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米朝首脳会談・米朝首脳会談に期待してよいのか(6月9日)
(トランプ大統領・米朝首脳会談で拉致問題を議題にあげることを約束)
通算7度目の日米首脳会談がワシントンで行われた。今回の会談は12日の米朝首脳会談を目前に控え、朝鮮半島の非核化などで日本と米国の足並みを揃えるために行われた。注目されていたのは日米が歩調を合わせ、北朝鮮に対して行ってきた制裁に関する微妙な溝をどこまで埋められるかという点にあった。「最大限の圧力」の継続を主張する安倍首相に対し、トランプ大統領は「最大限の圧力という言葉はもう使わない」とこれまでの圧力一辺倒の姿勢を転換させ、両者の立場の違いがどこまで埋められるのかという点に注目が集まっていた。...
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(トランプ大統領・米朝首脳会談で拉致問題を議題にあげることを約束)
通算7度目の日米首脳会談がワシントンで行われた。今回の会談は12日の米朝首脳会談を目前に控え、朝鮮半島の非核化などで日本と米国の足並みを揃えるために行われた。注目されていたのは日米が歩調を合わせ、北朝鮮に対して行ってきた制裁に関する微妙な溝をどこまで埋められるかという点にあった。「最大限の圧力」の継続を主張する安倍首相に対し、トランプ大統領は「最大限の圧力という言葉はもう使わない」とこれまでの圧力一辺倒の姿勢を転換させ、両者の立場の違いがどこまで埋められるのかという点に注目が集まっていた。日米首脳会談後の共同会見で「制裁を解除しない方針で一致した」と強調する安倍首相に対して、トランプ大統領は「交渉がうまくいかない場合は立ち去る用意がある」としながらも、「最大限の圧力は効果が出ているのでこの言葉はもう使わない。これから北朝鮮と米国は友好的な交渉に入るからだ」と述べ、両国のスタンスの違いは埋まったようには見えなかった。拉致問題に関しては「必ず議題にあげる」とトランプ大統領は安倍首相に約束し、かろうじて安倍首相の顔を立てた。共同会見の中で安倍首相は拉致問題に関して「最終的に私と金正恩朝鮮労働党委員長との間で解決しなければならない問題だ」と日朝首脳会談の開催に強い意欲を示してみせた。
(どうなる?米朝首脳会談)
全体を見ているとトランプ大統領の中間選挙に向けたポイント稼ぎのための首脳会談という流れになっていて、歴史的と銘打った政治パフォーマンスショーになる可能性が非常に高いと思われる。朝鮮戦争の終結に関してはかなり踏み込んだ動きを見せる可能性はあるが、非核化については「時間をかけてもかまわない」などと、これまでのトランプ大統領からは想像もつかなかった発言も飛び出し、トランプ大統領の真意を測りかねる状況となっている。おそらく朝鮮半島を非核化していく方向で一致したという曖昧な文言に落とし込み、詳細については先送りになる可能性が強くなってきた。
(日本はどうする?)
蚊帳の外にいたロシアはここに来て中国と共同歩調を取り始め、ラブロフ外相が訪朝しプーチン大統領からの親書を金正恩委員長に渡すなど朝鮮半島をめぐり外交を活発化させてきており、あたかも5か国協議のプラットフォーム作りをしているかのように見えなくもない。そんな中で日本は米国の影に隠れ、未だに存在感を発揮できていない。それどころか、このままいくと日本は「金だけ出して口は出せない」という状態に陥る可能性が高くなる。現在日本は1000兆円の財政赤字を抱える世界一の借金大国であり、その日本が、これ以上の財政出動ができるのかということはよく考えなければならない。
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日米首脳会談と拉致問題(6月8日)
米朝首脳会談、G7サミットを前に、7日安倍総理とトランプ大統領は会談し、貿易問題や北朝鮮問題が話し合われ、米朝首脳会談の場で拉致問題についても言及すると、トランプ大統領は語った。また安倍総理は日朝首脳会談を行うとも語った。
拉致問題について、南北首脳会談の席で金正恩委員長は、米国や韓国からは伝えられるが、「なぜ日本は直接言って来ないのか」と語ったという。さらに北朝鮮は「拉致問題は解決済み」と発表している。...
