南シナ海:インドネシア海軍が中国船拿捕(2016/06/20)
インドネシア海軍が南シナ海のナトゥナ諸島沖で違法操業をしていたとして中国船を警告射撃後拿捕したと発表。中国外務省は負傷者が出ているとしているが、インドネシア側は負傷者はなく、漁船を拘束、事情聴取しているとしている。中国外務省の報道官は声明で、詳細に触れず、負傷した乗組員は南部海南省で治療を受けているとし、インドネシアに混乱を招く更なる行動は控えるよう求めると抗議している。
インドネシアは南シナ海問題では「中立」の立場であるものの、中国が領有権を主張する海域に、同国のナトゥナ諸島周辺の水産資源が豊富な排他的経済水域が重なるため、対話での解決ができなければ国際機関への抗議を申し示しており、ここ数か月は違法操業船の取締を強化している。
6月19日付
『ロイター通信』は「インドネシア海軍中国船に発砲、1人負傷と中国筋」との見出しで以下のように報道している。
・中国外務省によると、インドネシア海軍が中国船に発砲し1人負傷。両国間の南シナ海領域において今年3度目の対立。
・インドネシア海軍の見解では、ナトゥナ諸島付近で不法漁業を行っていたとされる中国旗を掲げる船舶に対し複数警告発砲したがスポークスマンがロイターに伝えたところでは負傷者はいない模様。...
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6月19日付
『ロイター通信』は「インドネシア海軍中国船に発砲、1人負傷と中国筋」との見出しで以下のように報道している。
・中国外務省によると、インドネシア海軍が中国船に発砲し1人負傷。両国間の南シナ海領域において今年3度目の対立。
・インドネシア海軍の見解では、ナトゥナ諸島付近で不法漁業を行っていたとされる中国旗を掲げる船舶に対し複数警告発砲したがスポークスマンがロイターに伝えたところでは負傷者はいない模様。
インドネシアは中国との南シナ海領土問題において紛争当事者とされていないものの、中国が同国のナトゥナ諸島の領海を主張し「九段線」(*注)として地図上に示している事に異議を申し立てている。中国はインドネシアの同諸島の主権に異議立てしていないとする。
(*注)九段線:南シナ海の領有権問題に関して、中国が権利を主張するために地図上に引いている断続する9つの短い線。
同日付マレーシア
『マレーメイルオンライン』(AFP通信引用)は「中国、インドネシア海軍砲で乗組員負傷」との見出しで次のように報道している。
・南シナ海の両国の緊張下、中国外務省は詳細は明かさず、一人が負傷とし、更に1漁船と乗組員7人が拘束されているとし、インドネシアによる発砲を非難、強く抗議を示した。
・華春瑩報道官は「新華社ニュース」の声明で、「中国は過分な圧力に強く抗議する」とし、この事件は「中国固有の領海」で起きた、インドネシアの行動は国際法に抵触するとしている。
・今年3月、中国漁船がナトゥナ諸島沖で、インドネシア側に拿捕された中国の漁船を中国海警局の海警船が奪還。インドネシアはこれに激怒し中国大使に厳重抗議。同国はここ数か月、違法操業船の取締を強化しており、船員を避難させてから外国船を撃沈している。
・中国の領有権主張問題では、他国と違い、インドネシアは領土主張をしていない。しかし、ナトゥナ諸島沖が排他的経済水域に重複しているため、中国側の主張には反対。
同日付中国
『新華社ネット』は「中国は南シナ海でのインドネシアの武力行使を非難する」との見出しで次のように報道している。
・中国外務省は南シナ海でのインドネシアの海軍による武力行使に強く抗議。中国漁船が同国の砲撃により一人の船員が負傷、漁船と7人の乗組員は拘束されている。
・華春瑩報道官は、「中国は過分な圧力に強く抗議する」と声明。事件は両国が主張する領有権が重複する中国固有の領海で発生。インドネシアの行動は国連海洋法条約(UNCLOS)、南シナ海における関係国の行動宣言(DOC)を含む国際法に抵触し、中国の漁業関係者の生命と財産を脅かすものであると述べた。また、「中国はインドネシアに対して、緊張状態を高め、問題を複雑にし平和と安定を損なう行動を控えるよう要請する」、と述べた。
同日付インドネシア
『ジャカルタポスト』は「海軍、領海で違法操業の中国漁船を拿捕」との見出しで次のように報道している。
