の成功は少なく昨年1勝利のみ。
・一方、中国の18歳新人「柯傑」氏は碁盤上のジョコビッチといえ過去数年王者に君臨。今年はイ氏に2勝し、中国の囲碁界は20代が全盛期とされる碁でグーグルはセ氏が高齢と理解しながら柯傑氏にしなかった事を疑問視。アルファ碁の開発者デミス・ハサビス氏は経歴でセ氏を採用したが今後は中国や日本の棋士も加えたいとする。
・韓国人棋士が選ばれた背景に韓国での碁の根強い人気とスマホが普及したIT先進国である事が上げられ、韓国棋院によると碁人口は全人口(5千2万人)の約2割。最近の棋士を主人公にしたドラマで人気に火が付き、ケーブルTVや衛星放送では24時間碁が放送。
・高齢者に人気だったがグーグルの対戦で若者にも関心を持たれ、オンラインでは碁盤と対局時計の売り上げが先月20代の購買者で8割増。
・昨年AI開発者らはコンピュータが勝利するには後10年かかると予測したが昨年10月アルファ碁は欧州のファオンホイ棋士に圧勝、業界を震撼させた。
3月10日付米
『WIRED』は次のように報道している。
・今回の対戦でAIの急速な進歩が試された。アルファ碁は、これまでも画像やスマホの音声認識、検索エンジンの改良等でグーグルや同業他社の数々のオンラインサービスに貢献。またアルファ碁の技術はグーグルやカリフォルニア大バークレー校等で実験用ロボット工学に採用されている。
・1局目は黒で対戦したイ氏は2局目は白で対戦。アルファ碁が先手の黒で有利となった。昨年の(ファオンホイ棋士との)対戦時以来更に改善されたアルファ碁はより攻撃的でミスも少ない。
3月11日付韓国
『コリアタイムズ』は「アルファ碁が再び勝利」との見出しで次のように報道している。
・AIは究極に複雑で創造性と戦略の必要な碁で人間に勝る事を証明した。イ氏はプライドと名誉を挽回できるのだろうか。コメンテーターも驚く手を使ったAI相手に前回よりも寡黙で考慮時間も長くなった。しかしこれが命取りとなり時間をより有効に使えるアルファ碁は対局中、平均25分リード。韓国人はアルファ碁の勝利を受け、今やそれを「AI先生」と呼ぶ。
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