グーグルが中国で「検閲版」の検索エンジンの提供を検討、米ネットメディア(2018/08/02)
米アルファベット傘下のグーグルが、中国本土で検閲機能を備えた検索エンジンの提供を開始することを検討している。米情報サイトのインターセプトが、グーグルの社内文書を入手し、関係者の話と併せ報じたとして、多くの他メディアが1日にその内容を伝えた。
グーグルは2010年、検閲に反対して検索エンジン事業を香港に移し、同事業につき中国本土から撤退した。同社が中国本土で再度検索エンジンの提供を始めれば、大きな方針転換となり、論議を呼びそうだ。インターセプトはグーグルのサンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)が、昨年12月に中国政府高官と会談し、中国市場に再度参入する意欲を示したとする内部文書を入手した。本会談以降、実現に向けての動きが加速したという。...
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グーグルは2010年、検閲に反対して検索エンジン事業を香港に移し、同事業につき中国本土から撤退した。同社が中国本土で再度検索エンジンの提供を始めれば、大きな方針転換となり、論議を呼びそうだ。インターセプトはグーグルのサンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)が、昨年12月に中国政府高官と会談し、中国市場に再度参入する意欲を示したとする内部文書を入手した。本会談以降、実現に向けての動きが加速したという。
この検閲版の検索エンジン開発プロジェクトは昨年春に開始されたが、「ドラゴンフライ(Dragonfly、とんぼ)」というコードネームが付けられ、同社のエンジニアらは、「茅台(Maotai)」、「龍飛(Longfei)」など様々なニックネームを持った、基本ソフト「アンドロイド」向けの検索エンジンアプリを作成してきた。
グーグルの8万8,000人のスタッフの内、数百人だけが本件について承知しており、殆どの作業がカリフォルニア州の本社とは別の場所で行われている。同社は中国の検索エンジンサービスを現地の提携先とともに提供するが、その社名は未だ明らかにされていない。
検閲版の検索エンジンを使用すると、政府が禁止する潜在的に機微な用語や写真などにはアクセスできない。具体的な検閲の対象として、人権、民主主義、宗教、平和的抗議活動などに関する用語があれば、検索対象として表示されず、BBCやウィキペディアなどのサイトは最初からブロックされる。
同社は中国政府当局に対し、試作版のデモを実施済みであり、今後6~9カ月以内に最終版がリリースされる可能性がある。インターセプトは、中国政府はまだ最終承認をしていないと報じている。
グーグルの広報担当者は、ビジネス・技術ニュースサイトの米ビジネスインサイダーに対し、「当社はグーグル翻訳やファイルズ・ゴーなど、多くのモバイルアプリを中国で提供し、中国の開発者を支援しており、JDドットコムなどの中国企業に多額の投資をしてきた。しかし、将来の計画に関する憶測にはコメントしない。」と報道への言及を避けた。
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ユーチューブ、陰謀論対策としてウィキペディアを利用へ(2018/03/16)
『ガーディアン』『デイリーメール』などの英文メディアは、動画投稿サイトの「ユーチューブ」が、嘘の情報や陰謀論の動画を拡散することへの対策として百科事典サイト「ウィキペディア」を表示させる方針だと明らかにしたことを報じている。
ユーチューブの最高経営責任者(CEO)スーザン・ウォシッキー氏は、映画と技術の祭典「SXSW」の場で、「投稿された動画の横に、‘情報の手がかり’としてそれに関する情報を提供するウィキペディアやその他第三者サイトのリンクを一緒に表示する。」と話した。「情報の手がかり」は重要な議論を巻き起こした動画のみに採用される予定だという。重要な議論というのは、ユーチューブ場で話題になった「月面着陸は捏造である」や「飛行機雲は有害な化学薬品を散布している」などといった陰謀論や虚偽情報の動画のことだ。...
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ユーチューブの最高経営責任者(CEO)スーザン・ウォシッキー氏は、映画と技術の祭典「SXSW」の場で、「投稿された動画の横に、‘情報の手がかり’としてそれに関する情報を提供するウィキペディアやその他第三者サイトのリンクを一緒に表示する。」と話した。「情報の手がかり」は重要な議論を巻き起こした動画のみに採用される予定だという。重要な議論というのは、ユーチューブ場で話題になった「月面着陸は捏造である」や「飛行機雲は有害な化学薬品を散布している」などといった陰謀論や虚偽情報の動画のことだ。
ユーチューブなど動画共有サイトでは、虚偽情報の取り締まりに失敗しているだけではなく、拡散を許し収益を上げさせていることに対して被害者らから批判が集中している。先月起きたパークランドの高校での銃撃事件においても、生存した生徒を「被害者のふりをする役者だったのではないか」といった陰謀説を主張する動画がユーチューブのトレンドで上位になるなどと問題となった。同生徒はCNNの取材に対し「私は役者ではない。私は証言をし、この危機を乗り越えなければならないし、それをやり続けなければいけない存在なんだ。」と話したという。
しかし、ガーディアン紙ではこの取り組みがどれほど成果を上げるかは疑問だとした。ウィキペディアがニュースを提供しているわけではなく、あくまで百科事典であることを指摘し、災害など緊急ニュースの際によく巻き起こる議論や虚偽情報を正すためにあるわけではないと述べた。
ウィキペディア側はこれに対し、ユーチューブの発表を事前に通知されていないとして、ユーチューブとは正式な提携関係は結んでいないと説明した。ユーチューブ側もCNNの取材に対し、業務提携を行うわけではなく、あくまで虚偽情報対策の一環であると話している。
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