ロックダウンやマスク着用の義務化など、新型コロナウイルス対策に反対するオーストリアの新政党が、26日にオーストリアの9つの州議会のうちの最大の州議会で議席を獲得したことで、オーストリア国内で衝撃が走っている。
『スイス・インフォ』によると、26日に行われたオーバーエスターライヒ州の選挙で、バーやレストランを回り、ネット上でキャンペーンを繰り広げた新生政党「People Freedom Fundamental Rights(MFG)」は、州議会に入るために必要な4%の基準を上回る6.2%の得票率を獲得し、多くの人を驚かせた。
国内第3の都市リンツを擁し、ドイツ、チェコと国境を接するオーバーエスターライヒ州には、オーストリアの重工業の多くが集中している。...
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『スイス・インフォ』によると、26日に行われたオーバーエスターライヒ州の選挙で、バーやレストランを回り、ネット上でキャンペーンを繰り広げた新生政党「People Freedom Fundamental Rights(MFG)」は、州議会に入るために必要な4%の基準を上回る6.2%の得票率を獲得し、多くの人を驚かせた。
国内第3の都市リンツを擁し、ドイツ、チェコと国境を接するオーバーエスターライヒ州には、オーストリアの重工業の多くが集中している。また、極右政党「自由党」(FPO)の拠点でもあり、新型コロナウイルスのワクチン接種率は全国で60.3%であるのに対し、55.5%とオーストリアで最も低い水準にある。
MFGの代表であり、新型コロナウイルス規制の合憲性を法廷で争ってきた弁護士でもあるマーカス・ブルーナー氏は、オーストリアの公共ラジオに出演し、今後、「我々はザルツブルグでも、カリンシアでも、そして連邦議会選挙でも立候補する」と述べた。
しかし、パンデミックが終息すると期待されている2023年までは、いずれの選挙も予定されていない。MFGのマニフェストでは、新型コロナワクチンの接種に反対することはしていないものの、「選択の絶対的な自由」を支持し、ワクチンを接種していない人が不利益を被ることに反対するとしている。世論調査会社SORAのデータによると、MFGは様々な政党から有権者を獲得しているという。
英『ファイナンシャルタイムズ』は、「政治的な地震とまではいかないものの、MFGの地方選挙での躍進はオーストリアの政治に波紋を投げかけ、ヨーロッパの政治情勢にパンデミックの影響が出始めたことを示唆している。」と伝えている。今年2月に発足したばかりのMFGは、オーバーエスターライヒ州の農村地域で小さな支持基盤を静かに築いてきたという。MFGは、村の酒場を訪問し、フェイスブックやSNSアプリで配信される自作のインタビューやビデオを通じて、有権者とつながってきた。
『ファイナンシャルタイムズ』によると、MFGのメッセージの中心となっているのは、オーストリア政府の予防接種活動への反対であり、特に、レストランやその他の屋内空間に入るために予防接種の証明書を必要とする新しい規制に反対している。
公式には、MFGはワクチン反対派ではないと主張しているが、同党の支持者の多くは反ワクチン派であり、党のスローガンの一つに「言われたことをすべて信じてはいけない!」というスローガンを抱えている。
オーストリアの著名な政治コンサルタントであるトーマス・ホーファー氏は、MFGの躍進を「地域的な現象」としながらも、過小評価してはならないと述べている。「根本的な傾向として、個人の権利や自由、エリートに対する怒りなど、排除されていると感じているグループからの反体制的なメッセージである」と語っている。
オーバーエスターライヒ州の多くの地区で、MFGは二桁の投票率を記録した。人口1650人の田舎町マリアノイシュティフトでは、有権者のほぼ5人に1人が支持し、第2党となった。税理士である45歳のアイグナーさんは、自分たちの政党が成功したのは、彼らが「普通の市民であり、現実の社会から来た人たちであり、人々の懸念や問題を正確に知っている」からだと語った。
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