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現実化する医療崩壊(12月12日)
新型コロナウイルス感染症患者が急増し、コロナの医療と通常医療との両立が困難な状況となっている。大阪市は市内の医療機関が新たにコロナ受け入れ病床を増やした場合、1床当たり1千万円の協力金を支給することを明らかにした。
大阪市は民間、公立を問わず、100床のベッドの確保を目指すとしている。しかし例えベッド数だけを増やしても医療体制のひっぱく状態を抜け出すことはできない。そこにはもうひとつ重要な要素が抜け落ちている。...
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新型コロナウイルス感染症患者が急増し、コロナの医療と通常医療との両立が困難な状況となっている。大阪市は市内の医療機関が新たにコロナ受け入れ病床を増やした場合、1床当たり1千万円の協力金を支給することを明らかにした。
大阪市は民間、公立を問わず、100床のベッドの確保を目指すとしている。しかし例えベッド数だけを増やしても医療体制のひっぱく状態を抜け出すことはできない。そこにはもうひとつ重要な要素が抜け落ちている。それはスタッフの数がきちっとそろっているかどうかということである。
現状ではベッドがいくらたくさんあっても回らない。例えばエクモの患者1人につき看護師10人以上、臨床工学技士2~3人の合わせて20人程度の人員が割かれる。加えて看護師は通常の医療補助業務だけでなく、病室の清掃から、患者の介護まで何から何まで全て看護師がやっているのが実情である。病院の経営状況の悪化によってこれに見合う金銭が支払われていないことに加え、周囲の偏見や差別が家族まで及んでいることから、耐え切れずに辞めてしまう看護師が続出している。
コロナ患者が急増し看護師を増やさないといけない局面なのに逆に減っているのである。ここは業務量を減らすために清掃業者、介護業者の力を借りたいところだが、簡単に彼らは感染病棟に入れることはできない。その背景には感染病棟にはきちっとした研修を受けた業者しか入れない決まりになっていることや、医療行政が都道府県の管轄、介護の問題は市町村の管轄という手続き上の煩雑さが複雑に関係していて、結局、看護師がやるしかなくなっているのである。
病院医療が立ちいかなくなっているとして、北海道や大阪市は自衛隊に救護を要請したが、自衛隊は独自に病院を持っており既に1000人単位のコロナ患者を受け入れていて、その人々のケアも必要である。そもそも自衛隊の医者や看護師はそれぞれ1000人ほどしかいない。これ以上の市町村から緊急派遣要請が出ても自衛隊は隊員を派遣することはできない状況にある。
実は看護師の数はコロナ前から慢性的に足りなかった。今後のことを見据え、看護師の待遇改善や養成が急務である。
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電動車に舵を切る日本(12月5日)
経済産業省は今月10日にも国内自動車大手や有識者が集まる会議で「電動車比率100%」に舵を切る、より具体的には2030年代半ばに販売されるすべての新車をEVやFCVなどの電動車に移行させるという方針を表明する。
政府はこの新たな目標設定に合わせ、モーターを動かす心臓部となる蓄電池の開発や、充電インフラの整備を支援していく予定で、FCVに必要な水素の供給拠点の設置も今後、加速させていく考えである。...
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経済産業省は今月10日にも国内自動車大手や有識者が集まる会議で「電動車比率100%」に舵を切る、より具体的には2030年代半ばに販売されるすべての新車をEVやFCVなどの電動車に移行させるという方針を表明する。
政府はこの新たな目標設定に合わせ、モーターを動かす心臓部となる蓄電池の開発や、充電インフラの整備を支援していく予定で、FCVに必要な水素の供給拠点の設置も今後、加速させていく考えである。
電動車に舵を切る背景には2つの考えがある。一つは自動車による二酸化炭素排出量の大幅な削減につなげる環境保護の考えである。もう一つは脱ガソリン車の動きが世界的に加速し、日本の自動車産業が世界での競争力を失なってしまうという危機感である。
EVに切り替えた場合、最大20万人が失業すると言われている。英国やカルフォルニアのように日本が得意なハイブリッド車を電動車に含めないとする国や州も出ており、日本に有利な状況とはいえない。将来を見据えた場合、ハイブリッドという選択肢を外さないとただでさえ出遅れている日本がますます出遅れてしまう事態にもなりかねない。
世界のEV市場で戦うため、今後、日本とってのカギになってくるのがサプライチェーンの構築と業界再編成だということだ。EV化に成功した中国は既に国内にEVサプライチェーンを構築している。
バッテリー最大手にはCATLという会社を持っており、ここから中国製バッテリーが欧州に輸出されるような流れになっている。中国は、かって日本の自動車産業が構築していた産業ピラミッドをEV市場で築きつつあり、日本は後手に回っている。
コロナ禍で忘れがちだが、日本人はこれから、どうやって飯を食っていくのかというシビアな局面に立たされているという危機感は共有するべきである。
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世界はグリーンニューディールに舵を切った(11月21日)
バイデン政権になった米国はグリーンニューディールを前面に立て、二酸化炭素の排出削減へ向けて大きく舵を切った。
菅首相も2050年までに日本の温室効果ガスの排出を実質ゼロにする事を打ち出している。EUも2050年までに排出を実質ゼロにすると宣言した。中国も2060年までに実質ゼロにするとしている。
そんな中で、中国が温室効果ガス削減の切り札と位置付けているのが電気自動車(EV)である。EVは再生可能エネルギーの蓄電池としての役割も期待されており、中国は補助金をつけるなどして、国を挙げてEVの普及に力を入れている。...
