米国批判も3回目の会談に意欲“米国の勇気ある決断を待つ”(4月14日)
北朝鮮・金正恩朝鮮労働党党委員長が最高人民会議で演説し米国が非核化で一方的な要求をしていると批判した一方で、「トランプ大統領との個人的な関係はすばらしい」と強調した。
「正しい姿勢で私たちと共有できる方法を見つけるという条件ならばもう1度首脳会談を行う用意がある」と述べ、米朝首脳会談に意欲を示した。
そして「ことしの末までは忍耐心を持って、米国の勇気ある決断を待つ」と述べた。ただ米国は完全な非核化まで制裁解除しない立場を変えておらず3回目の首脳会談開催に向けた調整は難航が予想される。...
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北朝鮮・金正恩朝鮮労働党党委員長が最高人民会議で演説し米国が非核化で一方的な要求をしていると批判した一方で、「トランプ大統領との個人的な関係はすばらしい」と強調した。
「正しい姿勢で私たちと共有できる方法を見つけるという条件ならばもう1度首脳会談を行う用意がある」と述べ、米朝首脳会談に意欲を示した。
そして「ことしの末までは忍耐心を持って、米国の勇気ある決断を待つ」と述べた。ただ米国は完全な非核化まで制裁解除しない立場を変えておらず3回目の首脳会談開催に向けた調整は難航が予想される。
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韓国大統領の訪米と米朝関係(4月3日)
韓国の文在寅大統領は、米国で4月11日にトランプ大統領と会談をし、米朝関係について意見交換を行うことになるが、文在寅大統領としては仲介人として米朝首脳会談の仕切り直しを目指したいところであろう。トランプ大統領の日程が11日しかとれなかったということで、文在寅大統領は臨時政府樹立100周年の記念行事への出席をキャンセルしてまで訪米を優先させているのである。
2月末の米朝首脳会談の失敗の原因のひとつが、韓国が北朝鮮の「非核化の意思」を強調し過ぎ、そのため米国が北朝鮮に対し非核化の要求水準を上げたことだともいわれている。...
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韓国の文在寅大統領は、米国で4月11日にトランプ大統領と会談をし、米朝関係について意見交換を行うことになるが、文在寅大統領としては仲介人として米朝首脳会談の仕切り直しを目指したいところであろう。トランプ大統領の日程が11日しかとれなかったということで、文在寅大統領は臨時政府樹立100周年の記念行事への出席をキャンセルしてまで訪米を優先させているのである。
2月末の米朝首脳会談の失敗の原因のひとつが、韓国が北朝鮮の「非核化の意思」を強調し過ぎ、そのため米国が北朝鮮に対し非核化の要求水準を上げたことだともいわれている。また韓国が2月以降も開城工業団地や金剛山観光の再開を目指していることや、北朝鮮が瀬取り(海上で荷物を船から船へ積み替える)を行う際に韓国船籍の船も関与していたことが明らかになっていることなどから、米国の韓国への不信感が強くなっている。そのため果たして韓国が今後も米朝の仲介者になれるかは疑問も残る。
一方で北朝鮮からは「米国のご機嫌をとるのではなく、我々とともに要求するべきことを要求し、当事者としての役割を果たすべき」として、韓国の仲介者としての役割を見限るような批判も受けている。
北朝鮮にしてみれば、非核化についてさらに踏み込まなければ、米国からの見返りがないことがわかった状況で、更なる非核化への決断ができなければ、第三回目の首脳会談を行うことはできない。
今や米朝双方から不信感を持たれ、韓国国内でも経済政策の失敗から支持率が下がっている文在寅大統領であるが、果たして第三回目の米朝首脳会談のお膳立てはできるのか。昨年9月に南北首脳会談で約束された金正恩委員長のソウル訪問も果たされていない。
さらに4月11日は北朝鮮で最高人民会議が行われる日でもある。北朝鮮でどのような新たな方針が示されるのかも注目される。
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大使館押し入り事件・北朝鮮が非難“米国FBI関与の説注視”(4月1日)
スペイン・マドリードにある北朝鮮大使館に2月22日、武装した男たちが押し入り、職員を縛って尋問した上、コンピューターなどを奪って逃げた事件では、『自由朝鮮」と名乗る脱北者団体が関与を認めた上で、FBIと情報を共有していると主張している。
この事件について、北朝鮮外務省の報道官は、国営メディアを通じて声明を発表し、「大使館職員を縛って殴り拷問して、通信機材を強奪したテロ行為だ。国家の主権に対する侵害で、絶対に許してはならない」と非難し、初めて公式に反応した。...
