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2028年中国がGDPで米国を追い抜く(12月28日)
中国のGDP(国内総生産)の規模が、2028年に米国を上回って世界1位になるという驚くべき報告書を英国の民間シンクタンクであるCEBR(経済経営研究センター)がまとめた。
このレポートはCEBRが世界193の国や地域のGDPについて2035年までの長期的な推移を予測しまとめたもので、これまでに出した報告書で2033年に中国が米国のGDPを追い抜くと予想していた。
今回、CEBRはこの予想をさらに5年前倒しにしたが、その理由として挙げているのが、欧米が新型コロナウイルスの感染拡大抑え込みに失敗した一方で、中国経済はコロナを抑え込み、いち早く回復したことで、CEBRは「パンデミックとそれに伴う経済への影響は、確実に中国に有利に働いた」と結論づけている。...
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中国のGDP(国内総生産)の規模が、2028年に米国を上回って世界1位になるという驚くべき報告書を英国の民間シンクタンクであるCEBR(経済経営研究センター)がまとめた。
このレポートはCEBRが世界193の国や地域のGDPについて2035年までの長期的な推移を予測しまとめたもので、これまでに出した報告書で2033年に中国が米国のGDPを追い抜くと予想していた。
今回、CEBRはこの予想をさらに5年前倒しにしたが、その理由として挙げているのが、欧米が新型コロナウイルスの感染拡大抑え込みに失敗した一方で、中国経済はコロナを抑え込み、いち早く回復したことで、CEBRは「パンデミックとそれに伴う経済への影響は、確実に中国に有利に働いた」と結論づけている。
感染拡大の影響で2020年の世界全体のGDPの伸び率は-4.4%に落ち込む一方で中国については、GDPの伸び率を+2%とプラス成長を維持すると予測している。
日本については感染拡大の影響が深刻だとして、2020年のGDPの伸び率は-5.5%に落ち込むと予測しており、2030年にはインドに抜かれ、GDP世界第4位になり、2050年には世界第7位になると予測している。
この予測は日本にかなりのインパクトをもって受け止められている。2030年までにガソリン車が電動車に切り替わり、日本の基幹産業である自動車産業が揺らいでいるとして危機意識を強めていた日本だったが、それよりさらに前の2028年に中国のGDPが世界一になるとの予測は大きな衝撃を与えるものである。
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なぜ日本はタイムリーにワクチンを作れないのか(12月26日)
世界で新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。日本も例外ではない。25日、日本全国では、過去最多の3832人の感染が確認され、亡くなった人の数は63人で感染者、死者ともにこれまでで最も多くなった。
この状況を収束させる為にはワクチンの力に頼らざるを得ない。厚生労働省の専門部会は、2021年2月下旬から3月中にかけて医療従事者や救急隊員、3月から4月にかけて65歳以上の高齢者、それ以降に基礎疾患のある人と高齢者施設の職員らに順次ワクチン接種をしていく方針である。...
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世界で新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。日本も例外ではない。25日、日本全国では、過去最多の3832人の感染が確認され、亡くなった人の数は63人で感染者、死者ともにこれまでで最も多くなった。
この状況を収束させる為にはワクチンの力に頼らざるを得ない。厚生労働省の専門部会は、2021年2月下旬から3月中にかけて医療従事者や救急隊員、3月から4月にかけて65歳以上の高齢者、それ以降に基礎疾患のある人と高齢者施設の職員らに順次ワクチン接種をしていく方針である。
今回、接種されるワクチンが全て外国製であり、日本製ワクチンの開発がパンデミック拡大阻止のタイミングに間に合わなかったということである。副反応がどうなのかという問題は残るが、米国、中国、ロシア、ドイツは自国製ワクチンの開発を何とか間に合わせている。
このパンデミックを収束させる為にはウイルスの変異にも対応可能でスピーディーな開発が可能なメッセンジャーRNA型のワクチンが有効となるが、日本も同じ遺伝子系ワクチンであるDNAワクチンをバイオベンチャーのアンジェスと大阪大学が共同開発していた。しかし大幅に後れをとり、発売される頃には出番がない可能性が高い。
なぜ日本のワクチン開発は出遅れたのか。ひとつには副反応などのリスクを恐れ、あまりにも慎重になり過ぎていることがある。さらに言えば、2010年新型インフルエンザのパンデミックが起きた際、日本はワクチンの生産体制構築に100億円近い予算を投じたものの、結果的にパンデミックは起きず、支援が終了したという負の経験がある。投資した額に見合わないとしてこの後のフォローを日本政府が行わなかったために技術基盤は育たなかった。