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米朝首脳会談、G7サミットを前に、7日安倍総理とトランプ大統領は会談し、貿易問題や北朝鮮問題が話し合われ、米朝首脳会談の場で拉致問題についても言及すると、トランプ大統領は語った。また安倍総理は日朝首脳会談を行うとも語った。
拉致問題について、南北首脳会談の席で金正恩委員長は、米国や韓国からは伝えられるが、「なぜ日本は直接言って来ないのか」と語ったという。さらに北朝鮮は「拉致問題は解決済み」と発表している。
米朝首脳会談の席でトランプ大統領は果たしてどのような形で拉致問題を切り出すのか。拉致問題を取り上げるのならば北朝鮮の人権問題にも触れないわけにはいかないだろう。限られた時間のなかで非核化の問題、非核化が進んだならば、あるいはどの条件が整ったならば、経済制裁を解除するか、体制の保証や、朝鮮戦争の終戦宣言についても話し合わなければならない。残念ながら拉致問題は語られたとしても問題提起で終わってしまう可能性もある。
拉致問題を非核化の交渉のテーブルで話し合うのは難しい。2003年に中国が議長国となって始まった朝鮮半島の非核化を話し合うための会議である6か国協議で、日本が拉致問題を持ち出したが、なんら進展しなかった。その轍を踏まないためにも、トランプ大統領の提言をあてにするよりは、拉致問題は非核化の問題と切り離して、日朝間で話し合うべきである。日本人に対する拉致被害が金日成・金正日時代に起こっていることを前提にすれば、金正恩委員長にとっても解決の道を示しやすいのではないか。
一方で2002年の小泉訪朝の後で、帰国した拉致被害者の方々は、一旦日本の地を踏んだ後に北朝鮮に戻ることという約束があった。北朝鮮に帰国した拉致被害者の方々を戻すことに強硬に反対したのは、当時副官房長官であった現在の安倍総理であった。北朝鮮に戻って、再び日本に帰国できるとの確信がなかった以上、当然の措置であったが、北朝鮮からすれば、「約束を破った」と張本人とうけとっているかもしれない。そうであれば、安倍総理との会談を忌避する可能性もある。
ただしトランプ大統領が資金を出すのは韓国と日本(と中国)と語っていることからすれば、経済協力を話題に含めれば日朝首脳会談はやりやすい。二国間経済援助の前提条件は、国交樹立であり、国交樹立のためには拉致問題の解決が必要になってくる。最初に拉致問題の解決がない限り、国交交渉も難しいことになる。前提条件ありきの交渉になるが、このようにしない限り日朝首脳会談は難しい。
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日米首脳会談終わる(6月8日)
史上初の米朝首脳会談を前にワシントンを訪れている安倍総理大臣とトランプ大統領による日米首脳会談は日本時間の午前1時過ぎから行われ、両首脳は成果について会見で発表することにしている。
会談でトランプ大統領は、北朝鮮が非核化をしなければ制裁は解除しない考えを示した。安倍総理とトランプ大統領による会談はことし4月、米国南部・フロリダで行われて以来で、今回で7回目となる。
トランプ大統領は「米朝会談の準備はできている。...
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史上初の米朝首脳会談を前にワシントンを訪れている安倍総理大臣とトランプ大統領による日米首脳会談は日本時間の午前1時過ぎから行われ、両首脳は成果について会見で発表することにしている。
会談でトランプ大統領は、北朝鮮が非核化をしなければ制裁は解除しない考えを示した。安倍総理とトランプ大統領による会談はことし4月、米国南部・フロリダで行われて以来で、今回で7回目となる。
トランプ大統領は「米朝会談の準備はできている。すべて順調でこのまま進むことを望んでいる。北朝鮮が非核化をしなければ制裁は解除しない。制裁は強化することもできるが、現時点でそれはしたくない」、安倍総理は「米朝首脳会談に向けた努力と、リーダーシップを称賛したい。」米朝首脳会談が北東アジアの平和と安定を、歴史的に向上させる機会となることを期待。米朝首脳会談が成功し、核・ミサイル・拉致問題が前進するよう、大統領と米国と緊密に連携していきたい」とそれぞれ述べた。
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綻び始める経済制裁(6月7日)
米朝首脳会談を前に、早くも対北朝鮮経済制裁は綻び始めている。6日には中国国際航空の平壌便が再開された。同便は昨年11月から「経営上の理由」で停止されていたもの。昨年11月の時点で6月には再開予定となっていたが、中朝首脳会談から始まった一連の動きが、経営判断にゴーサインを出したのだろう。
北朝鮮が改めて中国に、北朝鮮内の特区の共同開発を申し入れたとの話もある。韓国も南北朝鮮にわたる鉄道連結の話を進めようとしている。...
