世界同時株安・背景には米中貿易戦争(10月13日)
(世界同時株安・背景には米中貿易戦争)
米国株急落に端を発した世界同時株安だが、直接的にはFRBの3度にわたる利上げが原因とされているが、その大きな背景として米中貿易戦争があると見られている。インドネシアで開催されていたG20はこの問題に関して、何ら有効な打開策は打ち出せずに当事者同士の解決に委ねる格好になった。IMF(国際通貨基金)・ラガルド専務理事は「米中の貿易戦争がエスカレートすれば、世界経済は甚大な被害を受ける」と警告し、「米中貿易戦争の激化を徐々に緩和し、貿易ルールを現状に合うように変えるべき」と注文をつけた。...
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(世界同時株安・背景には米中貿易戦争)
米国株急落に端を発した世界同時株安だが、直接的にはFRBの3度にわたる利上げが原因とされているが、その大きな背景として米中貿易戦争があると見られている。インドネシアで開催されていたG20はこの問題に関して、何ら有効な打開策は打ち出せずに当事者同士の解決に委ねる格好になった。IMF(国際通貨基金)・ラガルド専務理事は「米中の貿易戦争がエスカレートすれば、世界経済は甚大な被害を受ける」と警告し、「米中貿易戦争の激化を徐々に緩和し、貿易ルールを現状に合うように変えるべき」と注文をつけた。こうした中、火に油を注ぐかのように中国の対米黒字が去年の同じ月に比べて20%以上の大幅な増加となった。政治や安全保障面にも米中貿易戦争の余波は及んできており、米国エネルギー省は11日、軍事転用の恐れがあるとの理由で、中国向けの原子力機器や技術の輸出規制を強化すると発表、米国・司法省は航空宇宙関連の企業から企業秘密を盗み出そうとしたなどとして中国の情報機関の男を逮捕・起訴したとしている。下院での共和党の苦境が伝えられる11月の中間選挙だが、残すところわずか約3週間となった。今後トランプ大統領が自らの支持層向けのメッセージとして、中国に対する強硬姿勢を増々強く打ち出してくる可能性もある。
(米国の中国に対する不信は根深い)
前述にあるような米国の中国に対する不信は、習近平政権に向けられ、中国が支配する世界や中国主導の経済支配にまで対象にされている。米国の目は、中国による先端技術の盗用や投資、加えて宇宙分野などや軍需産業にまで広範囲に及び、価値観の戦いと言っても過言ではない段階にまで進んでいる。
(米中関係悪化の一方で日中関係は改善)
米中の対立激化の一方で、日本と中国はその距離を急速に縮めてきている。安倍首相は25日~27日の日程で北京を訪問し、26日は習近平国家主席と日中首脳会談を行う予定である。日本の言論NPOが日本と中国で行った共同世論調査では「日本に対し良い印象を持つ」と答えた中国人の割合が前年比10.7ポイントの上昇となり、2005年の調査開始以来初めて4割を超え、劇的な改善を見せた。さらに自動運転分野でも日中の業界団体が連携を表明するなど、米中関係の悪化に反比例するかのような日中関係改善の動きが出てきている。こうした動きに対しあてつけるかのようにトランプ大統領は、「中国や日本などから米国に漂着するごみが膨大な量にのぼり、米国が費用を負担するのは不公平だ」などと不満を漏らし、対抗措置を取る考えを示している。
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G20財務相・中央銀行総裁会議・米中貿易摩擦・対応が焦点(10月11日)
インドネシア・バリ島できょうから20日間の日程で開かれるG20(主要20か国)の財務相・中央銀行総裁会議が今夜開幕する。
日本からは麻生副総理財務相と日銀・黒田総裁が出席する。
米中貿易摩擦への対応が主要テーマとなる見通しである。米中貿易摩擦は報復の応酬が続いている。
IMF(国際通貨基金)は、米中貿易摩擦の激化を背景に、来年の世界全体の経済成長率の見通しを下方修正し“世界経済のリスクが高まっている”と指摘した。...