世界の開発競争の先頭を走る米バイオ企業モデルナ社は新型コロナ禍が発生すると、ガン治療用の遺伝子配列を新型コロナ用に書き換え、既に2020年3月半ばに臨床試験を開始していた。こうした素早い動きの背後には国家の安全保障を念頭にしたワクチン開発への投資があった。2001年の同時多発テロ直後に炭疽菌テロが起き、米国に死者を出したトラウマを持つ米軍は、派兵先で感染症が起きた場合、すぐに米兵に接種できるメッセンジャーRNAワクチン開発への投資を開始した。
抗原タンパク質の遺伝子情報をRNA(リボ核酸)やDNA(遺伝子情報)に組み込んで注射することによって、細胞内で抗原タンパク質が合成され、免疫反応が誘導されるシステムで、製造過程で感染するリスクが低い上、DNAさえ分かれば1カ月前後の超短期で開発でき、化学薬品と同じ要領で量産化が可能である。
設備の維持管理などに多額のコストがかかるが、米軍は毎年数千万ドルをモデルナ社のようなバイオ企業に投資し、平時から多様な様式のワクチンを確保してきたという。今回のワクチン開発競争で見られた国力の差は国家の安全保障投資への差が背後に潜んでいたといえる。
日本は安全保障の観点からも衛生学的見地からも今後、最低でも2~3の技術基盤とワクチンの自国製造能力を確保する必要がある。生産能力ゼロの場合、欧米企業の言い値を呑むしかなくなってしまう。次のパンデミックに備え、政府・民間は資金を投下し、人材を育て、技術を完成させ、タイムリーに日本製ワクチンを供給できるよう体制を整備するべきと考える。
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先が見えない日本(12月22日)
日本の産業や経済の進化の勢いが目に見えて衰えてきている。日本の厳しい状況を象徴的に示しているのが科学の成果を示す論文数で、例えば新型コロナ関連で主要な論文を数多く発表しているのは米国、英国、中国である一方で日本は残念ながら16位である。ワクチン開発に出遅れた日本はワクチンの接種時期でも先進国では一番遅くなっており、かってワクチン先進国だった国とは思えない。
現在、地球温暖化問題が待ったなしの状況になり、世界的に持続可能で革新的な技術が求められている状況にある。...
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日本の産業や経済の進化の勢いが目に見えて衰えてきている。日本の厳しい状況を象徴的に示しているのが科学の成果を示す論文数で、例えば新型コロナ関連で主要な論文を数多く発表しているのは米国、英国、中国である一方で日本は残念ながら16位である。ワクチン開発に出遅れた日本はワクチンの接種時期でも先進国では一番遅くなっており、かってワクチン先進国だった国とは思えない。
現在、地球温暖化問題が待ったなしの状況になり、世界的に持続可能で革新的な技術が求められている状況にある。例えば自動車業界。日本は2030年代にもガソリン車が廃止され、日本のお家芸である自動車産業が主力産業でなくなりEVにとって替わる恐れが出ている。
日本が近未来の技術革新に遅れをとっている中で巨像GAFAがEV市場に殴り込みをかける構えをみせている。欧州の環境会議で日本は化石賞という有難くない賞を受けても平然としていたが、今になって慌て始めている。環境分野でもかって日本の太陽光発電は世界トップクラスであったのに太陽光発電市場は中国にシェアを奪われ今は見る影もない。
今後の自動車市場はEV化、自動運転化が鍵を握っているが、中国は14億人のビッグデータをEV化を進めつつ集めている。こうしたデータは自動運転化において中国に有利に作用するとみられる。GAFAも情報産業であるためこうしたビッグデータを集めながら自動車市場に参入してくることになる。
危機感を深め、動き始めている日本企業もある。トヨタ自動車・豊田社長は自動車産業からモビリティ産業への脱構築を提唱し、ホンダは国境を超えた動きを見せGMに出資し、自動運転技術で提携、車体も共同開発するなど意欲的な動きを見せている。さらにはソフトバンクや日立製作所など次世代技術の先行開発で異業種との連携を進めるなど奮闘している。
日本の強みは例えばFCVなどの水素技術やiPS細胞、重粒子線治療技術などまだら模様に点在しているものの、体系的なものではなく、面になるまで多くはない。
日本が海洋大国であることや災害大国であることを逆手にとって発想してみたり、どこに萌芽があるか、必死になって探さないところまで今の日本は追い詰められている。期限も切られておりそれはあと5年から10年の勝負になる。
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日本のこれからの課題(12月19日)
今の中国のGDPは日本の3倍だが、2030年頃には中国が日本の6倍ぐらいの経済的規模をもつことになり、日本がいろんな意味で中国に依存していくような状況になるかもしれない。これは大変リスクの高い状況であることを日本人は強く認識しておく必要があるのではないか。
世界的にCO2排出の抑制要請が求められ、EV化などのパワートレーンの変化、カーシェアやライドシェアによるシェアリングの加速などによって日本最大の産業である自動車産業は10年から15年のうちに業態転換をするよう迫られている。...