・海軍は金曜、海洋パトロール中にリアウ州沖ナトゥナ諸島で違法操業をする中国旗を掲げる漁船を拘束。第一将官によると、上空監視により、違法に魚を獲る外国漁船12艘の情報を受け、軍艦が近寄ると、漁船は逃亡を図ったため海軍は追跡、警告射撃を行ったがそれを無視。漁船の確保に至った。漁船内の捜索で、中国籍とみられる男性6名、女性1名の乗組員を発見。ラナイ海軍基地で事情聴取中。
・「アンタラニュース」が伝えたところでは、「領海での違法行為にはどの国籍の船舶にも断固をした行動をとる考えである」とし、海軍、政府は違法操業の外国船への保安を強化している。
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中国メディア;G7の海洋安保声明を批判(2016/04/12)
日本で行われた先進7か国(G7)外相会合が発表した、東、南シナ海における対立について触れた声明を受け、火曜中国は「強い不満」を表明した。中国外務省報道官は、「領海問題にG7が干渉するのは不当で、世界経済の統制と協力に焦点を当てるべき」等と強く反発している。
4月12日付中国
『新華社ネット』(新華社通信)は「中国がG7外相の領海問題に関する声明に不満を表明」との見出しで以下のように報道している。
・中国外務省の報道官陸慷(Lu Kang)氏は、「G7には領海問題において一方に加担し対立を助長することなく、世界経済が低迷する今、世界経済の統制と協調に注力していただきたい。」等と述べている。
・また同氏は、中国は歴史的事実に基づき、海域の平和と安定のため、海域の主権と領海圏を主張する一方、常に国際海事法令を順守し交渉により二国間の対立解決に尽力してきたとし、中国は違法な強制措置を断固拒否すると強調。...
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4月12日付中国
『新華社ネット』(新華社通信)は「中国がG7外相の領海問題に関する声明に不満を表明」との見出しで以下のように報道している。
・中国外務省の報道官陸慷(Lu Kang)氏は、「G7には領海問題において一方に加担し対立を助長することなく、世界経済が低迷する今、世界経済の統制と協調に注力していただきたい。」等と述べている。
・また同氏は、中国は歴史的事実に基づき、海域の平和と安定のため、海域の主権と領海圏を主張する一方、常に国際海事法令を順守し交渉により二国間の対立解決に尽力してきたとし、中国は違法な強制措置を断固拒否すると強調。
・二国間の尽力を尊重し、無責任な発言や行動を慎み、海域の平和と安定のため建設的役割を果たすよう要請すると、述べた。
また、同紙(同日付)は「社説:日本が乗っ取り(ハイジャック)したG7会合は南シナ海問題に干渉。不当で有害」で次のように報道している。
・またもや日本はG7の場を迷惑なことに中国を「巻き込む」 ことで、自国の目的と南シナ海問題に干渉する目的で利用した。これは不正で問題解決を遠避けるものだけでなく、領域の安定を害するものである。
・2日間のG7外相会合は月曜閉幕、4つのうち1つの声明がG7各国には関連のない領海問題に関するもので、日本政府の「たゆまぬ尽力」が実を結んだ声明。
・日本が中国を「巻き込む」のに多国間構想を利用するのは初めてではなく、昨年リューベックのG7外相会合で領海安定に関する同様の文書により日本は一方的に議題を押し進めた。
・中国の領域の安定への絶えまぬ努力と貢献に留意せず、同域の利益の為ならず対立緊張を高め中国を封じ込める為、日本には西洋諸国を詭弁の議論に巻き込む隠された意図がある。
・日本は、次世代と(現在低迷する)経済と領域の安定の為、中国と、敵対関係でなく協調関係を築くべきであり、その主導権は中国でなく日本政府にある。この良識に背けば、歴史が証明するように、惨事となる。
同日付中国
『チャイナデイリー』は「G7は日本主導で誤った方向へ」との見出しで以下のように報道している。
・中国を名指ししてはいないものの、南シナ海問題に関するG7の文書は、問題の一因をなす中国への暗に批判と受け取れ、これは間違いで不公平である。
・G7外相らは日本に利用されているだけで、海域安定に努めてきた中国を否定すれば緊張はより一層高まる。
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