遺伝情報や病気リスクが調べられる市販の遺伝子検査が人気だが、ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルによると、拡大解釈や誤った結果が出る場合も多く、今後の健康に関して明確な情報が欲しくて使用する気持ちは理解できるとしながらも専門家は警鐘を鳴らしている。
10月16日付英国
『BBC』は「遺伝子検査:専門家が家庭用検査キットに警鐘」との見出しで以下のように報道している。
サウザンプトン大学のチームがブリティッシュ・メディカル・ジャーナルに寄稿した調査論文によると、家庭で行う遺伝子検査の結果は信頼できるものではなく、結果により治療を決めてはいけないと遺伝子学者は警鐘をならしている。検査が誤った認識や間違った不安につながるという。
この調査は、NHSによる遺伝的審査や親族の病歴や健康上のリスク要因の検査でなく、いわゆる消費者直販の遺伝子検査に関してである。...
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10月16日付英国
『BBC』は「遺伝子検査:専門家が家庭用検査キットに警鐘」との見出しで以下のように報道している。
サウザンプトン大学のチームがブリティッシュ・メディカル・ジャーナルに寄稿した調査論文によると、家庭で行う遺伝子検査の結果は信頼できるものではなく、結果により治療を決めてはいけないと遺伝子学者は警鐘をならしている。検査が誤った認識や間違った不安につながるという。
この調査は、NHSによる遺伝的審査や親族の病歴や健康上のリスク要因の検査でなく、いわゆる消費者直販の遺伝子検査に関してである。
調査を行ったイギリス遺伝子医学会長のAnneke Lucassen教授は、ネットや店頭で販売される遺伝子検査で健康状態を判断し、治療や精密検査の判断材料にしてはいけないと述べる。ガンのリスクに繋がる欠陥遺伝子を持っているという誤った検査結果が出て、受診した患者を診てきたのだという。多くの場合 詳細よりも広範囲を重視した結果を出すようになっている。
一方、検査キットを販売する「23andMe」は、検査により多くの場合、患者の精密検査や予防治療に効果が挙がっているとする。検査プロセスは、非常に正確だと主張。
乳がんや卵巣がんのリスクの確率は数千ケースある。ある特定の遺伝的変異体を調べる場合、非常に高い確率で言い当てるという。これは医療機関との連携をサポートするもの。結果を持って医者に行き、確認検査を処方され、予防的治療に繋がった多くの実例があるという。
しかし専門家は、患者の好奇心だけで進めるべきでないという。多くの医者のもとへ、市販の検査結果を持って患者が受診し、「この検査結果をどういう意味にとればよいか」と質問するのだという。販売会社の中には、自分たちで必要なアドバイスやフィードバックをせずに、こうして医者に聞くようにアドバイスする所もある。医者に医者に時間を取らせ、NHSのリソースを使う。検査で利益を得ている企業の責任で行うべき。DNA情報を民間企業に渡すのも、個人や家族のプライバシー問題への懸念を高めるだろう。
10月17日付アイルランド『Irish News』(Independent)は「市販遺伝子検査に専門家が警鐘」との見出しで以下のように報道している。
市販の遺伝子検査は間違いである事があると専門家は警鐘を鳴らす。遺伝子検査では、自分の祖先(アイルランド系の血が入っているか)や病気にかかるリスク(ガンなど)、パーソナリティに関する情報、身体的能力、子どもの才能などが調べられるという。
ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルで専門家は、はっきりした結果を知りたいと検査キットを購入する人へ、データは複雑でケースバイケースだと指摘する。「偽陽性(誤検出)が発生する可能性があり、全く心配のない場合でも誤検出をする場合もあり、陽性の結果が出た人が、関連の病気を発症しないケースが殆どだ。遺伝子データは複雑で、容易に誤った解釈に繋がりやすい。」という。遺伝子検査キットを買う人は、はっきりした結果が出るのを見ることを期待している。この期待から市場やメディア報道が過熱し、使用者が検査結果を拡大解釈するリスクが生じているのだという。
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英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」が掲載した論文によると、英国の高齢者35万人について調査したところ、うつ病や膀胱の病気を治療するのに使われる抗コリン薬と呼ばれる薬を1年以上使用することで約30%認知症リスクが高くなるということが発見された。
抗コリン薬は神経細胞によって放出された化学物質アセチルコリンを遮断し、膀胱の筋肉のけいれんを抑えることで尿失禁を緩和したり、うつ病、パーキンソン病などに使われることもある。...
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英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」が掲載した論文によると、英国の高齢者35万人について調査したところ、うつ病や膀胱の病気を治療するのに使われる抗コリン薬と呼ばれる薬を1年以上使用することで約30%認知症リスクが高くなるということが発見された。
抗コリン薬は神経細胞によって放出された化学物質アセチルコリンを遮断し、膀胱の筋肉のけいれんを抑えることで尿失禁を緩和したり、うつ病、パーキンソン病などに使われることもある。ただアセチルコリンが正常な場合にブロックしてしまうと、アルツハイマーのような症状を引き起こす可能性がある。
論文の共同執筆者の一人で英イーストアングリア大学のジョージ・サヴァ氏は、認知症の原因が抗うつ薬であるかを断言できないとはしたものの、抗うつ薬の長期的使用が認知症発症とに明確な関連があると言えると述べている。
著者らはそれぞれのリスクは遺伝的問題や生活習慣などによって異なるとしているが、一般的に今後15年以内に認知症になるリスクが10%の人が1年以上抗うつ薬を使用した場合、13%に増加すると説明している。
ロンドン大学教授のロブ・ハワード氏はこの論文が「大きな成果だ」と述べ、今回の研究が抗うつ薬の長期利用が認知症リスクを増大させる可能性があることを初めて立証した論文である、と指摘した。ただ研究者らはこの根拠だけを理由に勝手に薬をやめたりせず、投薬について変更する場合は専門の医師や薬剤師と相談するよう、呼びかけている。
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