米朝首脳会談:各国の見方(6月6日)
米朝首脳会談まで1週間を切った。会場となるシンガポールのリー・シェンロン総理やロシアのプーチン大統領などが会談をめぐって発言をしている。
リー・シェンロン総理は、今回の会談は準備不足により、困難が予想されるが、米朝の対話回復の第一歩になるだろうと期待をよせている。ただし外交というものは単純な二元論~どちらかが良くて、どちらかが悪い~に陥ったならば、効果はないだろうとも述べている。
山東省青島で開催される上海協力機構に出席するプーチン大統領は、出発前に中国中央テレビのインタビューを受けているのだが、そのなかで北朝鮮問題に関する中露の立場は一致しており、中露が朝鮮半島問題解決のためのロードマップを提案していると述べている。...
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米朝首脳会談まで1週間を切った。会場となるシンガポールのリー・シェンロン総理やロシアのプーチン大統領などが会談をめぐって発言をしている。
リー・シェンロン総理は、今回の会談は準備不足により、困難が予想されるが、米朝の対話回復の第一歩になるだろうと期待をよせている。ただし外交というものは単純な二元論~どちらかが良くて、どちらかが悪い~に陥ったならば、効果はないだろうとも述べている。
山東省青島で開催される上海協力機構に出席するプーチン大統領は、出発前に中国中央テレビのインタビューを受けているのだが、そのなかで北朝鮮問題に関する中露の立場は一致しており、中露が朝鮮半島問題解決のためのロードマップを提案していると述べている。ただそのなかで、北朝鮮は体制の保証を求めているが、「体制の保証とは何なのか、保証期間はどのくらいになるのか、ということは現時点で述べるのは難しい」と述べている。
トランプ大統領は、北朝鮮が非核化に応じれば、北朝鮮は豊かな国になれると述べていた。北朝鮮が非核化に応じれば、金正恩委員長の生存が保証され、執権が続き、繁栄する国家になれる、というようにも解釈できるのだが、プーチン大統領の見解は異なっているようである。また期間については祖父や父のように生存している限りは執権の座にいるということではなく、プーチン大統領は期間が区切られているものと考えていると思える発言である。
また韓国の「中央日報」は、会談は3部に分かれて行われるのではないかと見ている。最初に米国からポンペオ国務長官、マティウス国防長官、ボルトン大統領補佐官などが出席する小規模な会議が行われ、次にトランプ大統領と金正恩委員長の会談となり、非核化や体制の保証について話し合われる。もし午前中の首脳会談がうまくいったならば、午後には両首脳を含め、関係する閣僚らを交えての拡大会議となり、晩餐会が行われるか否かが成功か否かを判断する目安となるだろうと述べている。
正餐といえば、2002年の小泉総理(当時)の訪朝の際に、小泉総理は拉致問題がどうなるかわからないので、午餐会に出席せずに、日本から持参したおにぎりを食べた、という(午後の会談で拉致の問題が話し合われた)。かつてトランプ大統領は金正恩委員長に「一緒にハンバーガーを食べよう」と呼び掛けていたが、話し合いが決裂し、米国側だけで、ハンバーガーを食べるという事態にだけはならないように願う。
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米朝首脳会談:終戦宣言の行方(6月5日)
米朝首脳会談まで1週間となった。この会談で主要な議題となるのは北朝鮮の非核化と北朝鮮の体制の保証である。北朝鮮は朝鮮半島の非核化といっているが、米国は北朝鮮の非核化といっている。もう一つの議題となりそうな朝鮮戦争の終戦宣言がどのような形で出されるのか。
文在寅大統領がシンガポールに行き、米朝首脳会談に参加するかどうかについて、韓国の大統領府は沈黙を守っているが、米朝韓で終戦宣言がだされるのではないかとのうわさがある。...
