国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は18日、最新のUNHCR年次報告書を発表した。報告書によると、2019年に戦争、迫害、または差別から居住地を追われた人々の数は7950万人を超え、難民の数は10年でほぼ倍増した。また、新型肺炎の世界的流行のために避難生活が悪化しているという。
仏紙
『ジュルナル・デュ・ディマンシュ(JDD)』によると、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の70年の歴史の中で、これほどの数字は見たことがないという。2018年には7080万人だった難民数が、1年間で約900万人近く増え2019年末には7950万人以上となった。約4110万人だった10年前からは、ほぼ2倍に増えている。これは、97人に1人、世界人口の約1%が難民生活を余儀なくされていることに等しい。
仏紙『レゼコー』によると、UNHCRは、避難民の間の未成年者が3000万から3400万人いると見ており、全体の約40%にのぼることを指摘している。そのうちの数万もの未成年者は保護者のいない状態だという。
避難民の85%は開発途上国で難民生活を送っており、10人のうち8人は食糧不安、深刻な栄養失調、気候変動のリスク、自然災害に苦しんでいる地域に住んでいる。
仏紙『ルフィガロ』は、7,950万人の避難民のうちの3分の2以上(68%)は、シリア(660万人)、ベネズエラ(370万人)、アフガニスタン(270万人)、南スーダン(220万)とビルマ(110万)の5つの国の出身者であることを報じている。
また地域の紛争が長期化することで、やむを得ない避難生活がほとんどの場合数年以上続き、2019年に故郷に戻ることが出来たのは30万人にとどまるという。
近年は政治的、経済的危機に加え、例えば西アフリカ地域での干ばつ、食糧危機、アルカイダやイスラム国家によるテロ行為など、複数要因の組み合わせで住民が避難を余儀なくされており、難民問題の解決が困難になっている。
更には今年に入り、新型肺炎の世界的流行により、難民にとって健康の危機と、特に社会経済的問題が加わった。多くの地域で、難民は仕事を失い、多くの人は収入が減り、1日あたりの食事の数を制限して対応せざるを得ない状況にあるという。
UNHCRフランスの報道官は「新型肺炎は世界の人々がいかに相互につながっているかを示した。一人の人を守るために、みんなも守られなければならない。難民のための解決策を見つけるために必要なのはこの結束だ」とコメントしている。
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