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米朝首脳会談を前に、早くも対北朝鮮経済制裁は綻び始めている。6日には中国国際航空の平壌便が再開された。同便は昨年11月から「経営上の理由」で停止されていたもの。昨年11月の時点で6月には再開予定となっていたが、中朝首脳会談から始まった一連の動きが、経営判断にゴーサインを出したのだろう。
北朝鮮が改めて中国に、北朝鮮内の特区の共同開発を申し入れたとの話もある。韓国も南北朝鮮にわたる鉄道連結の話を進めようとしている。さらに先日訪米した金英哲副委員長が、米国に北朝鮮におけるカジノ経営の話をもちかけたもという。
カジノといえば、北朝鮮・新義州の特別行政区に建設するという話があった。2001年特別行政区になった新義州は、立法権、司法権、行政権を与えられ、外資導入の最前線となるべく、長官にオランダ国籍の中国人実業家楊斌を据えることにした。しかし楊斌の長官就任が発表されるや、中国は脱税容疑で楊斌を逮捕してしまった。中国が新義州にカジノを建設するのを嫌ったためだという。
真偽のほどはわからない。平壌のホテルにもカジノが設けられていて、そこに客としてくるのは、中国人観光客ばかりであった。カジノといえば中国には、ラスベガスに並ぶマカオもあるので、北朝鮮にカジノができても問題ないど思うのだが、中国のある関係者は「南方の人はカジノの遊び方を心得ているが、北方の人は生真面目で、一度ギャンブルにはまると抜け出せない恐れがあるため」と語っていた。これも真偽のほどはわからない。
中国としては米国資本のカジノが北朝鮮に建設されるのは容認できないであろうし、カジノそのものをも相変わらず嫌っているかもしれない。またそれ以上に鉄鉱石、石炭、非鉄金属、レアアースなどの資源がある北朝鮮を他の国の草刈り場にはしたくない。中国が北朝鮮からそれらの資源を輸入すれば、輸送コストが少なくてすむ。2010年以降、中国の北朝鮮に対する開発輸入が進んでいたものが、2017年後半には輸入が軒並みゼロになっていた。中国としては、輸入を再開させたいところである。また北朝鮮の人口は2400万人余であり、市場規模としては小さいし、「使える」労働力が豊富なわけではない。しかし若年労働力不足の中国、特に東北地方にとっては北朝鮮の労働力は貴重である。これまでもソフト開発や縫製、建設などの面で北朝鮮の労働力利用は進んでいた。最近中国では、北朝鮮の経済事情紹介記事なども掲載されるようになった。北朝鮮の地方政府に中国の改革開放のノウハウを開示しながら、さらに米国の態度の軟化も横目でにらみつつ、中国は北朝鮮に経済「協力」をしていこうとしている。
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核手放すことはない”元北朝鮮公使が著書で指摘(6月7日)
北朝鮮は米朝首脳会談にどう臨むのか?韓国では北朝鮮の元外交官が書いた本が注目されている。この本では北朝鮮は核を手放すことはなく、会談を核を保有する布石にしようとしていると指摘している。書いたのはおととし脱北したテヨンホ元北朝鮮公使。金正恩政権の内幕を知る人物。
南北首脳会談後、金委員長の好感度は20ポイント以上上がっている。出版会見でテヨンホ元公使は融和姿勢を「見せかけだ」と指摘した。
本には金委員長の激しい性格が記されている。...
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北朝鮮は米朝首脳会談にどう臨むのか?韓国では北朝鮮の元外交官が書いた本が注目されている。この本では北朝鮮は核を手放すことはなく、会談を核を保有する布石にしようとしていると指摘している。書いたのはおととし脱北したテヨンホ元北朝鮮公使。金正恩政権の内幕を知る人物。
南北首脳会談後、金委員長の好感度は20ポイント以上上がっている。出版会見でテヨンホ元公使は融和姿勢を「見せかけだ」と指摘した。
本には金委員長の激しい性格が記されている。
3年前、国民に栄養価の高いものを食べさせたいとすっぽん工場を視察した金委員長。スッポンの子がほとんど死んでいたことを知り、視察後、責任者の処刑を指示しただちに銃殺したと記されている。さらにこの本では「金委員長は核放棄する気はまったくない」と指摘している。
目指しているのはインドやパキスタンのような「核を放棄しない国」だという。インドやパキスタンは核実験を行ったにもかかわらず、その後、融和姿勢をみせて米国との関係を改善したから。こうした方針は各国大使を招集した会議で議論されたという。
テ元公使は北朝鮮が対話の姿勢を見せているのはインドやパキスタンのように核を手放さない布石と本の中で指摘している。
テヨンホ元公使は「本当の核廃棄という奇跡は起きないだろう」としている。一方、別の専門家はトランプ大統領の登場で非核化に動きださざるを得ない状況と指摘している。
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