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米朝首脳会談まで1週間となった。この会談で主要な議題となるのは北朝鮮の非核化と北朝鮮の体制の保証である。北朝鮮は朝鮮半島の非核化といっているが、米国は北朝鮮の非核化といっている。もう一つの議題となりそうな朝鮮戦争の終戦宣言がどのような形で出されるのか。
文在寅大統領がシンガポールに行き、米朝首脳会談に参加するかどうかについて、韓国の大統領府は沈黙を守っているが、米朝韓で終戦宣言がだされるのではないかとのうわさがある。これについて「環球時報」2018年6月5日の社説で、朝鮮戦争の停戦協定の調印国は中国・北朝鮮と米国・国連軍であり、中国が署名しない終戦宣言が果たして有効なのかとの疑義を呈している。
さらに米朝首脳会談の主役や金正恩委員長とトランプ大統領であり、韓国大統領はあくまで脇役であるとして、中国としては、脇役として、この会談に参加することはできないとしている。意味するところは、終戦宣言に中国が署名することになったとしても添え物のような形での宣言ではだめだということだろう。
同社説では、さらに朝鮮戦争の停戦から65年がたち、朝鮮半島の情勢は刻刻と変化しており、恒久的な平和のためには長い時間をかけて準備しなければならない、現在のような短期間の準備では十分でないとしている。一方でトランプ大統領が来るべき米朝首脳会談は「プロセス」の入り口という言葉を使い始めたことに対し、中国が語っていた「段階的」な非核化を米側が認識し始めたことであるとして、非核化が進みやすくなったとも認識している。
国際的にJapan passing(日本はずし)やKorea passing(韓国はずし)がささやかれているなかで、中国は、米朝に影響を行使し得る主役であることを強調しているのである。
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米朝首脳会談・日本時間12日午前10時開始(6月5日)
シンガポールで予定されている史上初の米朝首脳会談まであと1週間となった。
会談の開始時刻について米国・サンダース報道官は来週12日の午前9時、日本時間の午前10時から始まると発表した。
シンガポール政府は今月10日~14日まで市内中心部の一部を特別行事区域に指定し、厳重な警備の対象にすると発表。指定区域には会場の有力候補のシャングリラホテルをはじめ、高級ホテルや米国大使館が位置している。
首脳会談が一週間後に迫る中、会場は明らかにされておらず、この区域に会場や首脳の宿泊先などが設けられるのか関心が高まっている。
プーチン大統領・金正恩委員長を9月招待(6月5日)
ロシア議会下院のメリニコフ第一副議長は地元メディアに4日、先月31日に北朝鮮・平壌でラブロフ外相が金正恩委員長と会談した際、プーチン大統領の親書を渡し、今年9月、ウラジオストクで開かれる国際経済フォーラムに金委員長を招待したことを明らかにした。
北朝鮮の国営メディアは、プーチン大統領と金委員長の首脳会談を年内に実現させることで両国が合意したと伝えた。
国際経済フォーラムはアジア太平洋地域の経済関係を強化するため、ロシア政府が毎年9月に開催している。...
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ロシア議会下院のメリニコフ第一副議長は地元メディアに4日、先月31日に北朝鮮・平壌でラブロフ外相が金正恩委員長と会談した際、プーチン大統領の親書を渡し、今年9月、ウラジオストクで開かれる国際経済フォーラムに金委員長を招待したことを明らかにした。
北朝鮮の国営メディアは、プーチン大統領と金委員長の首脳会談を年内に実現させることで両国が合意したと伝えた。
国際経済フォーラムはアジア太平洋地域の経済関係を強化するため、ロシア政府が毎年9月に開催している。
ロシアは朝鮮半島をめぐる政治的な対話から排除されることを強く警戒していて、史上初の米朝首脳会談が迫る中、存在感をアピールする狙いとみられる。
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米朝準実務者会議続く(6月4日)
先月27日に始まった米朝間の首脳会談にむけた事前準備のための実務者会議は、30日および2日からは3日続けて開催されている。トランプ大統領と金英哲副委員長の会談を受けての協議もしなくてはならないだろうし、綿密な打ち合わせがなされているとすれば、実務者同士は、米朝首脳会談を「会うことに意味がある」こと以上の成果をだそうとしているのではないか。あるいは米朝の溝がすり合わせようがないほど、深い可能性もあるが。...
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先月27日に始まった米朝間の首脳会談にむけた事前準備のための実務者会議は、30日および2日からは3日続けて開催されている。トランプ大統領と金英哲副委員長の会談を受けての協議もしなくてはならないだろうし、綿密な打ち合わせがなされているとすれば、実務者同士は、米朝首脳会談を「会うことに意味がある」こと以上の成果をだそうとしているのではないか。あるいは米朝の溝がすり合わせようがないほど、深い可能性もあるが。
初めての首脳会談であれば、本来であれば、もっと長い準備期間を設けて、準備を行うものであるが、今回の首脳会談の準備期間は正味3か月しかない。
例えば1972年2月にニクソン訪中があったが、これはキッシンジャー国務長官(当時)の秘密訪中から7か月後のことであった。さらにキッシンジャー秘密訪中の前に、米中は第三国での駐在大使の接触やいわゆるピンポン外交などの接触を繰り返していた。綿密な準備のもとに米中首脳会談が行われたわけである。東西冷戦当時の国際情勢と現在の国際情勢は異なっているとはいえ、今回の米朝首脳会談はあまりにも準備不足である。またソン・キム大使が朝鮮通であるとしても駐在フィリピン大使を米朝首脳会談の実務者会議の代表にするしかなかったことに、米国の人材不足が感じられる。
一括の非核化が技術的に無理だと悟ったのかトランプ大統領は、「プロセスの始まり」という言葉を口にし、記者会見で「北朝鮮は非核化を行うとしているが、大統領の感触はどうか」との質問に対し「やろうとしている(They want to do that)」と答えている。米国は北朝鮮から遠いので、経済的支援を米国はしないので日韓中で支援を、という発言とあわせると、合意が比較的容易なICBMの廃棄と核の段階的廃棄という事で終わる可能性もあり、それは日本や韓国、それに中国にとっても安全保障上の危機が残ることになる。
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