オバマ大統領は先週後半、休暇でハワイに発つ前に米国営ラジオのインタビューに答えた。その中で、来年の大統領選の共和党指名争いで先頭を走る実業家トランプ氏について、労働者層が抱く怒りや不満、不安に付け入り「選挙運動の食い物にしている」と名指しで批判する発言をしたことが注目されているが、約30分のインタビューでは自身の任期を振り返り、初のアフリカ系アメリカ人大統領としての苦悩や今後の国策への考えなどを吐露している。
12月21日付け
『NPR NEWS』
先週、オバマ大統領は、米国営ラジオ(NPR)のスティーブ・インスキープのインタビューに答えた。インタビューの中で、国の経済と”オバマ氏のユニークな生い立ち”を含む人口構造の変化がトランプ氏が漬け込む隙となっている、とした。
現在我々が直面している金融危機は、グローバル化や人口動向と結び付けて考えられる。それらにより賃金や所得が横ばい状態となっている、その不満が大統領に向かっている。...
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12月21日付け
『NPR NEWS』
先週、オバマ大統領は、米国営ラジオ(NPR)のスティーブ・インスキープのインタビューに答えた。インタビューの中で、国の経済と”オバマ氏のユニークな生い立ち”を含む人口構造の変化がトランプ氏が漬け込む隙となっている、とした。
現在我々が直面している金融危機は、グローバル化や人口動向と結び付けて考えられる。それらにより賃金や所得が横ばい状態となっている、その不満が大統領に向かっている。責任を問われ、国が悪い方に向かっていると指摘されたらこのように答えるのだ、最初のアフリカ系アメリカ人の大統領が直面している現状をこれまでの大統領は経験があるのだろうか。
問題の真実はこのような大きな国では常に不満を抱えている人々が存在する、国の方向性を受け入れられず、大統領に懸念を示す人々は常にいるのだ。政策だけではない、歩き方も耳の形も、私を個人的に好かないだけ。100%の支持を得る政治家はいない。共和党支持者で私を懸念する人は個人的に受け入れられないのである、などと答えている。
12月21日付け
『ABC』は次の点を中心に報道をしている。
最近のマンモス大学の世論調査でトランプ氏は、共和党寄り登録有権者の41%の支持を獲得、2位に続くテッド・クルス上院議員を27ポイントリードしている。
休暇でハワイへ発つ前にインタビューでオバマ氏はISISとの闘いとその米国への脅威について語った。米国を滅ぼすことは出来ないが傷つけることはあるとし、上院議員を テッド・クルスの政策、ISISへの”絨毯爆撃”は国家の安全に関わる事とと批判した。
次期大統領へのアドバイスを求められたオバマ氏は、(ISISへの)攻撃するでなく目標(ターゲット)を定めることが肝要、データ、知能、情報に基づいた判断を司令官、地上部隊に下す事、政治的事情に振り回されない事が大切だと答えた。
12月21日付け
『ニューヨーク タイムズ』
月曜公開されたラジオのインタビューで、オバマ大統領は、共和党大統領指名候補のドナルド・J・トランプ氏を、選挙活動のために労働者階級の男性の怒りと不安を”利用”していると批判する発言をした。又、オバマ氏は個人的に向けられる軽蔑的なものはアフリカ系アメリカ人であるという事実から生じていると語った。
人口動態の変化や横ばい続き賃金による経済的ストレスは、かつては工場に勤務し一人の稼ぎ手で家族を養ってきたかつての様にはいかなくなった、特にブルーカラーの男性の間で問題となっている。
このような問題を絡み合わせ、潜在的な怒り、不満、不安を正当化し、更に誤った方向に向け、トランプ氏のように利用する物が出てくる。トランプ氏は選挙活動の過程でこれらを利用しているのだと主張した。
「共和党内には、私が異質でイスラム教徒(*注)で国に忠誠でないという人もいるが、それは間違いで、個人的に私の境遇に起因しているのだろう。私に反対する人は必ずしも私の政策を見ているのでなく特に理由を持ち合わせてはいない。例えば炭鉱関係者は仕事がなくなるのを私の責任とするだろう。」と述べている。
オバマ氏は高卒以下の白人層の支持を仰いだが、2012年の再選の際は支持率36%にとどまっている。共和党は選挙人の数は落ちているが当白人層の支持は安定している。
また、オバマ氏はISIS(またはISIL)について勝利を確信しているとし、過激派グループのメディアに精通した戦略は、国民の不安をあおり、氏の支持率を下げたとした。
(*注)共和党支持者の4割強がオバマ氏がイスラム教徒だと誤解しているというデータがある。
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