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バイデン政権になった米国はグリーンニューディールを前面に立て、二酸化炭素の排出削減へ向けて大きく舵を切った。
菅首相も2050年までに日本の温室効果ガスの排出を実質ゼロにする事を打ち出している。EUも2050年までに排出を実質ゼロにすると宣言した。中国も2060年までに実質ゼロにするとしている。
そんな中で、中国が温室効果ガス削減の切り札と位置付けているのが電気自動車(EV)である。EVは再生可能エネルギーの蓄電池としての役割も期待されており、中国は補助金をつけるなどして、国を挙げてEVの普及に力を入れている。
中国は、日本の自動車産業と同じピラミッド構造を中国国内で作り上げ、世界におけるEVの輸出拠点となりつつある。世界のEV生産台数66万台のうち、およそ40%が中国製EVであり、世界の自動車産業の勢力構造は日米欧から中国に塗り替えられつつある。
米国・テスラ社、ドイツ・BMW、フランス・ルノーも中国で生産したEVを欧州に輸出するなどしている。
この波に乗り遅れまいと日産やホンダも中国企業と合弁でEV生産に乗り出している。
中国で拡大するEV生産の恩恵は日本の部品・素材企業にも及んでおり、EVの駆動モーターには日本電産のモーターが使われている他、旭化成や住友化学なども現地生産でリチウム電池の構成素材を提供している。
自動車産業という基盤事業を失いつつある日本勢は振り切られることがないように、この大きな波についていくことが肝心であり、その上で自らの立ち位置を探していく必要がある。
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「GDP」既に日本は中国の3分の一、米国の4分の一の規模になっている(11月19日)
あるテレビ番組を視聴していたら、画面に表示された国別GDPの数字に仰天した。
GDPでは、日本は中国の3分の一、米国の4分の一の規模になっているという現実を改めて認識させられた。
中国の経済発展については、よく聞く話であるが、こんなに差がついてしまっているのかと改めて、思い知ることになった。
2015年頃では、頑張れば何とか追いつける範囲にいたと記憶していたが、その差の開き具合に、唖然とした。...
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あるテレビ番組を視聴していたら、画面に表示された国別GDPの数字に仰天した。
GDPでは、日本は中国の3分の一、米国の4分の一の規模になっているという現実を改めて認識させられた。
中国の経済発展については、よく聞く話であるが、こんなに差がついてしまっているのかと改めて、思い知ることになった。
2015年頃では、頑張れば何とか追いつける範囲にいたと記憶していたが、その差の開き具合に、唖然とした。
国際社会での、日本の立ち位置は、ますます難しくなってゆくのではないかと、茫然とした。今こそ、国際社会における、5年後10年後の日本の姿を明確に構想する時ではないのか。
中国では、5中全会で所得倍増について習近平国家主席が「2035年までにGDPと一人あたりの所得を倍増させることは完全に可能だ」と述べた。
現在の中国のGDPは1532兆円で米国の2229兆円に次いで2位で、3位は日本で528兆円、4位ドイツは401兆円、5位インドは298兆円となっている。
中国のGDP倍増が実現すると2030年には米国の8割弱に、2030年代半ばには米中が逆転する可能性もあるという。
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菅首相のブレーン・デービッドアトキンソン氏の指摘(10月31日)
成長戦略会議のメンバーに選ばれたデビッドアトキンソン氏(小西美術工藝社社長、元ゴールドマンサックスのアナリスト)は菅政策を知る上でキーパーソンの一人である。菅総理はアトキンソン氏を高く評価している。
英国人のアトキンソン氏は著書の中で、1990年代から日本企業の生産性が上がっていないと指摘している。生産性を押し下げているのは日本の中小企業の存在が大きいとしている。
生産性が低く、潰れるべき中小企業を潰れないよう日本政府が守ってきたことこそが日本の生産性を下げてきたというのである。...
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成長戦略会議のメンバーに選ばれたデビッドアトキンソン氏(小西美術工藝社社長、元ゴールドマンサックスのアナリスト)は菅政策を知る上でキーパーソンの一人である。菅総理はアトキンソン氏を高く評価している。
英国人のアトキンソン氏は著書の中で、1990年代から日本企業の生産性が上がっていないと指摘している。生産性を押し下げているのは日本の中小企業の存在が大きいとしている。
生産性が低く、潰れるべき中小企業を潰れないよう日本政府が守ってきたことこそが日本の生産性を下げてきたというのである。
中小企業を守る政策は、人口が増えている間は有効だったが、人口が減っている今は、企業規模を減らしていかないと、どんどん日本の生産性が悪化していくと強く主張している。
増えすぎてしまったものが減ることは正常化の流れだとしてアトキンソン氏は「企業の淘汰」を促進する提言を今後、あらゆる機会で強く打ち出してくるものとみられる。
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