1月1日から輪番制で欧州連合(EU)の議長国となるフランス。2022年のフランス大統領選と重なるこの責任にどう取り組むかについて、1年かけて考察された、300ページの報告書がフランス政府に提出された。報告書は、フランスが「謙虚さ」を持って取り組むよう求めている。
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『ラ・クロワ』紙によると、この報告書は、フランスの欧州連合理事会議長国となる2022年1月を目前に、クレマン・ボーヌ欧州担当長官に提出された。フランス政府の依頼により、独立系シンクタンクが作成した報告書は、次回は13年後に回って来る議長国の役割を成功させるために、謙虚さを持って取り組み、「限定した数の目標」に再集中することを推奨している。
ジャック・ドロール研究所の特別顧問であるティエリー・ショパンが率いたこの報告書には、経済学、社会学、地理学、政治学、国際関係論、歴史学など、幅広い分野の専門家が12人参加した。...
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『ラ・クロワ』紙によると、この報告書は、フランスの欧州連合理事会議長国となる2022年1月を目前に、クレマン・ボーヌ欧州担当長官に提出された。フランス政府の依頼により、独立系シンクタンクが作成した報告書は、次回は13年後に回って来る議長国の役割を成功させるために、謙虚さを持って取り組み、「限定した数の目標」に再集中することを推奨している。
ジャック・ドロール研究所の特別顧問であるティエリー・ショパンが率いたこの報告書には、経済学、社会学、地理学、政治学、国際関係論、歴史学など、幅広い分野の専門家が12人参加した。
報告書は、序文で、フランスの傲慢さを批判することが多い他国に配慮して、適切な口調を選ぶことを提言することから始まっている。特に外交問題においては、「様式にこだわりすぎず、もっと謙虚に」な態度を取るようアドバイスしている。そして、「フランスと大統領の積極的な動きは認められている一方で、批判の対象となり閉塞感が生じる可能性もある。フランスの、上から目線の態度が恨みを招く危険性もある」と前文で強調している。
また、フランス大統領選が4月に行われる関係上、議長国として実際に動ける期間は6ヵ月のうち3ヵ月に限られ、この期間中、散漫にならないことが必要だと提言している。報告書は、このような状況の中で、「効果的に達成できる政治的目標の数を絞らざるを得ない」とも指摘している。なお、フランスは、議長国として「再生、力、帰属」をモットーとする予定だ。
仏『ウエストフランス』紙によると、報告書は、EU議長国としてのフランスは「新たな方法でフランスの欧州の野望を推進できるようにしなければならない」としており、そのためにも、上流での協議を増やし、具体的な結果を伴う公開討論を行う必要性があると主張している。報告書は、このことを、「ビクトル・ユーゴではなく、ロべール・シューマンのように」とフランス人作家とヨーロッパの建国の父の一人を引き合いに出して説明している。
報告書はまた、欧州に関して、特に欧州の主権に関するフランスの曖昧な発言は避けて、「フランスの国家的独立を問う」ものでもなく、「欧州におけるフランスの利益のみを促進する」ものでもないことを示す必要があるとも主張している。マクロン大統領が得意とする欧州の戦略的自律性は、NATOや米国との関係に疑問を投げかける可能性があることから、EUのパートナー、特に東ヨーロッパ諸国に懐疑的に見られる傾向があるためだ。
報告書で他にも、気候政策、欧州防衛基金、デジタル主権、ユーロの国際的役割という4つの選択された課題について進展を図ることを提案している。防衛に関しては、特にサイバーセキュリティの推進に注力することを推奨している。
なお、フランスは、最もユーロに懐疑的な世論を持つ国の一つであり、議長国になることは、「欧州をフランスに定着させる」機会となるはずだと専門家たちは強調している。
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