安倍首相と朴槿恵大統領による日韓首脳会談が、ソウルで開催される日本と中国、韓国による3ヵ国の首脳会議に合わせて、11月2日におこなわれる。日韓首脳会談は2012年5月以来3年半ぶりであり、安倍首相と朴大統領による正式な首脳会談は両氏の就任以来初めてとなる。日韓関係は、従軍慰安婦や竹島問題などをきっかけとして冷え込み、これまで首脳会談が開かれなかった。米国は、東アジアの重要な同盟国である日本と韓国の関係修復を強く望んでいるが、慰安婦問題が大きな障害となっており、今回の首脳会談によって関係改善が進むことには悲観的な見方も出ている。
一方、日中韓の経済分野での協力関係については、3ヵ国の自由貿易協定合意に向けての進展などが期待されている。
10月28日付
『ボイスオブアメリカ』は、日本と韓国の首脳会談は3年半ぶりに開催されると報じている。朴大統領と安倍首相は国際会議の場で会っているが、両国間の関係悪化によって首脳会談はおこなわれなかった。韓国政府は、慰安婦問題を含め両国間の様々な懸案について突っ込んだ意見交換をしたいと述べている。また、安倍首相は、日韓の亀裂を生んでいる諸問題を率直に話し合いたいと述べている。こうした問題の他、日本の自衛隊を朝鮮半島へ派遣する場合の条件、北朝鮮核問題、環太平洋パートナーシップ(TPP)加入などについて話し合われる予定である。
2012年12月に安倍政権が誕生し日韓関係が冷え込んで以来、米国政府はこれまで東アジアの主要同盟国である日韓関係が修復されることを期待し、両国間の関係については慎重に距離を保ってきた。安倍首相は戦時中の日本軍の残虐行為について隣国と意見の相違があり、歴代首相による侵略行為への陳謝は継承するが、それ以上の陳謝をおこなうことを拒んでいると報じている。
10月27日付
『ニューヨークタイムズ』紙は、今週水曜日、ソウル市の公園で韓国人と中国人の慰安婦銅像が新たに設置されたと報じる。慰安婦像自体は他にもあるが、中韓合同で造られたのは初めてである。銅像設置のタイミングが日中韓の首脳会談の直前となったのは偶然であるが、中韓両国は、安倍首相が戦時中の日本の虐待行為を歪曲しようとしていると非難している。
朴大統領は今月初旬、3ヵ国首脳会談開催時に安倍首相と日韓会談をおこなう意向を示したが、日本が慰安婦問題について対処することを求め、会談を有意義なものとするためには、韓国で存命している元慰安婦たちの苦悩を和らげる努力をすべきだと述べた。
日本がこの問題で譲歩するかは不明であるが、両首脳が昼食を共にしないことから、大きな進展はないものと観測される。韓国にとって慰安婦問題は日本の朝鮮植民地支配時代に由来する非常に感情的な問題の一つである。日本は、1965年の日韓基本条約で解決済みとの立場である。一方、韓国政府は、安倍首相は慰安婦の強制的募集に関する日本政府の責任を軽視していると非難している。
10月26付
『ザディプロマット』は、中国の李克強首相が3ヵ国首脳会談に出席のため韓国を“公式訪問”すると報じている。前回までは、当時の温家宝首相が出席していたが、一部に今回は首相ではなく習近平国家主席が訪韓し、習・安倍会談がおこなわれるとの見方があった。結局、従来通り首相の李克強が参加することになったが、李首相の訪韓は5年前の首相就任以来初めてである。今回の首脳会談は、中国にとって北東アジアで頓挫している日中韓の協力関係を推進するとともに、韓国の経済界や各界の首脳との関係強化をはかる好機である。
メディアは厄介な歴史問題や領土問題に焦点を当てると想像されるが、首脳会談では李克強首相が出席することになったことで、3国間の通商などの経済問題が中心に話し合われることになると思われる。そして、日中韓の自由貿易協定の合意に向けて、大きく進展する可能性がある。中国商務部は、「高い水準での自由貿易協定締結が3国共通の利益であり、また、アジア地域の発展と繁栄に資する」と3国の自由貿易協定合意に期待を示し、12月成立を目指して更に交渉を重ねると発表している。
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