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スペイン・マドリードにある北朝鮮大使館に2月22日、武装した男たちが押し入り、職員を縛って尋問した上、コンピューターなどを奪って逃げた事件では、『自由朝鮮」と名乗る脱北者団体が関与を認めた上で、FBIと情報を共有していると主張している。
この事件について、北朝鮮外務省の報道官は、国営メディアを通じて声明を発表し、「大使館職員を縛って殴り拷問して、通信機材を強奪したテロ行為だ。国家の主権に対する侵害で、絶対に許してはならない」と非難し、初めて公式に反応した。
その上で、事件には、FBIと反共和国団体が関与しているという説が出回っており、注視しているとして、スペイン当局に徹底した捜査を求めている。
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米、核兵器等の引き渡しを要求する文書を北朝鮮に突き付ける(3月31日)
30日(現地時間)にロイターは、2月末にハノイで行われた米朝首脳会談の席上で、米側が北朝鮮に核兵器や発射のための燃料等を米側に引き渡すようにという英語と朝鮮語の文書を渡していたことを明らかにした。
引き渡すように求めているのは、核兵器関連だけではなく、化学兵器や生物兵器およびそれに関係する設備や、ミサイルおよびその発射設備や関連施設も含まれている。さらに米国や国際機関による査察の要求も含まれていた。...
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30日(現地時間)にロイターは、2月末にハノイで行われた米朝首脳会談の席上で、米側が北朝鮮に核兵器や発射のための燃料等を米側に引き渡すようにという英語と朝鮮語の文書を渡していたことを明らかにした。
引き渡すように求めているのは、核兵器関連だけではなく、化学兵器や生物兵器およびそれに関係する設備や、ミサイルおよびその発射設備や関連施設も含まれている。さらに米国や国際機関による査察の要求も含まれていた。
ボルトン大統領補佐官は決裂した会談の2日後に文書の存在を明らかにしていたが、内容については明らかにしていなかったが、今回匿名を条件にある関係者が内容を明らかにしたもの。
文書はボルトン補佐官が繰り返し述べていた「リビア方式」による非核化であり、北朝鮮も繰り返し拒否していたもの。ボルトン補佐官が初めてこの案を提唱したのは2004年で、昨年トランプ大統領が国家安全保障大統領補佐官に任命したときにも提唱していた。
ただし2018年6月のシンガポールでの米朝首脳会談を前にした5月に北朝鮮が会談をキャンセルしようとしたときに、トランプ大統領は「リビア方式」に拘らない、と述べ、さらに「リビア方式」とは異なる方式で行う、と付け加えていた。
今回文書の内容が明らかになったのを受け、米国の北朝鮮問題専門家は、この文書について「米国が本気で交渉をしようと思ったいたなら、このような文書を提案するはずがない」とさえ述べている。
ハノイ会談が決裂後の3月4日にポンペオ国務長官は、「1~2週間のうちに我々のチームを北朝鮮に派遣する」と述べていたが、米国政府は本当に交渉を続ける気はあったのだろうか。また第一次首脳会談では放棄された案がどのような要因があって、蒸し返されることになったのか。まさか北朝鮮の「瀬戸際戦術」にならって、米国もまずハードルを上げて、交渉の過程で徐々に条件を下げていくことにしたわけでもあるまい。
「リビア方式」を北朝鮮に適用するといっても、まだ計画段階であったリビアと、核を完成させている北朝鮮とでは、米国に引き渡すことの難しさは、技術的なことも含めて全く異なる。リビアでさえ7年もかかっているのであるが、北朝鮮の核兵器(および生物兵器は化学兵器)を関連施設も含めて、「完全に」「検証可能」「不可逆的に」行うことは膨大な作業を必要とすることになる。なおリビアのカダフィ大佐は引き渡しが終わった後にNATO軍(実質的には米軍)に亡ぼされている。
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制裁の継続を呼びかける米国(3月30日)
(裏では核・ミサイルの向上を図っていた北朝鮮)
2月の米朝首脳会談はトランプ大統領が金正恩委員長に対し核兵器と核物質の米国への引き渡しを求める文書を手渡したことと、北朝鮮が米国に制裁の全面解除を求めたことが会談の決裂を招いた決定的な要因だったといえるが、会談が決裂したことで見えてきたこともある。北朝鮮は表向きには非核化を口にしていたが、裏では核・ミサイル技術の向上を図っていたことが次第に明らかになってきている。...
