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林外相・初の日米電話外相会談・そこから見えるもの(11月13日)
林外務大臣が13日、米国・ブリンケン国務大臣と就任後初となる日米外相電話会談を行なった。
この中でブリンケン氏は「尖閣には日米安保第五条が適用される」と改めて表明した。
両首脳は中国の南シナ海、東シナ海における一方的な現状変更に強く反対することで一致し、台湾海峡の平和と安定の重要性を確認した。また外務防衛2プラス2の早期開催を目指して調整していくことで一致した。
両首脳の根底にある共通認識は人民解放軍を世界レベルの軍隊にしようと軍拡を急ぐ中国に対する脅威である。...
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林外務大臣が13日、米国・ブリンケン国務大臣と就任後初となる日米外相電話会談を行なった。
この中でブリンケン氏は「尖閣には日米安保第五条が適用される」と改めて表明した。
両首脳は中国の南シナ海、東シナ海における一方的な現状変更に強く反対することで一致し、台湾海峡の平和と安定の重要性を確認した。また外務防衛2プラス2の早期開催を目指して調整していくことで一致した。
両首脳の根底にある共通認識は人民解放軍を世界レベルの軍隊にしようと軍拡を急ぐ中国に対する脅威である。
特に先週、米国国防総省・年次報告書が「中国が2030年までに少なくとも1000発の核弾頭の保有を目指している可能性がある」との分析を発表したことが大きな影響を及ぼしている。中国の隣国・日本にとっては中国の尋常でない軍拡は看過することができないものである。
米国国防総省報告書がきっかけとなって、米中の軍事拡張競争が際限なくエスカレートした場合、米国は、日本を含む太平洋地域に例えば中距離弾道ミサイルなど、より多くの軍備を配備し、より積極的・具体的に中国と対峙していこうと考えることは時間の問題となっている。
自民党内部からは日本の防衛費を他国並みのGDP比2%水準にするべきだとの声もあがっているが、急激に軍備を拡張することは難しい情勢にある。
基本路線はあくまでも日米同盟であり、段階を経て、日本の軍事費を将来的に2%水準にしていくという方向が現実的である。お金、武器を増やしても憲法や法律の問題、人材が足らないという問題が将来的に出てくる可能性もあり、こうした問題も将来的に念頭に入れておく必要が日本にはある。
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温暖化ガスの46%削減の実現可能性は(11月9日)
今世紀末までに世界の気温上昇を1.5度に抑えるという目標に向けて世界が一斉に動き始めている。日本は中期目標として2030年までに温暖化ガスの46%削減(2013年度比)を国際公約にした。
この目標達成は日本にとって容易なものではなく、現段階では目標数値ありきで、明確な目標達成の裏付けの見えないまま、目標を示している状況である。
これからは、目標達成のために何をどうしようという具体的な説明の必要性が出てくる。...
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今世紀末までに世界の気温上昇を1.5度に抑えるという目標に向けて世界が一斉に動き始めている。日本は中期目標として2030年までに温暖化ガスの46%削減(2013年度比)を国際公約にした。
この目標達成は日本にとって容易なものではなく、現段階では目標数値ありきで、明確な目標達成の裏付けの見えないまま、目標を示している状況である。
これからは、目標達成のために何をどうしようという具体的な説明の必要性が出てくる。まず自然エネルギーに関してひとつひとつ見ていきたい。まず風力発電であるが、実はこの10年間、日本は浮体式風力発電を模索してきたが、本腰を入れてこなかったため、その間にノウハウを蓄え実績を積んできた英国やデンマークなど欧州の企業が、次々と日本市場に参入して来ようとしている事態となっている。このままいくと欧州製の風力発電によって日本は目標を達成するのと引き換えに自然エネルギー市場のシェアを欧州勢に奪い取られてしまう可能性が出てきた。
太陽光発電に関しては中国の独壇場でポリシリコンの生産から太陽光セル、太陽光モジュールの製造に至るまで、すべての工程が中国の手中に握られており、自然エネルギー市場の太陽光発電のシェアに日本企業が入り込む隙間がない。加えて日本はウイグル族の人権弾圧問題で中国を批判しているが、新疆ウイグル自治区で太陽光発電の機器の多くが作られていることをどう捉えるのかという問題も残る。
地熱発電はどうか。地熱発電のポテンシャルについて日本は世界第3位と言われており、自然エネルギーの中では一番期待が持てるが、開発する為に8年とか9年ぐらいの時間がかかる上、法的基盤整理にも時間がかかる。今からやっても2030年にはほぼ間に合わないとも言われている。
結局、欧州製の風力発電と中国製の太陽光発電を援用してもなお、温暖化ガスの46%削減には届かないため、日本は、原発を使っていくしかない。しかし3.11を経験している日本の政治家は原発について踏み込んだ発言をすることができないという状況である。
2030年まであと9年しかない中で、耐用年数が過ぎた原発は廃炉にし、動かせる原発は動かし、それでも足りない部分は米国製の小型モジュール原発で補うという選択肢も浮上してきている。
この他、「水素」を活用する等、選択肢はまだまだあるので、更に視野を広げて可能性を追求するしかない。
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“核のごみ”処分場の調査の是非争点・北海道寿都町長選・きょう告示(10月21日)
北海道寿都町では高レベル放射性廃棄物“核のごみ”の最終処分場の選定をめぐり、原子力発電環境整備機構による文献調査が行われている。寿都町の町長選挙がきょう告示される。
調査の是非を最大の争点になり、20年ぶりの選挙戦が展開される見通しである。
片岡春雄は調査を継続し、国から得られる交付金を地域振興に役立てたいとしている。
越前谷由樹は、調査に反対だとして当選したら町の方針を撤回する考えを示している。
再び半導体と向き合う日本(10月19日)
資金も能力も、戦略も必要とされる半導体分野に日本は再度、足を踏み入れようとしている。
半導体が重要と甘利氏や政府が声を挙げ始めたのはわずか5か月前ぐらいからであり、唐突感は否めない。確かに一時期(80年代)は半導体で成功体験もある日本だが、その勢いは日米半導体摩擦で米国によって木っ端微塵にされた。
現在の半導体はハイレベルなものであり、当時の半導体産業とは様変わりしている。本当に足を踏み込んで大丈夫なのだろうかという声が半導体に以前関わった日本の技術者の間からも聞こえてくる。...