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インドネシア・バリ島できょうから20日間の日程で開かれるG20(主要20か国)の財務相・中央銀行総裁会議が今夜開幕する。
日本からは麻生副総理財務相と日銀・黒田総裁が出席する。
米中貿易摩擦への対応が主要テーマとなる見通しである。米中貿易摩擦は報復の応酬が続いている。
IMF(国際通貨基金)は、米中貿易摩擦の激化を背景に、来年の世界全体の経済成長率の見通しを下方修正し“世界経済のリスクが高まっている”と指摘した。
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中間選挙を前に強硬姿勢を強める米国(10月6日)
(中間選挙を前に中国への強硬姿勢を強める米国)
通商分野で中国に対する高関税措置を発動させ中国への圧力を強めているトランプ政権だが中間選挙を前に外交面、軍事面でも中国批判を展開し始めた。この背景には、米国国内で高まる嫌中国ムードに乗っかることで、トランプ大統領自身の脱税疑惑や、ロシア疑惑への追及を突破できるという思惑があるものとみられる。軍事面では9月30日に南シナ海の南沙諸島で中国が実効支配するガベン礁の人工島の周辺を米軍のイージス駆逐艦・ディケーターが航行した際、中国軍の駆逐艦が複数回にわたり攻撃的な接近を繰り返し米軍が警告を発したことは記憶に新しい。...
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(中間選挙を前に中国への強硬姿勢を強める米国)
通商分野で中国に対する高関税措置を発動させ中国への圧力を強めているトランプ政権だが中間選挙を前に外交面、軍事面でも中国批判を展開し始めた。この背景には、米国国内で高まる嫌中国ムードに乗っかることで、トランプ大統領自身の脱税疑惑や、ロシア疑惑への追及を突破できるという思惑があるものとみられる。軍事面では9月30日に南シナ海の南沙諸島で中国が実効支配するガベン礁の人工島の周辺を米軍のイージス駆逐艦・ディケーターが航行した際、中国軍の駆逐艦が複数回にわたり攻撃的な接近を繰り返し米軍が警告を発したことは記憶に新しい。一歩間違えば、紛争になっていた局面であった。ペンス副大統領が4日に行った演説で、「中国は米国の世論を操作するなどの工作を通じて、米国の民主主義に介入しようとしている」として、通商だけでなく軍事面や外交面でも厳しく中国に対処していく姿勢を明らかにし、「中国は他国に対し、インフラ支援を行うことで巨額の負債を背負わせ自国の傘下に収めるという借金漬け外交を行っている」と批判した。中国が主に欧米諸国で展開している政界向けの世論工作は「シャープパワー」と呼ばれているが、中国にとっては自国の台頭を抑えつけようとする米国の力を米国国内の世論などに働きかけて緩和させるという狙いがあるようだ。中国の「シャープパワー」は米国の同盟国・日本にも向けられているようだ。
(米中の間に厳しい空気)
中国の国際世論工作の目的は自国へのあらゆる批判を徹底して潰すことにあり、少なくとも米国の同盟国である日本を親中国に世論誘導することで、中国包囲網の流れを突き崩すことができると考えているのではないだろうか。おりしも安倍首相が訪中し10月24日に北京で習近平国家主席と日中首脳会談を行う予定だが、ここを突破口として中国は日本との関係を強化し、米国の圧力をかわしたい狙いがあるものとみられる。ただ、中間選挙を目前にした米国が日中接近を快く思うことは考えにくく、中国にあまり接近しないよう日本に対しシグナルをおくってきている。24日を目前に控え日本が米国と歩調を合わせて中国を批判せざるを得ない状況がでてくるかもしれない。その結果、安倍首相の中国訪問が延期になったり、行われたとしても形式だけのものだけになる可能性もある。逆に日本としては中国との距離感をうまく使い、米国との貿易交渉を有利に進めるという手法も考えられなくはない。いずれにしても日本の外交手腕がこれまでになく問われている局面にさしかかっているということだけは間違いなさそうである。
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米国農務長官・日本との交渉に厳しい姿勢(10月5日)
日本が米国と交渉を行うことになった日米物品貿易協定を巡る農産物の市場開放について米国・パーデュー農務長官は、日本がEUヨーロッパ連合との間で署名した協定の水準を超える関税の引き下げなどが必要だという考えを示し厳しい姿勢を鮮明にした。
日本と米国は先月、日米の物品貿易協定の締結に向けて交渉を始めることで合意し、米国は日本に農林水産品の関税の引き下げなど市場開放を求めている。
これについて、米国・パーデュー農務長官は、4日、記者団に対して日本がEUに与えたものと同じかそれよりもよい取り引きを期待していると述べ日本がEUとの間でことし7月に署名したEPA経済連携協定の水準を超える関税の引き下げなどが必要だという考えを示した。...
