西村経済再生相“第2次補正予選案でワクチン開発支援”(5月24日)
西村経済再生担当大臣は国立感染症研究所を視察したあと「ワクチンは日本全体として開発、生産を進めていく」と述べ、今週決定する今年度の第2次補正予算案にワクチン開発に向けたさらなる支援のための費用を盛り込む考えを明らかにした。
新型コロナウイルス対策を担当する西村経済再生担当大臣は国立感染症研究所(東京・新宿区)を訪れウイルスの遺伝情報の解析のほか治療薬やワクチンの研究開発の現場を視察した。
そして今年度の第1次補正予算に盛り込んだ支援策の活用による治療薬とワクチンの早期開発の実現に期待を示したうえで今週決定する第2次補正予算案にワクチン開発に向けたさらなる支援のための費用を盛り込む考えを明らかにした。
唾液PCRのボトルネックは試薬不足にあるのか(5月23日)
つい最近まで唾液PCRが注目されていた。唾液に新型コロナウイルスが多く存在しているため、鼻粘膜や咽頭ぬぐいでのPCR検査に比べ精度も高い上、シンプルで扱いやすく、飛沫感染を恐れ検体採取する人が確保できないということがあったが、この悩みも一挙に解消することができるなど、メリットしかみあたらないのになぜか最近は新たな情報が見当たらない。
この背景には、仮に厚生労働省による認可がおり、唾液による検査が実用化されたとしてもまだまだボトルネックが存在しており検査数を爆発的に増やすことはできないということがあるのだろうか。...
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つい最近まで唾液PCRが注目されていた。唾液に新型コロナウイルスが多く存在しているため、鼻粘膜や咽頭ぬぐいでのPCR検査に比べ精度も高い上、シンプルで扱いやすく、飛沫感染を恐れ検体採取する人が確保できないということがあったが、この悩みも一挙に解消することができるなど、メリットしかみあたらないのになぜか最近は新たな情報が見当たらない。
この背景には、仮に厚生労働省による認可がおり、唾液による検査が実用化されたとしてもまだまだボトルネックが存在しており検査数を爆発的に増やすことはできないということがあるのだろうか。
通常のPCR検査にも共通している問題だが、検査に使う試薬が不足しているのである。試薬とは検体にウイルスの遺伝物質があるかないかを調べるもので、RNA分子を抽出し、DNAという別の分子に変換して増幅していく。このプロセスの中で何種類もの試薬が必要となってくるが、こうした試薬は輸入頼みの状態である。
これらの試薬メーカーに対しては世界中からの需要があり、生産体制が追い付いていない状況にある。今は感染が収束傾向にあるように見えるので、需要が一段落するかもと期待してしまうが、実は各国とも第二波、第三波に備えて備蓄を急いでいるので状況は全く変わらない。
さらには新型コロナの影響で空輸便が不安定になり、日本国内に入るまでに日数がかかっているという事情もなかなか解消されそうもない。
ついに国内メーカーのタカラバイオや富士フイルム和光純薬、東洋紡などが動き出し、検査試薬の開発、生産態勢を強化し始め、早ければ5月にも発売される予定である。増産体制が海外と比べると圧倒的に弱いという問題や、試薬と機器がセットでパッケージ化されている場合が多く、日本製試薬は使える機器が限られてしまうという問題もある。目詰まりは早急に解消していく必要がある。さもないと海外試薬頼みがこのまま続き、「検査数を思ったほど増やせなかった」という状態のまま、第二波、第三波に突入することにもなりかねない。
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ワクチン開発最前線(5月23日)
阪大は不活化ワクチンとVLPワクチン、DNAワクチンの3種類のワクチンを現在開発中で、バイオベンチャー企業アンジェスと共同開発しているDNAワクチンは7月にも人を対象とした治験の開始を予定している。タカラバイオが量産化することで来年の3月にも実用化したいとしている。ただ、タカラバイオが量産化目標としている年間20万人分だが、モデルナやオックスフォード大学のワクチンの量産化目標の0.02%に過ぎない。...