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資金も能力も、戦略も必要とされる半導体分野に日本は再度、足を踏み入れようとしている。
半導体が重要と甘利氏や政府が声を挙げ始めたのはわずか5か月前ぐらいからであり、唐突感は否めない。確かに一時期(80年代)は半導体で成功体験もある日本だが、その勢いは日米半導体摩擦で米国によって木っ端微塵にされた。
現在の半導体はハイレベルなものであり、当時の半導体産業とは様変わりしている。本当に足を踏み込んで大丈夫なのだろうかという声が半導体に以前関わった日本の技術者の間からも聞こえてくる。
日本が半導体に踏み込んだ背景には、経済安全保障の観点から米国・バイデン政権が半導体の中国への依存度を下げるよう言ってきたことが大きい。柱となる成長産業がない中で、政治的な判断で決めたようにも見える。
経済安全保障の観点で米国と連携していくとしているが、コロナ禍ということもあり、明確な役割分担が詰められておらず、日米台で意思統一がされているようには見えない。それはTSMCの最先端工場が米国に行き、日本も先端工場を誘致するなど、微妙な誘致運動にも表れている。
この曖昧な流れを放置したままにすれば、この先、米国の雇用を重視するバイデン政権の采配によっては、日本の半導体会社も含めた先端の半導体工場がまるごと米国に行ってしまわないという保証もない。
先端半導体のノウハウが日本の半導体メーカーに引き継がれないうちにTSMCが撤退してしまうリスクや、2024年の台湾総統選挙で蔡英文氏が敗北し、新総裁が方針転換するリスクもある。
こうしたリスクを十分に踏まえた上で日本は腹を括って半導体に新たに踏み込んでいくべきであると提言したい。
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サーモスフィア(熱圏)の戦い(その2)(10月18日)
16日、中国は女性1人を含む宇宙飛行士が搭乗した有人宇宙船「神舟13号」を打ち上げ、中国が独自に建設を進めている宇宙ステーション(高度425キロ)とのドッキングを成功させた。
18日には世界初となる国際宇宙ステーション(高度408キロ)での映画撮影に臨んだロシアの女優・ユリアペレシルドらが宇宙船「ソユーズ」で地球に帰還した。
サーモスフィアにおけるこうした明るい話題は歓迎したいが、中には物騒な話題もある。...
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16日、中国は女性1人を含む宇宙飛行士が搭乗した有人宇宙船「神舟13号」を打ち上げ、中国が独自に建設を進めている宇宙ステーション(高度425キロ)とのドッキングを成功させた。
18日には世界初となる国際宇宙ステーション(高度408キロ)での映画撮影に臨んだロシアの女優・ユリアペレシルドらが宇宙船「ソユーズ」で地球に帰還した。
サーモスフィアにおけるこうした明るい話題は歓迎したいが、中には物騒な話題もある。中国の宇宙を利用した新型兵器と宇宙デブリの話題である。
英国・フィナンシャル・タイムズ(電子版)は、中国が今年8月にマッハ5以上の極超音速で飛び、宇宙空間を利用し、地球上のどこでも攻撃できるハイパーソニック新型核兵器の飛行実験に成功していたことを暴露した。
この兵器は、一旦、ロケットとして打ち上げられ、地球を周回するサーモスフィア(熱圏)の軌道に乗った後、攻撃目標に近づくと再び大気圏内に突入し、その後、ロケットとして超低空を細かく経路を変えながら飛行し目的物を目指すという、現在の米国が構築するミサイル防衛システムでは太刀打ちができない兵器である。
だが、こうした兵器でさえ衝突する可能性があるのがサーモスフィア(熱圏)に無数に漂う宇宙デブリである。どんなに精工に作られ計算されつくした武器でも高速で宇宙を飛び交うデブリと衝突しない保証はない。
こうした宇宙デブリが増えたのは米ソ時代に人類が宇宙進出を始めて以来、打ち上げられたロケットや人工衛星、およびそれらの破片の多くが軌道上にそのまま放置されているためである。
宇宙に進出したのはいいがゴミの後始末をしてこなかったツケが現在の宇宙デブリ大量発生につながっている。活動中の人工衛星などと衝突が起きた場合には新たな宇宙デブリを大量に発生させることになり、鼠算式にデブリは増えていく可能性がある。
今後は宇宙開発だけでなく、宇宙のごみ問題である宇宙デブリを解決しなくてはならない局面に来ている。
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