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日本が米国と交渉を行うことになった日米物品貿易協定を巡る農産物の市場開放について米国・パーデュー農務長官は、日本がEUヨーロッパ連合との間で署名した協定の水準を超える関税の引き下げなどが必要だという考えを示し厳しい姿勢を鮮明にした。
日本と米国は先月、日米の物品貿易協定の締結に向けて交渉を始めることで合意し、米国は日本に農林水産品の関税の引き下げなど市場開放を求めている。
これについて、米国・パーデュー農務長官は、4日、記者団に対して日本がEUに与えたものと同じかそれよりもよい取り引きを期待していると述べ日本がEUとの間でことし7月に署名したEPA経済連携協定の水準を超える関税の引き下げなどが必要だという考えを示した。
トランプ政権はNAFTA北米自由貿易協定の再交渉でもカナダから乳製品の市場開放で譲歩を引き出したうえで合意にこぎ着けていて、各国との貿易交渉に厳しい姿勢で臨んでいる。
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関税税測委員会、輸入関税引き下げについて語る(10月2日)
既報のように中国は11月1日より1585品目の輸入関税を引き下げるが、最近の輸入関税の引き下げやその効果について、国務院関税税測委員会の責任者は次のように語った。
5月1日からは抗がん剤を含む薬品一般について輸入関税を引き下げ、うち28品目については輸入関税をゼロにした。また抗がん剤については増値税(付加価値税)を大幅に引き下げた。
7月1日からは自動車および自動車部品218品目の輸入関税を引き下げたが、これにより自動車価格が調整され、消費者は恩恵を受けることになった。...
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既報のように中国は11月1日より1585品目の輸入関税を引き下げるが、最近の輸入関税の引き下げやその効果について、国務院関税税測委員会の責任者は次のように語った。
5月1日からは抗がん剤を含む薬品一般について輸入関税を引き下げ、うち28品目については輸入関税をゼロにした。また抗がん剤については増値税(付加価値税)を大幅に引き下げた。
7月1日からは自動車および自動車部品218品目の輸入関税を引き下げたが、これにより自動車価格が調整され、消費者は恩恵を受けることになった。
同じく7月1日からは1449品目の日用消費品の関税も引き下げられ、引き下げ幅は平均56%であった。
11月1日から関税が引き下げられるのは工業製品が多いことから、産業のグレードアップにつながり、工業製品のコストダウンにもつながることになる。
このように中国が関税の引き下げを行うのは、グローバル社会のなかで産業に競争力をつけるためであり、過度な保護主義は産業のグレードアップや品質の向上にマイナスとなるからである。具体的な下げ幅については、国内外の市場や産業の上下流、生産と消費の関係など、国内の経済の穏当な発展に資するようにした。
改革開放から40年がたち、中国は関税水準を随時引き下げてきたが、これにより経済のグローバル化を推進し、WTOの自由貿易を堅持し、世界経済に貢献してきた。機械設備や部品の関税の引き下げによって、国外からの技術導入が容易となり、産業のグレードアップを図ることができれば、国外からの圧力や挑戦にうちかつこともできる。
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