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(裏では核・ミサイルの向上を図っていた北朝鮮)
2月の米朝首脳会談はトランプ大統領が金正恩委員長に対し核兵器と核物質の米国への引き渡しを求める文書を手渡したことと、北朝鮮が米国に制裁の全面解除を求めたことが会談の決裂を招いた決定的な要因だったといえるが、会談が決裂したことで見えてきたこともある。北朝鮮は表向きには非核化を口にしていたが、裏では核・ミサイル技術の向上を図っていたことが次第に明らかになってきている。韓国の情報機関である国家情報院は、2018年の米朝首脳会談で金正恩委員長が撤去の意向を示していた「ミサイル発射場」の普及工事がほぼ完了している旨を国の国家情報委員会に報告した。北朝鮮のミサイル発射場が運用可能な状態に戻されていることはCSISや38ノースの衛星写真からによっても明らかにされている。
(米軍・エイブラムス司令官が北朝鮮の動きを批判)
こうした北朝鮮の動きについて、韓国に駐留する米軍のエイブラムス司令官はワシントンで行われた議会下院軍事委員会の公聴会の中で「我々の監視している北朝鮮の活動は非核化とは矛盾している」と批判している。米国の識者の中には今後、金正恩が非核化を目に見える形でやらないと米国は今後圧力を強めるしかなく、これから切迫した状態になると悲観的な予測をしている識者もいる。英国BBCは金委員長が今後、非核化協議を中止し、核・ミサイル実験場を再開する可能性があると報じている。米国は対北朝鮮国連安保理制裁履行の監視を強化するとともに、これに並行して軍事的圧力も再び強化し始めており、米朝が再び軍事対立路線に向かう可能性もある。
(金委員長が軍の大会に参加し演説)
北朝鮮側にも不穏な動きが出てきている。金委員長が平壌で開催された、朝鮮人民軍第5次中隊長・中隊政治指導員大会に参加し「祖国の安全を守り、武力で朝鮮人民の英雄的創造と闘争をしっかり保障することは人民の軍隊にとって重要な任務である」との演説を行ったのだ。こうした動きは核・ミサイル開発と経済発展を同時に推し進める「並進路線」から経済重視路線に方針を転換した流れに逆行した動きであり、今後の北朝鮮の動きを予測させるに足りるものである。
(制裁の継続を呼びかける米国)
こうした中、米国・ビーガン北朝鮮担当特別代表は極秘で北京を訪問し、物別れに終わった米朝首脳会談について説明するとともに、対北朝鮮制裁を履行するよう中国側に改めて要請したもようだ。一方、韓国・文大統領は4月に訪米し11日にワシントンで米韓首脳会談を行うことを発表した。北朝鮮問題が中心議題となるとみられているが、韓国が米朝首脳会談決裂の1要因ともいわれる中で、文大統領が再び米朝の仲介役を果たすことができるのかについては疑問符がつくと言わざるを得ない。米朝首脳会談が再開される見通しが当分立たない中、しばらく事態を見守るしかない情勢である。
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