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今の中国のGDPは日本の3倍だが、2030年頃には中国が日本の6倍ぐらいの経済的規模をもつことになり、日本がいろんな意味で中国に依存していくような状況になるかもしれない。これは大変リスクの高い状況であることを日本人は強く認識しておく必要があるのではないか。
世界的にCO2排出の抑制要請が求められ、EV化などのパワートレーンの変化、カーシェアやライドシェアによるシェアリングの加速などによって日本最大の産業である自動車産業は10年から15年のうちに業態転換をするよう迫られている。
欧州や中国をはじめ、米国・カリフォルニア州などが、おおむね2030年から2035年を目途にエンジン車販売禁止を打ち出しており、それまでに日本の自動車産業も脱ガソリン車を達成しなくてはならなくなる。そのためにはEV,蓄電池に強い人材育成を行い、設備投資、研究開発分野にも積極的に投資していく必要がある。
もうひとつの日本の収益源が観光産業であるが、コロナ禍が収まれば、復活するだろうとも言われている。ただし、同じようなパンデミックに再度襲われる可能性もないとはいえない。パンデミックに襲われても耐えることができるシステムを構築しておく必要がある。例えば、スペースをゆったりとった乗り物や旅客施設に転換する等、パンデミックに対応した状況を日ごろから心がけて、設計してゆく等ということが求められているのではないだろうか。
コロナに翻弄される中で日本には将来の収益源にたいする危機意識が求められており、国を上げて早急に準備していく必要があるのではないだろうか。
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ワクチン開発に出遅れた日本の将来(12月19日)
コロナ禍の日本でどうにも残念であるのは多くのノーベル賞受賞者を輩出している科学立国日本が、国際ワクチン開発戦争で出遅れてしまい、外国製ワクチンに頼らざるを得なくなっている現状である。このままでは第二、第三のパンデミックが起きても外国製ワクチン頼みの国になってしまうのではないか。
ワクチン接種の監督官庁である厚生労働省の動きが遅いことも気になる。安全性や有効性にプライオリティを置いているため、治験などに多くの時間を割き、動きが遅くなってしまっている。...
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コロナ禍の日本でどうにも残念であるのは多くのノーベル賞受賞者を輩出している科学立国日本が、国際ワクチン開発戦争で出遅れてしまい、外国製ワクチンに頼らざるを得なくなっている現状である。このままでは第二、第三のパンデミックが起きても外国製ワクチン頼みの国になってしまうのではないか。
ワクチン接種の監督官庁である厚生労働省の動きが遅いことも気になる。安全性や有効性にプライオリティを置いているため、治験などに多くの時間を割き、動きが遅くなってしまっている。過去の薬害訴訟などの経験も腰を重くしているとみられる。そもそも厚生労働省は医療安全行政と福利労働行政という2つの領域をカバーしていることから行政機能が肥大化しており、動きが鈍くなっていることがあり、今後は2分割するなど専門性により特化することも必要なのかもしれない。
実は1930年代には日本はワクチン開発の最前線に立っていた。例えば破傷風菌の培養に成功し、血清療法を確立したのは日本の北里柴三郎である。北里の研究がさまざまなワクチン開発につながり、1934年には大阪大学の敷地内に設置された現・BIKENグループが世界で初めての水痘ワクチンの開発に成功し、世界のワクチン界をリードしていたこともあった。
今、日本のワクチン業界が落ち込んでしまった背景には、ジフテリア予防接種禍事件などワクチン接種によって引き起こされる副反応問題の影響が大きくあった。副反応と、国全体の公衆衛生上のメリットとの綱引きが行われた結果、巨額の開発費を投じても、売上げが見込めない大手医療メーカーがワクチン業界から撤退した。その結果として、日本のワクチン市場には国際的にみれば中小ワクチンメーカーだけしか残らなくなってしまった。
規模の小さな日本のワクチンメーカーにはお金も人材も情報も十分には集まらない。この結果、開発能力もどんどん落ちていくという悪循環に陥っている。この先に、新たな感染症のパンデミックが発生したときに、いったい日本はどう対処してゆくのだろうか。
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