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阪大は不活化ワクチンとVLPワクチン、DNAワクチンの3種類のワクチンを現在開発中で、バイオベンチャー企業アンジェスと共同開発しているDNAワクチンは7月にも人を対象とした治験の開始を予定している。タカラバイオが量産化することで来年の3月にも実用化したいとしている。ただ、タカラバイオが量産化目標としている年間20万人分だが、モデルナやオックスフォード大学のワクチンの量産化目標の0.02%に過ぎない。世界を見渡すと欧米ではすでに量産技術を競い合う局面に入っており日本勢が取り残されている感は否めない。
英国の製薬大手アストラゼネカとオックスフォード大学は共同開発を進め、今年から来年にかけて、10億回分を生産することが可能になったと発表した。少なくとも4億回分の供給を、今年9月にも始めたいと強気の姿勢を示している。アストラゼネカは、WHOなどと協力して、ワクチンを世界に公平に行き渡らせられるようにできるよう取り組むとしているが、年4億回を10億回に引き上げることが可能となったのはBARDA(米国生物医学先端研究開発局)が日本円にして約1070億円を出資したことが大きい。そのため、アストラゼネカとオックスフォード大学はワクチン3億回分をまず米国に、優先的に供給する意向を示している。英国政府は約27億円の助成金をこのプロジェクト出資しているため、1億回分は英国に供給される見通しである。アストラゼネカに出資したBARDA(米国生物医学先端研究開発局)はジョンソンエンドジョンソンともタッグを組んでおり、DNAワクチンを来年の上半期に実用化したいとしている。
量産化には膨大な投資とノウハウが必要で、日本政府も日本企業が量産化できるよう資金援助する検討に入ったという。ところで、中国のワクチン・量産化の具体的な情報が全く入ってこないのが不可解である。
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米国で開発中のワクチン“予防の可能性実証された”(5月19日)
米国・製薬会社モデルナはNIHと共同で3月から新型コロナウイルスのワクチンの臨床試験を行っている。モデルナは18日第一段階の臨床試験の初期の結果でワクチン先取した人の間で血液中の抗体の値が上昇と発表した。
ワクチンを最初に接種してから43日たった人では感染後に回復した人と同程度かそれ以上に上昇した。予防の可能性が実証されたとしている。今回の結果は試験対象45人中8人分である。
一部に発熱や頭痛の症状が出た人もいる。...
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米国・製薬会社モデルナはNIHと共同で3月から新型コロナウイルスのワクチンの臨床試験を行っている。モデルナは18日第一段階の臨床試験の初期の結果でワクチン先取した人の間で血液中の抗体の値が上昇と発表した。
ワクチンを最初に接種してから43日たった人では感染後に回復した人と同程度かそれ以上に上昇した。予防の可能性が実証されたとしている。今回の結果は試験対象45人中8人分である。
一部に発熱や頭痛の症状が出た人もいる。抗体の値が上昇しても感染が防げるかは十分に実証されていない。
モデルナはすでに第2段階の臨床試験へと進む承認を得ていて、7月には最終的に第三段階へ進む見通しである。
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「抗原検査」は補助手段として有効か(5月16日)
13日、富士レビオが開発した抗原検査キットが承認された。これは綿棒で鼻の奥などの粘液を採取し、試薬と混ぜて検査キットに垂らす方法で、結果が出るまで10分~30分と早いのが特長である。
抗原検査はウイルスから遺伝子を取り出して機械にかけ、増幅させるPCR検査とは異なりコロナウイルス特有のスパイクと呼ばれるたんぱく質を調べる検査方法で、「PCR検査と合わせることによって“ゲームチェンジャー”になり得る」と期待する専門家もいる。...
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13日、富士レビオが開発した抗原検査キットが承認された。これは綿棒で鼻の奥などの粘液を採取し、試薬と混ぜて検査キットに垂らす方法で、結果が出るまで10分~30分と早いのが特長である。
抗原検査はウイルスから遺伝子を取り出して機械にかけ、増幅させるPCR検査とは異なりコロナウイルス特有のスパイクと呼ばれるたんぱく質を調べる検査方法で、「PCR検査と合わせることによって“ゲームチェンジャー”になり得る」と期待する専門家もいる。
安倍首相は「6月には1日あたり2万~3万人分の(抗原)検査キットを供給できる見込みだ。PCR検査と組み合わせながら検査体制を強化していく」と述べたが、この同じタイミングで厚生労働省は、PCR検査だけで1日2万件を超える検査体制が整ったと発表した。
抗原検査キットは精度に難があると言われている。陽性は100%の精度で割り出すことができる一方、陰性については偽陰性が出るマイナス面が存在する。この欠点を政府は陰性者をPCR検査にかけることによって補おうという思惑があるようだ。
両者がそれぞれ補い合うことによって逆にPCR検査のマイナス面(検査に6~7時間ともかかる上に医療関係者の感染リスクがある)もカバーでき、早く広く陽性者を割り出し隔離・治療につなげることが可能となり、PCR検査の人的・時間的負担を減らすことにも貢献できる。
このPCR検査については感染のリスクの少ない唾液を使ったPCR検査に変えていく動きが出てきている。実は新型コロナウイルスは唾液に多く潜んでいるということが判明しており、鼻の奥から検体を採取するより簡単で効率がよく、医療関係者の感染リスクを減らし患者にも負担をかけない方法と言われている。現在、国立感染症研究所で精度を確認中で、この検査の実用化が待たれるところである。
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