9月30日付
『CNBCニュース』は、インドネシアは高速鉄道建設について、中国政府がインドネシア政府の保証無しで50億ドルの融資をおこなう破格の条件を出したため、日本ではなく中国を指名したと伝えた。それによると、日中両国は、インドネシア首都のジャカルタと繊維工業都市のバンドンを結ぶ鉄道の契約を巡り数ヵ月に渡って競争を繰り広げてきた。インドネシアは当初150㎞の走行距離を高速鉄道で構想していたが、今月になって中速鉄道に変更した。アナリストはこの契約を勝ち取った方が、将来のクアラルンプールとシンガポールを結ぶ鉄道プロジェクトの最有力候補になるだろうと語っている。
ジョコ・ウィドド政権は、日本案より政府の負担が少なく技術移転も大きいとして、中国案を選んだ。インドネシア日本大使館の木島氏は、「日本政府は日本案のほうが良いし、現実的であると今でも確信している。日本はインドネシア政府の透明性と公正を期待していた。今後はそうあるべきと願っている」と述べている。インドネシアのソフヤン・ジャリル国家開発企画庁長官は、今週この結果を伝えるとともにこれ以外の投資の誘致活動をおこなうため来日した。
9月30日付の香港
『サウス・チャイナ・モーニングポスト』紙は、日本がインドネシアの幹線高速鉄道の契約で中国に敗退し、日本経済成長のためインフラ輸出に活路を求めていた安倍首相にとっては大きな痛手であると報じた。ジャカルタ政府は、今月初め中国と日本の高速鉄道計画案を多額の建設費がかかることを理由に見送り、コストが安い在来型鉄道を検討するよう求めた後で、突然この決定をおこなった。
ソフヤン・ジャリル長官は、中国が最近、インドネシアの資金負担や債務保証無しにジャカルタとバンドンを結ぶ高速鉄道建設の新たな提案をおこなったことを明らかにした。日本政府菅官房長官はインドネシアの急変を「理解できない。極めて遺憾である」 と語った。ジャカルタでは、テテン・マスドゥキ大統領首席補佐官が、日本はどちらかといえば両政府間で進めようとしたが、インドネシアは企業間の協力を重視したのだと述べた。この鉄道計画は410億香港ドルの資金を要するが、菅官房長官は、インドネシアの資金負担無しで鉄道建設をおこなうとする中国案について「常識外れであり、うまくいくとは思えない」と述べ、実現性を疑問視している。
9月29日付イラン国営放送
『PRESSTV』は、インドネシア高速鉄道の入札で中国案が採用されたことを報じた。この鉄道計画は、ジョコ・ウィドド大統領が昨年の選挙時に公約した、道路、鉄道、港湾などのインフラ整備の中で重要な部分である。日本が敗退した理由について、インドネシアのリニ・ソエマノ国有企業相が「インドネシア政府はこのプロジェクトに政府負担や政府保証はしたくないと主張したが、日本は政府保証を求めた」と語ったと報じている。
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8月17日付
『ロイター通信』は、値下がりが続く原油が6年半ぶりの安値を付けたと報じた。今週月曜日、米原油先物(CLc1)は41.87ドル/バレルと63セント(1.5%)値下がりし、また、原油の代表的指標である北海ブレント先物(LCOc1)は45セント(1%)値を下げて48.74ドル/バレルを付け、2009年1月(45.19ドル/バレル)以来の安値となった。
米原油先物は、米国での原油採掘量が増加するとの見通しの中で、7週連続で値を下げている。...
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8月17日付
『ロイター通信』は、値下がりが続く原油が6年半ぶりの安値を付けたと報じた。今週月曜日、米原油先物(CLc1)は41.87ドル/バレルと63セント(1.5%)値下がりし、また、原油の代表的指標である北海ブレント先物(LCOc1)は45セント(1%)値を下げて48.74ドル/バレルを付け、2009年1月(45.19ドル/バレル)以来の安値となった。
米原油先物は、米国での原油採掘量が増加するとの見通しの中で、7週連続で値を下げている。米原油および北海原油とも、米国と欧州の石油精製設備が、今秋、定修に入ることから更に下がると予想されている。また、定修によりオクラホマ州クッシングやメキシコ湾岸の石油供給基地の貯蔵能力が限界に達するとの噂も流れていると報じている。
8月17日の
『CNBCニュース』は、先週22名の有力石油アナリストやトレーダーへ独自におこなった調査結果を公表した。それによると、原油価格を決める最大の要因は原油供給量であり、イランの国際原油市場への復帰が今後の原油相場を予想するうえで最も難しい要因である。調査結果ではイランの市場復帰は2016年後半という見方が最も多いが、いずれにしても時間の問題である。イランは1日当たり百万バレルもの輸出が可能としているが、実際はそれよりも少ないと見られている。ただ、イランは既に推定5千万バレルをタンカーに貯蔵しており、いつでも出荷可能な状態である。
調査回答者の半数以上が、目下のところ原油価格決定要因は供給量であると回答し、WTI原油の本年9月から10月先物相場は30~40ドル/バレルと予想している。
8月13日付
『ニューヨークタイムズ』紙は、「石油値下がりの背景」と題する記事を掲載し、好不況の激しい石油産業は今新たな下降局面にあると報じている。近年記録的な高収益をあげてきた石油企業の売上は減少し、掘削設備の半数が稼働休止を余儀なくされ、石油探索や製造への設備投資は大幅に減り、10万人以上の雇用が失われている。その原因は、2014年6月以来半値となり、2009年不況時のレベルとなった原油価格にあると解説する。
●なぜ今、原油価格が急落しているのか?
結局は需要と供給という単純な理由に行き着く。過去6年間で米国の原油生産量は倍増したため米国への輸入は無くなり、世界の原油供給は過剰となった。需要側は、欧州及び途上国経済が停滞する一方で、自動車の燃費は向上した。
●値下がりにより恩恵を受けるのは誰か?
車のドライバーであり、家計で年間750ドルのガソリン代節約となる。
●誰が損をするのか?
ベネズエラ、イラン、ナイジェリア、エクアドル、ブラジル、ロシアなどの原油生産国の経済的ダメージは大きく、政治的不安定を招く可能性もある。経営基盤の弱い中小石油企業のなかには破産する会社も出てくる。
●OPEC(石油輸出国機構)はどう動くか?
サウジアラビアは「生産調整をおこない石油価格が値上がりしても、市場シェアを失い競争相手を利するだけ」と主張しており、生産調整には後ろ向きである。
●それでは、石油価格はいつ回復するか?
石油生産量は米国でも他の諸国でも増加しており、石油価格が当面回復しそうな状況ではない。
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