新型コロナウイルスの影響による精神疾患の急増を受け、イタリア政府は、年齢に関係なくすべてのイタリア人が精神衛生の専門家の治療を受けられるよう、500ユーロ(約6万5千円)の支援金を準備する方針を示した。
仏誌
『レクスプレス』によると、イタリアは11日から全国的に屋外でのマスク着用義務を解除し、クラブも再開される。パンデミック前の生活を取り戻そうとしている。一方で、仏誌
『レゼコー』は、イタリア政府はパンデミックに対処するための様々な支援金に新たなものを加えようとしていると伝えている。今回のものは500ユーロ相当で、国の経済的健康を保つためではなく、心理的なサポートを提供することで住民の精神的健康を保つことを目的としている。...
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仏誌
『レクスプレス』によると、イタリアは11日から全国的に屋外でのマスク着用義務を解除し、クラブも再開される。パンデミック前の生活を取り戻そうとしている。一方で、仏誌
『レゼコー』は、イタリア政府はパンデミックに対処するための様々な支援金に新たなものを加えようとしていると伝えている。今回のものは500ユーロ相当で、国の経済的健康を保つためではなく、心理的なサポートを提供することで住民の精神的健康を保つことを目的としている。
イタリア神経精神薬理学会によると、パンデミックの期間中、患者は26%増加し、不安障害は28%急増した。同会長で、精神科医のクラウディオ・メンカッチ氏は、「貧困と孤立がもたらす影響を最も受けるのは、人口の中で最も脆弱な部分を占める女性、若者、高齢者である」と述べている。
病院では、自殺願望や自傷行為に関連した来院が爆発的に増加しているという。また、他の暴力事件もかつてないほど増加している。2021年1月時点、心理的な理由でローマのバンビーノ・ジェス病院を訪れた患者の63%が自殺念慮を持っている、あるいは自殺未遂をしたことがあった。その1年前は39%程度であった。そして同期間中、こうした患者による入院は17%から45%に増加した。
専門家たちは、こうした状況に対応できるための投資が十分に行われておらず、環境が整っていないことを非難している。公的な精神保健サービスによってケアされている80万人の患者は、約2千人の心理学者だけで対応しているという。また、国内13万人の心理学者のうち、公的機関に勤務しているのはわずか5%であり、心理的援助を必要とする人の約4分の1が、財源不足のために途中で治療をやめたり、治療を受けること自体を諦めたりしているという。
そこでイタリア政府は、年齢に関係なく、すべてのイタリア人が心理的サポートを受けられるよう、年間5000万ユーロ(約66億円)の「メンタルヘルス基金」を創設することを決定した。
ベルギーに拠点を置く欧州ニュースメディア『ユーラクティブ』によると、集められた資金は2回に分けて分配され、1回目は地方の保健所や診療所など、公的な精神科医療ネットワークの強化に使われる予定だという。2回目は、経済的に困難な状況にありながらも治療を必要としている個人に割り当てられる。
イタリアの心理学者協議会は、近年10人中8人が多かれ少なかれ深刻な心理的な問題を抱えるようになったことを指摘しており、この点を考慮するよう呼びかけている。スペランツァ保健相は「単純な支援金がすべてを解決するわけではない」と警告している。一方で、「メンタルヘルスを扱う公衆衛生サービスを強化する必要がある。地域に根付いた心理的支援のための資源を増やしながら、全国的な包括的な対策を取っていくことが必要だ。支援金は最初の一歩に過ぎない」と述べている。
こうした取り組みは、最近、イタリアの国家復旧・復興計画にこのような措置がないことが世間から批判されたことを受けたものである。
いくつかの地域では自律的に行動を起こしている。イタリア中部のラツィオ州は、学校などでの心理的支援の展開に1100万ユーロ(約14億円)を投じる。ロンバルディア州、カンパニア州、エミリア=ロマーニャ州も追随を表明している。心理学者協議会は、「私たちは精神病のパンデミックに直面している。18歳以下の年齢層だけでも、2人に1人が心理的な不調を訴え、10%が精神疾患を患っているという。」と主張している。
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