日本のNHKのような存在であるカナダ放送協会(CBC)は、ワクチン義務化の撤回を求めて抗議活動を行っていた「フリーダムコンボイ」に関して誤情報を広めたことを認め、報道内容を訂正した。一方、カナダ政府は、こうした誤情報を根拠に緊急事態法を決断していたことが判明した。
カナダ日刊紙
『トロント・サン』によると、CBCは当初、ワクチン義務化に反対する大規模な抗議活動は、カナダ政府を不安定にするために、ロシア人が裏で関与しているものだと主張した。1月28日のCBCのテレビ番組で、司会者は、「この抗議行動が大きくなるにつれ、ロシアの陰の立役者が事態を悪化させ続け、外から扇動している可能性も懸念される」と主張していた。しかしその後、ロシア人がフリーダムコンボイの背後にいるという主張は根拠のないものであったことが確認され、CBCはテレビでの報道内容を訂正した。また、トルドー政権とCBCが指摘していた白人至上主義者による陰謀も、特別調査委員によって関与はなかったことが確認された。
そして今回新たにCBCは、抗議活動がクラウドファンディングで1000万ドル(約9億円)近くを短期間で集められたのは、国外からの強力な資金提供者がいるからだという記事の内容も間違っていたことを認めた。
カナダのニュースサイト『ウエスタン・スタンダード・オンライン』によると、CBCニュースは当時、フリーダムコンボイへの寄付を独自に分析し、外国人からの疑わしい寄付を見つけたと主張していた。ニュースはさらに、特定した寄付は、「カナダ国外から寄せられた寄付のほんの一部に過ぎないようだ」と2月10日付のウェブサイトの記事で報じていた。
さらに別の記事では、「CBCニュースによるクラウドファンディングの寄付の分析で、少なくとも3分の1は、匿名を選んだ寄付者、または明らかに架空の名前や政治的なコメントを記載した寄付者によって行われたことが明らかになった。」と報じていた。
しかし、クラウドファンディングの幹部は3月3日、下院の公共安全委員会で証言し、外国からの寄付はごく一部であり、ほとんどの寄付は少額で、クレジットカードの記録を調べたところ、テロリスト集団やネオナチ、その他の既知の犯罪者が関与した形跡はないことを報告した。カナダの対テロ資金規制当局の副局長も2月24日下院の財務委員会で、フリーダムコンボイの募金は無害なものだと証言した。「コロナにうんざりし、困っていた世界中の人たちが、デモを見た。彼らはただ大義を支持したかっただけだと思う。」と証言した。
一方、『トロント・サン』は2月17日付の記事で、トルドー首相が緊急事態法を発動し、抗議活動に参加した人々と活動に寄付をした人々の銀行口座を凍結した決断の根拠となるものは、カナダ警察による正式な調査ではなく、公共放送局の報道内容だったと伝えている。カナダ政府が下院に提出した14ページの報告書は、緊急事態法を発動し、銀行口座の凍結に踏み切った根拠として、「カナダ放送協会が最近報じたクラウドファンディングサイトに関する報道で、抗議活動への寄付の大半がカナダ国外の寄付者によって行われたことが明らかになった。」ためだったと報告している。しかし、この報道内容は誤情報であったとしてその後撤回された。
『トロント・サン』は、ここ数十年のカナダ政治で最も重大な決断を下したトルドー首相の判断材料は、後に誤情報であったことが発覚した自由党寄りのメディアであったと批判している。これらの記事は、抗議するトラック運転手に否定的な発言をしていたCBCの記者たちによるものであった。
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