国連の維持費用は、加盟国の分担に拠っている。その分担率は、加盟国の国民総所得(GNI)などを基に算出され、3年毎に改定される。そしてこの程、通常予算に対する2016年~2018年に適用される加盟国の分担率が決定されたが、世界経済に占める割合が相対的に低下した日本の分担率が減り、一方、急速な経済成長を遂げた中国は大幅増になったと米・中国メディアが伝えた。
12月24日付米
『ロイター通信(米国版)』は、「国連、今後2年間の予算を決定」との見出しで、「193ヵ国の加盟国から成る国連総会は12月23日、2016/2017年対応の通常予算を54億ドル(約6,500億円)と、2014/2015年の55億ドル(約6,600億円)より微減させることを決めた。これは、22%と最大の分担をする米国から出されていた、効率性向上と経費削減要求が反映されたものである。そして、3年毎に改定される加盟国の分担率(2016年~2018年に適用)が以下のように決定された。...
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12月24日付米
『ロイター通信(米国版)』は、「国連、今後2年間の予算を決定」との見出しで、「193ヵ国の加盟国から成る国連総会は12月23日、2016/2017年対応の通常予算を54億ドル(約6,500億円)と、2014/2015年の55億ドル(約6,600億円)より微減させることを決めた。これは、22%と最大の分担をする米国から出されていた、効率性向上と経費削減要求が反映されたものである。そして、3年毎に改定される加盟国の分担率(2016年~2018年に適用)が以下のように決定された。
1位米国(22.0%)、2位日本(9.68%)、3位中国(7.921%)、4位ドイツ(6.38%)、5位フランス(4.85%)、6位英国(4.46%)、7位ブラジル(3.82%)、8位イタリア(3.74%)、9位ロシア(3.08%)、10位カナダ(2.92%)。」とし、「なお、これとは別に、平和維持活動(PKO)に関わる2016年6月末までの予算は、82億7,000万ドル(約1兆円)で既に決められている。」と報じた。
12月25日付中国
『チャイナ・デイリィ』中国英字新聞は、「中国の世界における責任増大」との見出しで、「現在世界第2位の経済大国となった中国は、国連における役割が更に重要となっており、通常予算の分担率が7.921%に上昇し、世界第3位の分担国となった。更に、安全保障理事会常任理事国が割増して拠出するPKO予算では、米国の28.578%に続き、(日本を抜いて)2位の10.2879%の分担率に躍進している。」と伝えた。
国連通常予算の分担率トップ10のうち、前回(2013年~2015年)と変更のない米国を除いて、先進国の日本、ドイツ、フランス、英国、イタリア、カナダはいずれも分担率が下がり(その中でも、日本の減少幅は加盟国中最大)、一方、新興国の中国、ブラジル、ロシアはいずれも上昇した(その中でも、中国の増加率は最大で、順位も6位から3位に大躍進している)。なお、日本の通常予算の分担率は、1983年に初めて10%を突破し、2000年にはピークの20.573%にもなったが、以降漸減していき、前回の分担率は10.833%であった。
一方、1人当りのGNIが小さい途上国は負担が軽減され、その分を日本などの先進国が負担する仕組みであることは納得できる。しかし、PKO予算の分担率も、安保理常任理事国が少し割増されているとは言え、これまで長い間、米国以外の常任理事国、すなわちフランス、英国はもとより、中国やロシアよりも多く負担させられていた。そして、安保理非常任理事国に選出された2年間のみ(今回、2016/2017年任期の非常任理事国に7年振りに選出)の期間しか、存在感を示す機会が許されてきていなかったことに対して大いに不満が残る。古くは、1996年の従軍慰安婦問題に関わるクマラスワミ報告、直近でも、南京事件に関して、中国の訴えるままにユネスコ世界記憶遺産への登録が認められた等の不公平、不公正さを目の当たりにする度、金は出すが口は出さず、ではなく、日本は、国連においてもっと強くアピールし、影響力を発揮していくべきであったと痛感している。
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